第3414回 3回目のパリオリンピック(6) オーバーエイジの選手の活躍で米国に勝利

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■3人のオーバーエイジの選手が並んだ米国戦の先発メンバー

 オリンピックチームの常とはいえ、自国開催となってもベストメンバーとは程遠い陣容となったフランス、しかしファンの期待は40年ぶりの金メダルである。
 フランスのグループリーグの日程は第1戦は7月24日にマルセイユで米国戦、第2戦は27日にニースでギニア戦、第3戦は30日にマルセイユでニュージーランド戦となっている。2回目の金メダルへの第一歩は7月24日、マルセイユで始まった。
 今大会でいち早くラ・マルセイエーズが響き渡ったベロドローム、フランスの先発メンバーを紹介すると、GKはギヨーム・レステ、DFは右からキリアン・シルディリア、ロイック・バデ、カステロ・ルクバ、アドリアン・トルフェール、MFは右からエンゾ・ミロ、マヌ・コネ、ジョリス・ショタール、トップ下にミカエル・オリーズ、FWは右にジャン・フィリップ・マテタ、左にアレクサンドル・ラカゼットという陣容である。このうちバデ、マテタ、ラカゼットはオーバーエイジであり、オーバーエイジ枠をフルに使用した。
 主将を務めるのはラカゼット、この中で最年長であることに加え、リヨン時代はマキシム・ゴナロンが不在の時に主将を務め、アーセナル(イングランド)では2021-22シーズンに主将を任されており、主将としての経験もある。

■緊張の解けない前半は両チーム無得点

 フランスのキックオフで始まった試合、立ち上がりからボールを支配したのはフランスであったが、先にチャンスを得たのは米国であった。12分にCKからヘディングシュートするが、ゴールにはならない。その直後に今度はフランスが右サイドから攻撃を仕掛け、オリーズがクロスを上げるが、中央のコネの飛び出しが遅れる。ボールを支配された米国の守備陣ゴール前の低い位置に張り付いてフランスの攻撃に耐える。フランスもなかなかシュートを放つことができず、30分を過ぎても両チームは枠内シュートを記録していない。ようやくこの試合初めての枠内のシュートが記録されたのは35分、コネのシュートは米国のGKパトリック・シュルトがセーブする。終了間際にマテラもシュートを放ったが、前半は開幕戦の緊張が両チームとも解けないままにハーフタイムを迎えた。

■アレクサンドル・ラカゼットが先制点、3点を奪って勝利

 後半は両チームの緊張が解けて、活発な展開となる。後半開始早々、米国のハリエルのヘディングシュートが枠をとらえるが、レステがキャッチする。フランスも反撃、両チームが競り合う展開となるが、この試合で最初にゴールネットを揺らしたのは、両チームを通じて最年長のラカゼットであった。61分、20メートルのミドルシュートに米国GKのレステは動くことができなかった。
 先制点を奪われた米国はその直後にフランスのゴール前に迫るが、レステがセーブする。前がかりになった米国に対し、フランスは69分にラカゼットのパスをオリーズが決めて追加点となる。
 85分にはオーバーエイジのバデがショタールのCKをヘディングで合わせて3点目、結局、3-0と勝利を飾った。

■全3得点にからんだオーバーエイジの選手

 特筆すべきは3得点にオーバーエイジ枠で加入した選手が絡んだことである。年齢的にはピークを過ぎているとはいえラカゼットは、多くの選手が国内のリーグに所属しているチームを主将としてまとめ、かつてリヨンで活躍し、アーセナルを経て、現在もリヨンに所属していることからメンバーをよく知っている。
 マテタはパリ郊外の生まれであるが、コンゴ民主共和国を出自とする。青年期にはユスフ・フォファナも所属していたジャンヌ・ダルク・ドランシーに所属し、18歳の時にシャトールーとプロ契約、リヨン、ルアーブルを経て、ドイツのマインツに移籍、現在はイングランドのクリスタルパレスでゴールを量産していることから、メンバーに加わった。
 バデは2000年4月生まれ、最年少のオーバーエイジであり、シルバン・リポル監督時代のチームでプレーしたこともある。現在はスペインのセルビアに所属するストッパー、2022-23シーズンのヨーロッパリーグの優勝メンバーである。3人のオーバーエイジの活躍で8月9日の決勝戦終了後にラ・マルセイエーズを聞くことができるだろうか。(続く)

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