第3411回 3回目のパリオリンピック(3) 直前の強化試合では好調なティエリー・アンリのフランス代表

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■オリンピックを挟んで行われる2025年の21歳以下欧州選手権予選

 地元開催のパリオリンピックにむけて、2023年8月にティエリー・アンリがオリンピック代表の監督に就任した。21歳以下の代表チームは2023年9月から2024年11月にかけて2025年に行われる21歳以下の欧州選手権の予選8試合が行われる。フランスはスロベニア、ボスニア・ヘルツェゴビナ、キプロス、オーストリアとホームアンドアウエー形式で戦う。予選は全部で8試合になるが、そのうち4試合を2023年中に行い、後半戦はオリンピックが終わった後の2024年9月から行われる。オリンピックに出場するフランスは2024年に入ってからオリンピックまでは親善試合を行うことになる。

■新監督就任以来4連勝のあと2連敗でオリンピックイヤーを迎える

 アンリ新体制は2002年1月1日以降に生まれた選手でチームが編成されるが、この中にはブラッドリー・バルコラ、ウォーレン・ザイール・エメリ、エリー・ワイなど本連載でその活躍を紹介している選手も名を連ねている。欧州選手権予選の初戦に先立ち、9月7日にはデンマークとの親善試合でスタートした。チームの中で最年少は2006年生まれのザイール・エメリであるが、ナンシーで行われたデンマーク戦ではキャプテンマークを付けた。1万5000人のファンの見守る中、フランスは4-1と圧勝した。
 そして、欧州選手権予選はアウエーで行われたスロベニア戦は4-0と快勝、10月13日のアウエーのボスニア・ヘルツェゴビナ戦は1-1で迎えた後半アディショナルタイムの92分、アルノー・カリムエンドが決勝点を決める。10月17日にグルノーブルで行われたキプロス戦では9-0と大勝する。
 就任以来4連勝のアンリ体制であるが、11月は厳しい結果となった。17日にはアウエーのオーストリア戦で0-2と敗れ、年内最後の試合は20日のルアーブルで韓国との親善試合、0-3と連続で完封負けを喫してオリンピックイヤーを迎えることになった。

■直前の3試合はいずれも本大会出場国と対戦

 3月にはフル代表の欧州選手権、オリンピックに向けた新ユニフォームも発表され、本大会の組み合わせ抽選も行われる。3月22日には23歳以下フランス代表というチーム名でオリンピックへの最初のチャレンジとなるコートジボワール戦、シャトールーで行われた試合でフランスは3-2と競り勝つ。25日にはソショーで米国と対戦し、2-2と引き分ける。
 そして最後の調整となるのが7月に国内で行われる3試合である。7月4日にバイヨンヌでパラグアイ、11日にトゥーロンでドミニカ共和国、17日に同じくトゥーロンで日本と対戦し、24日の本大会の初戦を迎える。この3か国はいずれも予選を勝ち抜いた本大会出場国である。そしてこの間の8日に最終登録メンバー18人が発表される。

■パラグアイ、ドミニカ共和国に大勝、日本とはドロー

 パラグアイ戦にはオーバーエイジの選手としてアレクサンドル・ラカゼットが加わった。33歳のラカゼットは7年ぶりのフランス代表としてプレーし、ラカゼット自身はノーゴールであったが、チームは南米予選を首位で通過したパラグアイを4-1と一蹴した。
 11日には北中米・カリブ海の代表、ドミニカ共和国と対戦した。オリンピック初出場となるドミニカ共和国に対し、フランスは前半から一方的に攻める。前半は2点どまりであったが、後半開始早々にはこの日も先発出場したラカゼットがゴールを決める。若い選手の中で経験豊かでリーダーシップのあるラカゼットのゴールはチームを勢いづけ、後半はラカゼットのゴールを含む5点をあげ、最終スコアは7-0と大勝であった。
 最後のテストの相手は日本である。日本は序盤は運動量を活かし、これにフランスは悩まされたが、次第にフランスがリズムをつかみ、力の差をあらわにする。それでも日本は先制点を奪う。25分にフランスはボールを奪われ、日本はスピードある攻撃で先制点を奪う。試合を支配したフランスは同点のチャンスを何度も逃し、ようやく後半に張ってラカゼットがヘディングでつないだボールをミカエル・オリーズが決めて追いついたが、その後も日本のGKを中心とする守備を崩せず、1-1のドローに終わる。しかし内容的には充実し、開幕を迎えたのである。(続く)

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