第3416回 3回目のパリオリンピック(8) ワールドカップ決勝の再現はフランスが雪辱

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■ワールドカップ優勝に続きオリンピック優勝も狙うアルゼンチン

 グループリーグを3戦全勝したフランス、決勝トーナメント進出は1996年のアトランタ大会以来の快挙となる。メンバー構成に関しては前回の東京大会同様アンダーエイジもオーバーエイジもベストメンバーとは言えないが、オーバーエイジの3人の活躍に触発されて、チーム全体が機能した。特に、第3戦のニュージーランド戦ではそれまで出場しなかった選手を多数ピッチに送り込んだが、快勝した。
 そして決勝トーナメントの初戦である準々決勝はグループBを2位通過したアルゼンチンとボルドーのマットミュット・アトランティック競技場で対戦する。アルゼンチンは南米予選ではパラグアイに次いで2位であったが、2004年アテネ大会、2008年北京大会で優勝しており、第3413回の本連載で紹介した通り、過去5大会の成績からなるポイントは全体で3番目となり、第1シードである。グループリーグでは初戦のモロッコに敗れたが、イラク、ウクライナに連勝して2位になった。アルゼンチンはフル代表として活躍した36歳のニコラス・オタメンディが主将を務める。オタメンディは2022年のワールドカップでも活躍しており、優勝メンバーとなっており、史上初めてのワールドカップ優勝経験者としてのオリンピック優勝を目指す。

■ワールドカップ優勝メンバーが4人そろうアルゼンチン

 両チームとも前回の東京大会ではグループリーグで敗退しているが、2022年のワールドカップ決勝の再現となる。アルゼンチンはオタメンディの他、GKのヘロメロ・ルジ、FWのフリアン・アルバレス、ティアゴ・アルマダがワールドカップ優勝メンバーである。なお、ルジとアルバレスはオーバーエイジ、ルジはワールドカップでは出場機会がなかったが、今季マルセイユに移籍してきた。またアルマダはワールドカップ優勝当時は米国のアトランタ・ユナイテッドに所属しており、北中米カリブ海のクラブに所属する初めてのワールドカップチャンピオンとなっている。

■第1戦と同じメンバーで臨むフランス

 兄貴分のワールドカップ決勝での雪辱を図りたいフランス、GKはギヨーム・レステ、DFは右からキリアン・シルディリア、ロイック・バデ、カステロ・ルクバ、アドリアン・トルフェール、MFは右からエンゾ・ミロ、マヌ・コネ、ジョリス・ショタール、トップ下にミカエル・オリーズ、FWは右にジャン・フィリップ・マテタ、左にアレクサンドル・ラカゼットとグループリーグ初戦の米国戦と同じシステムとメンバーとなった。対するアルゼンチンは4人のワールドカップ優勝メンバーがそろって先発する。
 この試合が最後の準々決勝であり、すでにモロッコ、スペイン、エジプトがベスト4に進出、勝者は準決勝でエジプトと対戦する。

■序盤のジャン・フィリップ・マテタの得点でフランスが勝利

 試合は開始からフランスが押し込む。5分にオリーズが攻め込み、アルゼンチンはCKに逃れる。オリーズがCKを蹴り、これをヘディングで合わせたのはマテタであった。マテタはニュージーランド戦に続き、先制点を決める。チームで初めての2点目を決めた。そしてトップ下のオリーズはこれが3アシスト目となった。
 その後は両チームとも相手ゴールに迫るが、両チームのGKの活躍によってスコアは動かない。ボール支配率ではリードされているアルゼンチンが上回るものの、フランスが1点リードして折り返す。
 後半に入るとアルゼンチンはさらに攻勢を強めるが、84分にフランスは交代出場したマグリス・アクリウシュのパスをオリーズがシュートを決めたが、VARの結果、アクリウシュのファウルがあってゴールは取り消される。後半のアディショナルタイムは10分、試合終了の笛が吹かれるとともにフランスのミロがアルゼンチンの選手に頭突き、これを契機として両チームの乱闘となった。試合はフランスが1-0で勝利したが、実力チーム同士の対戦であったが、最後は残念な事件が起こったのである。(続く)

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