第3233回 パナマを破って決勝トーナメント進出(2) ベテラン温存で乱戦を制し、首位通過

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■ベテラン不在のパナマ戦の先発メンバー

 前回の本連載の最後にはパナマ戦の先発メンバーからベテランのウェンディ・ルナールとウジェニー・ルソメを外したと紹介したが、パナマ戦の先発メンバーは次の通りである。GKはポーリーヌ・ペイロー・マニャン、DFは4人で右からエブ・ペリッセ、マエル・ラクラ、エリザ・ドアルメイダ、デルフィーヌ・カスカリーノ、MFも4人で右からクララ・マテオ、レア・ルガレック、グラス・ゲヨロ、セルマ・バシャ、FWは2トップで右にカディディアトゥ・ディアニ、左にビッキー・べショーとなる。ルナールに代わってストッパーを務めるドアルメイダは今大会初出場となった。ルソメに代わって最前線に入ったベショーは代表初先発である。一方、32歳のケンザ・ダリもメンバーから外れ、30歳以上の選手はGKのペイロー・マニャン(31歳)とMFのルガレック(30歳)の2人だけとなったのである。

■キックオフ直後にパナマに先制を許す

 第2戦を終えてグループリーグ突破に向けて優位な立場にあると判断したエルベ・ルナール監督は決勝トーナメントに入ってからの戦いを見据え、ベテランに休養を与え、新人に出場の機会を与えたが、この目論見はキックオフ直後に危機を迎えた。
 本大会初出場のパナマは連敗して、グループリーグ敗退が決定し、しかも無得点である。力量的に劣ることから、守備を固めて5バックで臨み、中盤を4枚、そして1トップに主将のマルタ・コックスを配置し、カウンターアタック頼みの戦いである。ワールドカップでの最後の戦いとなったフランス戦もフォーメーションは変更せず、ジャマイカ戦とほぼ同じメンバーで臨み、もちろんキャプテンマークを巻いたコックスが1トップに入る。
 試合はパナマのキックオフで始まる。開始1分、フランス陣内でルガレックがコックスと競り合ってファウルを取られる。ゴールから30メートルのところのFKをコックスが直接ゴールを狙う。このシュートにフランスのGKペイロー・マニャンは追いつけず、パナマのワールドカップ初ゴールが決まったのである。パナマは男子代表もワールドカップ出場は2018年ロシア大会のみ、この時はグループリーグで3連敗し、白星をあげることができなかったが、このフランス戦で歴史的なワールドカップ初勝利を記録するのではないかとファンは期待した。

■カディディアトゥ・ディアニがハットトリック

 一方のフランスは、まさかの失点である。ベテランの不在のフィールドでの失点となったが、リードを許したフランスも反撃に出る。このメンバーの中で最も代表経験の多いディアニは4分にチームとして最初のシュートを放つ。次第にフランスがボールを保持するようになり、フランスはサイドからの攻撃を仕掛けるようになる。そして22分、右サイドのマテオからのクロスを前線に上がっていたラクラがヘディングシュート、パナマのGKも反応したが、ラクラのシュートの勢いが優り、フランスは同点に追いついた。フランスは28分にも右サイドから攻撃を仕掛け、最後はゴール前でディアニが競り合って勝ち越し点を決める。36分にはパナマの選手がペナルティエリア内でハンド、フランスはPKをディアニが蹴り、GKの逆を突いて成功させ、3-1とする。負傷者が相次ぎ長いアディショナルタイムとなった50分、ルガレックがゴール前にロングボールをフィードしたが、これが決まって4-1と大きくリードして後半に入る。
 後半に入っても51分にパナマの選手がペナルティエリア内でハンド、ディアニがハットトリック達成となるPKを決めて5-1としたところまではよかった。

■守備の乱れから失点を重ねるも2勝1敗で首位通過

 63分には今大会初出場のドアルメイダがペナルティエリア内でファウル、PKを決められて5-2となる。さらに87分にはパナマの遠い位置からのFKのこぼれ球を押し込まれ、5-3と2点差に迫られる。13分と表示された長い後半アディショナルタイム、代表初先発のベショーがクロスから得点をあげ、6-3と勝利する。
 守備陣に不安は残るものの、フランスは2勝1分でグループリーグ首位突破を決めたのである。(この項、終わり)

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