第3409回 3回目のパリオリンピック(1) 21歳以下の欧州選手権は準々決勝敗退

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■1900年パリ大会から正式競技となったサッカー

 近代オリンピックの創始者の出身地であるフランス、パリでは1900年、1924年に続き100年ぶり3回目の夏季オリンピックの開催となる。様々な競技が行われるが、本連載ではサッカーに絞って紹介しよう。
 長らくアマチュアの大会であったオリンピック、サッカー競技は正式競技として第2回の1900年のパリ大会から行われている。この時は国の代表チームではなく、単独チームが出場しており、代表チーム同士の戦いは1908年大会から始まった。

■プロ選手が解禁された1984年ロサンゼルス大会で金メダル

 フランスは長い間、オリンピックでは好成績を収めることができなかったが、唯一の栄光が1984年のロサンゼルス大会である。この大会からプロ選手の出場が認められることになった。この大会には後にワールドカップで活躍する選手も多数出場していたが、優勝したのはフランスであった。ロスアンゼルス大会は東欧勢がボイコットし、1948年のロンドン大会のスウェーデンを最後に長らく東欧勢が独占してきた金メダルを西欧勢としてフランスが奪回した。決勝戦はブラジルとの戦い、10万人以上の観衆の集まったローズボウルで、フランスはダニエル・シュエレブが得点王に輝いた。
 これを機にフランスをはじめとする西欧の時代が来るかと思われたが、1988年大会はソ連が優勝、1992年大会は地元スペインが優勝したが、1996年大会はナイジェリアが優勝した。フランスはロスアンゼルスでの優勝以降は、1996年大会に出場して準々決勝に進出しただけで、予選敗退が続き、ようやく2020年大会(2021年に実施)に出場した。この東京での戦いの模様は本連載第2858回から第2865回で紹介したが、予選を勝ち抜いた選手の多くが所属チームの主力に成長したがゆえに招集に苦心し、グループリーグで敗退した。25年ぶりに本大会に出場したものの、自国開催を控えた次回に向けて不安の残る結果となった。

■オリンピック予選を兼ねた2023年の21歳以下の欧州選手権

 今回は開催国ということで予選免除であるが、欧州予選を兼ねた21歳以下の欧州選手権の戦いの中で準備を進めてきた。2023年大会は2000年1月以降生まれが出場資格で、予選は2021年9月から2022年6月にかけてグループリーグ、2022年9月にプレーオフが行われ、本大会は2023年6月から7月にかけてルーマニアとジョージアで行われた。
 2017年からこの年代のチームを率いているシルバン・リポル監督は、21歳以下の欧州選手権では2019年大会で準決勝進出、2021年大会では準々決勝進出という成績を残している大会での成績だけではなく、育成も重要で、教え子の多くが現在のフランスのフル代表として活躍している。しかし、地元開催の2024年大会に向けてフランスはこの大会では成績を残しておきたいところである。予選ではアウエーのウクライナ戦とフェロー諸島戦で引き分けた以外は勝利し、8勝2分で本大会出場を決めた。

■グループリーグでは首位通過も、準々決勝でウクライナに逆転負け

 本大会には16チームが出場、2019年以降の21歳以下の欧州選手権の本予選の成績を合算してシード順を決める。開催国となるルーマニアとジョージアも第1シードではなく、成績順に振り分けられ、フランスは全体4番目となり、スペイン、ポルトガル、ドイツに続いて第1シード入りする。
 フランスはグループDとなり、ルーマニアのクルジュ・ナポカでイタリア、スイス、ノルウェーと対戦し、3連勝してグループ首位で決勝トーナメントに進む。
 決勝トーナメント初戦となる準々決勝はグループBで2位通過となったウクライナと対戦した。予選でも対戦し、フランスはホームで5-0、アウエー(ウクライナはロシアによる侵攻のため、トルコのイスタンブールで開催)では3-3と引き分けている。フランスは優位に試合を進め、19分にラヤン・シェルキが先制ゴールを奪う。その後も、多くのシュートを放ったものの、なかなか追加点が決まらない。逆にウクライナは32分にPKで同点に追いつき、44分に逆転する。終盤の86分にもウクライナに追加点を決められ、フランスは1-3と準々決勝で敗退したのである。(続く)

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