第3351回 ドイツ、チリと連戦(7) チリ戦でも序盤に先制点を許したフランス
平成23年東日本大震災、平成28年熊本地震、平成30年7月豪雨、台風15号、19号、令和2年7月豪雨、令和6年能登半島地震などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。
■30歳を超えて、74試合出場しているオリビエ・ジルー
3日前のリヨンでのドイツ戦から大幅にメンバーを入れ替えたフランス、ご当地のマルセイユからはジョナタン・クロースが先発、リヨンでは先発4人を含む5人全員が出場したパリサンジェルマン勢はキリアン・ムバッペとランダル・コロムアニの2人にとどまった。
攻撃陣はパリサンジェルマンの2人とオリビエ・ジルーである。ジルーはドイツ戦では後半途中から交代出場したが、この時37歳174日、これはフランス代表のフィールドプレーヤーとしては最年長での出場記録となった。GKまで含めるとベルナール・ラマ、スティーブ・マンダンダがこれを上回り、最年長はマンダンダが2年前のワールドカップのチュニジア戦で記録した37歳247日である。なお、これまでのフィールドプレーヤーの最年長出場記録は、本連載第3117回で紹介したラルビ・ベンバラクの37歳122日である。ベンバラクは15年と10か月にわたってフランス代表を務め、これはいまだに破られぬ記録である。
ただ、ジルーもチリ戦が代表出場131試合目であるが、そのうち74試合は30歳以降の出場である。30歳以降に代表戦への出場が74試合というのはフランス代表における記録であるが、おそらく他国でも30歳を過ぎてからこれだけ代表戦に出場している選手は少ないのではないだろうか。
■新調した白のセカンドユニフォームを初めて着用したフランス
この3月の連戦を機会にフランスはユニフォームを新調し、ドイツ戦で着用した青いファーストユニフォームについては本連載第3347回で紹介したが、チリ戦では白いセカンドユニフォームを着用する。白いユニフォームは縦縞が入っているが、身体の右側が青いストライプ、左側が赤いストライプになっているのが特徴である。
大幅に選手を入れ替えたフランスに対し、チリは3日前のアルバニア戦と全く同じメンバーでフランス戦に臨んできた。その中にはトゥールーズに所属するガブリエル・スアソも注目を集めるが、マルセイユのファンに追ってはアレクシス・サンチェスであろう。サンチェスは2022-23シーズンにはマルセイユに所属し、リーグ戦ではほとんどの試合に出場しており、ファンにも鮮明に記憶が残っている。キックオフ前の練習時間帯から大きな拍手を浴びていた。
■6分にチリのマルセリーノ・ヌネスが先制ゴール
チケット販売が伸び悩んだが、マルセイユのベロドロームには若干空席のある5万人の観客が集まり、フランスのキックオフで試合が始まった。序盤から赤いユニフォームのチリは左サイドから攻めあがるが、フランスは右DFのクロースが対応し、チリの攻撃を止める。しかし、6分、チリは右サイドから攻撃を仕掛ける。マウリシオ・イスラがヒールキックでサンチェスとワンツーパスを右サイド深くでつなぐ。イスラはマイナスのパスをペナルティエリア内に供給し、そこに走りこんできたのがマルセリーノ・ヌネスであった。右足でダイレクトにショートを放ち、フランスのGKマイク・メニャンのセーブは及ばす、ボールはゴールに突き刺さった。
■2試合連続で開始10分以内に失点したフランス、ジョナタン・クロースが負傷退場
フランスはドイツ戦に続き、先制を許してしまう。ドイツ戦で先制を許したのは開始8秒のことであり、フランスは開始10分以内に2試合連続で失点したことになる。フランスが開始10分以内に2試合連続で失点したのは2008年8月20日のスウェーデンとの親善試合、9月6日のワールドカップ予選のオーストリア戦以来、16年ぶり、ちょうどウーゴ・ロリスが代表にデビューした時のことである。
そして失点の直後にクロースがグラウンドに倒れ、立ち上がることができず、ピッチの外で治療を受けるが、試合続行は不可能となる。フランスのベンチは急遽ジュール・クンデをピッチに送り込む。11分に投入されたクンデはドイツ戦では59分プレーしており、ドイツ戦以上のプレータイムが要求されることになった。
このように、立ち上がりに失点、負傷による選手交代が続いたフランス、年初からの連敗となれば、スペインとオランダに敗れた1981年以来のことになるのである。(続く)