第3350回 ドイツ、チリと連戦(6) ワールドカップ予選で苦戦するチリ
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■ワールドカップ南米予選で8位のチリ
3月26日にマルセイユで行われるチリ戦、フランスはドイツ戦の敗戦から立ち上がりたいところである。対戦相手のチリは2026年のワールドカップに向けて南米予選を戦っている。米国、カナダ、メキシコで共同開催される次回の大会は出場国数が増加し、10チームがエントリーする南米からはこれまでは4.5チーム(南米予選4チーム+大陸間プレーオフ1チーム)であったが、6.5チーム(南米予選6チーム+大陸間プレーオフ1チーム)に拡大される。2018年大会、2022年大会と南米予選で敗退しているチリにとってはチャンスである、しかし、昨年9月から予選が始まり、現在第6節まで終了したところであるが、チリは1勝2分3敗で8位と圏外にいる。また、有力国のアルゼンチン、ブラジルとはまだホーム、アウエーとも対戦していないため、実際の順位以上に厳しい状況である。
■久しぶりに欧州勢と対戦するチリ
南米予選は3月のインターナショナルマッチデーには行われないため、チリは親善試合を行う。チリは23日にイタリアのパレルモでアルバニアと対戦、3-0と勝利し、フランスに乗り込んできた。チリが南北の米大陸以外の国と試合をするのは2022年11月のポーランド戦以来のことである。チリにとってフランスと対戦することは南米予選の後半に対戦するアルゼンチン、ブラジルとの対戦時に有益であろう。
■過去のフランスとの戦績は五分のチリ
最近の成績が振るわないチリであるが、過去のフランスとの成績は2勝1分2敗と五分の成績である。最初の対戦は1930年の第1回のワールドカップもあるが、本連載の読者の皆様にとっては本連載の第1回から取り上げた2001年9月にチリで行われた親善試合についてはよくご存じであろう。これまで唯一、フランスがチリ国内で行った試合であり、フランスは1-2と敗れている。また、最新の対戦は2011年8月の親善試合、モンペリエでの試合は1-1と引き分けている。
直近2試合でフランスは勝利しておらず、フランスが勝利したのは今から30年前の1994年3月までさかのぼらなくてはならない。この試合はリヨンのジェルラン競技場で行われ、前年秋にワールドカップ予選で敗退し、監督がジェラール・ウリエからエメ・ジャケに交代し、その国内での初陣となる試合であり、フランスは3-1と勝利した。ただし、この時のチリはロハス事件によりワールドカップ予選の出場権をはく奪されて、フランス同様アメリカでの本大会には出場することができず、主力が所属するコロコロがリベルタドーレス杯に出場しており、6人を欠く陣容であった。そのようなチームと首都以外で対戦したというところは当時のフランスサッカーを取り巻く厳しい環境を表している。
■ドイツ戦とは大幅にメンバーを入れ替えたフランス
30年前の勝利は、額面通りには受け取ることができないため、今度こそフランスは勝利して64年前のパルク・デ・プランスでの6-0の勝利を再現したい。
親善試合ということに加え、ドイツ戦はスコアだけではなく内容的にも完敗であったこと、前回の本連載で紹介したパリサンジェルマン所属の選手はリヨンでの試合に全員が出場したこと、これらの要因も考慮したうえで、ディディエ・デシャン監督は大幅にメンバーを入れ替えた。
GKはマイク・メニャン、DFは右からジョナタン・クロース、ウィリアム・サリバ、イブラヒム・コナテ、テオ・エルナンデス、MFは中央の低い位置にオーレリアン・チュアメニ、右にユスフ・フォファナ、左にエドゥアルド・カマビンガ、FWは右にランダル・コロムアニ、左にキリアン・ムバッペ、中央にオリビエ・ジルーとなった。
ドイツ戦に引き続いて先発したのはチュアメニとムバッペの2人にとどまり、先発は9人が入れ替わったのである。(続く)