第3418回 3回目のオリンピック(10) 欧州選手権との二冠を目指すスペイン
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■決勝に進出し、初めてパリで試合をするフランス
エジプトを延長戦の末破ってフランスは決勝に進出した。決勝の舞台はパルク・デ・プランス、パルク・デ・プランスではグループリーグ4試合、準々決勝1試合がここまで行われてきたが、フランスは決勝に進出するまで、このパリの競技場で試合をすることはなく、ようやく約束の地にたどり着いた。
■決勝の相手はスペイン
決勝が行われたのは8月9日、そしてその相手はスペインである。スペインは欧州予選に相当する2023年の21歳以下の欧州選手権ではイングランドに決勝で敗れて準優勝となったが、イングランドはオリンピックに出場資格がないため、欧州の第1代表となった。グループリーグでは連勝して、決勝トーナメント進出を決めた後のエジプト戦で敗れて2位通過となったが、決勝トーナメントでは準々決勝で8大会連続出場の日本に3-0と勝利する。
準決勝ではジブラルタル海峡を挟んだモロッコと対戦した。モロッコのオーバーエイジ枠は、2022年のワールドカップでも活躍したアクラフ・ハキミ、ムニル・モハメディに加え、今大会で毎試合得点を記録しているスフィアン・ラヒミという強力なメンバーで臨んでいる。マルセイユで行われた試合、開始17分で主審が負傷したために交代するというハプニングがあり、37分にはラヒミがPKを決め、5試合連続ゴールとなり、モロッコが先制する。これに対してスペインは後半に入って65分、フェルミン・ロペスが同点ゴール、85分にはファンルが逆転ゴールを決めて、決勝進出を決めた。
■因縁のカードとなるフランス-スペイン戦
フランスは1984年のロスアンゼルス大会以来2回目の優勝を目指すが、スペインも唯一の優勝は1992年のバルセロナ大会であり、フランス同様、優勝すれば2回目である。そして、両チームにはこれ以上ない因縁がある。まず、記憶に新しいところでは、このカードは7月に行われたフル代表の欧州選手権の準決勝と同じである。欧州選手権を制したスペインはオリンピックとの二冠を狙うが、もし欧州選手権とオリンピックの二冠を達成すれば、1984年のフランス以来の偉業となる。その1984年のフランスは欧州選手権の決勝ではスペインを下している。そしてその欧州選手権の決勝はパルク・デ・プランスで行われたのである。1998年にスタッド・ド・フランスが完成してからは、主役の場を譲ったパルク・デ・プランスであるが、今回、40年ぶりに主役となるチャンスが巡ってきたのである。
■フル代表経験者を多数含むスペイン
しかし、スペインの陣容は強力である。前回の東京大会でも銀メダルを獲得したが、この時は前月に行った欧州選手権(オリンピックと同様に1年延期)に出場したメンバーを多数オリンピックに送り込んだ。今回のスペインはオーバーエイジにはフアン・ミランダ、アベル・ルイス、セルヒオ・ゴメスの3人を招集したが、フル代表での実績は乏しい。欧州選手権のメンバーにもエントリーされたのはアレックス・バエナ、フェルミン・ロペスだけであり、エリック・ガルシアは予備メンバーに入ったが、大会前にメンバーから外されている。今回の欧州選手権にはオリンピックの出場資格となる2001年以降生まれの選手でラミン・ヤマル(2007年生まれ)、ニコ・ウィリアムズ(2002年生まれ)、ペドリ(2002年生まれ)がいたが、いずれもオリンピックメンバーにはなっていない。
このように前回の東京大会よりはフル代表や直前の欧州選手権で活躍した選手は少ないが、それでもフランスよりも充実したメンバーであることは否定できない。
フル代表では先月対戦したばかりであるが、オリンピックでの両チームの対戦はこれまでに1度だけである。1996年のアトランタ大会のグループリーグで対戦、1-1で引き分けているが、この時のスペインの得点者のオスカル・ガルシアはフル代表には入れなかったものの、引退後、様々なクラブの監督を務め、サンテチエンヌ、スタッド・ド・ランスというフランスのクラブでも監督を務めたのである。(続く)