第3243回 豪州にPK負け、準々決勝の壁(2) 120分戦い、両チーム無得点

平成23年の東日本大震災、平成28年熊本地震、平成30年7月豪雨、台風15号、19号、令和2年7月豪雨などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■ワールドカップの準々決勝史上最多の観客の前でキックオフ

 3大会ぶり2回目の準決勝を目指すフランス、初の準決勝を目指す豪州、準々決勝の常連同士の戦いは8月12日、アデレードのラングパークで行われた。この試合は準々決勝の3試合目になり、スペインが延長でオランダを下し、スウェーデンが日本を退け、それぞれ準決勝進出を決定している。ラングパークに集まった観衆は49,461人、これはこの時点でワールドカップの準々決勝史上最大の観客動員となった。参考までにフランス-豪州戦の直後にシドニーのオリンピックスタジアムでキックオフされたイングランド-コロンビア戦には75,784人の観衆が集まり、記録は更新される。

■立ち上がりから積極的に豪州のゴールに迫るフランス攻撃陣

 フランスも豪州も今大会でこの競技場で試合をするのは2回目となる。両チームともグループリーグの第2戦をアデレードで戦い、豪州はナイジェリアに敗れ、フランスはブラジルに勝利している。
 フランスがワールドカップで開催国と対戦するのは2011年のドイツ大会以来のことである。この時はグループリーグでフランスは開催国に2-4と敗れている。
 豪州の快進撃を支える大声援ともフランスは戦うことになるが、立ち上がりから積極的に攻撃を仕掛ける。フランスの最初の得点チャンスは8分、カディディアトゥ・ディアニのシュートは惜しくも得点にならなかった。11分には両チーム初めてのCKをフランスのセルマ・バシャが蹴るが、ここも得点には至らない。さらに12分にはCKからウェンディ・ルナールがヘディングでつなぎ、ウジェニー・ルソメがボレーシュート、このこぼれ球をマエル・ラクラが無人のゴールに決めることができず、ことごとくチャンスをつぶす。その後もフランスはチャンスをつかむものの、豪州のGKマッケンジー・アーノルドの好守にもはばまれゴールを決められない。守勢だった豪州は前半の終盤になってようやくフランスのゴール前に迫ることになり、40分に初めて枠内シュートを放つ。

■後半に入って盛り返した豪州、90分間両チーム無得点で延長戦へ

 後半は豪州が立ち直り、互角の展開となる。前半の立ち上がりは豪州からあわやゴールと言うシーンを作ったフランスの攻撃陣も無音となる。55分になって豪州は切り札でチームの主将のサム・カーを投入、万雷の拍手を背にピッチに登場する。豪州の選手のほとんどは欧州のクラブに所属、先発メンバーで国内組はストッパーのクレア・ハントだけであり、選手はフランスの選手についても熟知している。56分、60分と豪州はチャンスをつかむが、フランスのGKポーリーヌ・ペイロー・マニャンのセーブが光り、フランスは得点を許さない。試合の主導権が豪州に傾きつつある中で、エルベ・ルナール監督は64分にMFのサンディ・トレッティに代えて、FWのビッキー・ベショを投入、4-3-3システムに変更する。
 しかしながら、この交代も得点には至らず、結局90分終わったところで両チーム無得点で延長戦に突入する。

■延長戦で2回の得点機も実らず、PK戦を覚悟して選手交代

 延長戦は両チーム互角の展開となったが、延長前半の100分、豪州のアランナ・ケネディがオウンゴール、フランスの得点かと思われたが、その直前のプレーでフランスのルナールにファウルがあったため、得点は取り消された。
 延長後半はフランスが最後の力を振り絞って優位に試合を進める。107分にはベショがシュートを放つが、アーノルドにセーブされて、これも得点にはならない。
 フランスは延長後半のアディショナルタイムの123分にGKをPK戦のスペシャリストであるソレーヌ・デュランに交代する。また、DFのダアルメイダに代わってイブ・ペリッセを投入する。これらは明らかにPK戦を意識した交代である。
 そして、これらの交代の直後に、延長後半の終了を知らせるホイッスルが鳴り響き、120分戦って両チーム無得点、準決勝へのチケットはPK戦に委ねられることになったのである。(続く)

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