第3306回 チャンピオンズトロフィー、パリサンジェルマンが12回目の優勝
平成23年東日本大震災、平成28年熊本地震、平成30年7月豪雨、台風15号、19号、令和2年7月豪雨、令和6年能登半島地震などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。
■シーズン開幕前のバンコク開催がキャンセルされたチャンピオンズトロフィー
前回までは年末に行われたフランスカップの7回戦と8回戦の2部勢の戦いを紹介してきた。例年であれば、新年最初のサッカーの試合はフランスカップのベスト32決定戦であるが、今年はそうではない。例年であればシーズン開幕前に行われるチャンピオンズトロフィーが延期され、1月3日に行われることになった。
前年度のリーグチャンピオンとフランスカップ勝者の間で行われるチャンピオンズトロフィーは近年は国外で開催され、今年は8月5日にタイのバンコクで行われる予定であった。しかし、現地の主催者はタイ国王であるラーマ10世の長女であるパッチャレキッティヤパー王女が2022年12月から心臓疾患により昏睡状態が続いていることから開催を断念した。
■パルク・デ・プランス開催に対し、両チームのサポーター組織がボイコット宣言
開催直前の決定ということで開催時期、場所とも未定であった。まず11月初めに日程が決定し、ウインターブレイク期間中の1月3日となった。開催場所についてはカタール、サウジアラビア、モロッコ、コンゴ民主共和国から開催のプロポーザルもあったが、フランスプロサッカーリーグはパルク・デ・プランスで開催することを12月初めに決定した。
この開催地決定に対し、まず反応したのがパリサンジェルマンのサポーター組織であった。国外での開催地を確保できないリーグ側に対する不満からボイコットを表したものであった。そしてトゥールーズのサポーターグループも同様の理由に加え、当然ではあるが中立地以外での開催に対してボイコットを表明した。パルク・デ・プランス以外にはスタッド・ド・フランスという選択肢もあったが、オリンピックの準備のために使用できず、パリサンジェルマンの本拠地での開催となった。
■2024年最初のゴールは韓国代表の李康仁
このように開催にこぎつけるまで一苦労の今年のチャンピオンズトロフィーであるが、パルク・デ・プランスには通常のリーグ戦とほとんど変わらない4万3000人以上の観衆が集まった。
冬の移籍市場においてパリサンジェルマンはブラジルのサンパウロからルーカス・ベラウドを獲得した。プレスネル・キンペンベが不在であることもあり、この20歳のストッパーをベンチ入りさせている。昨季のリーグチャンピオンで今季も首位でリーグを折り返したパリサンジェルマンはこのタイトルを過去11回獲得している。特に近年は相性がよく、直近10回のうち敗れたのは2021年にイスラエルのテルアビブでリールに敗れただけである。
一方、初出場となるトゥールーズは昨季はフランスカップでは優勝したが、リーグ戦では13位、今季も前半を終えて16位、10月1日の第7節のメッス戦を最後に勝ち星がない。しかし、リーグ戦で10戦勝ちなしという期間においてもヨーロッパリーグでは3勝、イングランドのリバプールにも勝利している。また、リーグ戦ではパリサンジェルマンと第2節でホームで対戦、1-1で引き分けており、ファンはジャイアントキリングを期待する。
パリサンジェルマンのキックオフで始まった試合、2024年最初のゴールは開始早々に記録された。3分に李康仁がムーサ・デンベレからのパスを受け、左足でシュート、アジアカップでチームを間もなく離脱する韓国代表選手が先制点を決めた。
■キリアン・ムバッペ、パルク・デ・プランスでクラブ史上最多となる111得点
チームを離脱するのは李康仁だけではない。アフリカネーションズカップにモロッコ代表として出場するアクラフ・ハキミもサイドを駆け抜ける。パリサンジェルマンが優勢に試合を進めるが、トゥールーズも数少ないチャンスをシュートに結び付けるがジャンルイジ・ドンナルンマに阻まれる。
そして前半終了間際の44分にはブラッドレー・バルコラからのパスを受けたキリアン・ムバッペが右足で強烈な追加点を決める。ムバッペはパルク・デ・プランスで通算111得点目となり、本拠地でクラブ史上最多得点記録者となった。
後半は両チーム無得点でパリサンジェルマンが2-0で勝利、12回目のチャンピオンズトロフィーを獲得するとともにルイス・エンリケ監督にとっても初タイトルとなった。(この項、終わり)