第157回 1月のフランス熱狂、3つのスポーツイベント(3) 男子バスケット、楽々と予選突破

■最終シリーズを待たず、ほぼ確実な本大会出場

 前回大会の終了直後から争われてきた2003年男子バスケットボール欧州選手権予選。第3シリーズまで終了した時点でフランスは6勝2敗(得失点差+75)で首位に立ち、2位はフランスと同じ6勝2敗で前回ベスト8のリトアニア(得失点差+42)、3位は4勝4敗のハンガリー(得失点差+8)となっている。2位までに入れば予選突破、3位になった場合でも5グループの3位チームのうち最も成績の悪いチーム以外は出場権獲得となる。つまり、フランスもリトアニアも残り2試合のいずれかに勝てば、スウェーデン行きのチケットが獲得できる。また残り2試合に連敗して、ハンガリーが連勝し、得失点差で3位に落ちた場合も第3シリーズまで終了した時点での他のグループの3位チームの成績を勘案すると、3位グループの中で最も成績が悪いグループBのイスラエルが連勝してようやく勝ち点で並ぶ、というわけであり、フランスもリトアニアもほぼスウェーデン行きのチケットは手中にしている。
 ところが、この両チームが最終戦で直接対決するため、なんとしても1月22日の第9戦でスウェーデン行きのチケットを獲得したいところである。フランスはポーランドと、リトアニアはエストニアとそれぞれホームで対戦する。

■ドゥエで行われたポーランド戦

 スウェーデン行きをかけたポーランド戦はベルギー国境に近いドゥエで行われた。ドゥエと言えば、ルノーの工場があることから日本の皆様もよくご存知のことであろう。かつての炭鉱町をルノーが再生させた経験は昨今のピエール・スベストルによる日産の再生に活かされているであろう。
 ポーランド戦の会場はガイヤン・エクスポ・ホール。6500人収容のホールであり、「ブルー」はこれまでの予選の試合ではない大観衆の中で試合をすることになる。アラン・ベイス監督率いるフランス代表のメンバーは国内リーグに所属する選手7人と欧州他国のリーグに所属する選手3人から形成されており、NBAの選手は含まれていない。
 アウエーでの戦いでは延長の末、フランスがポーランドを振り切ったが、本大会に王手をかけているフランスとほぼ予選落ちが決定したポーランドでは勢いが違う。開始直後にポーランドにリードを与えた以外は終始フランスが試合の主導権を握った。この試合、フランスは代表歴が10試合以下の選手を4人起用するとともに、シリーユ・ジュリアンが昨年のこの時期に行われた予選以来1年ぶりにコートで「ラ・マルセイエーズ」を歌う。代表に復帰したジュリアンが大活躍し、1人でチーム最多となる25点をマークする。1997年スペイン大会のヒーローが戻ってきたのである。他に代表6試合目のボリス・ディア・リフィオがジュリアンに次ぐ19得点、代表3試合目のバンサン・マザングも15得点と活躍し、101-85とポーランドに快勝し、スウェーデン行きのチケットをつかんだのである。

■最終戦でリトアニアにも勝ち、有終の美

 最終戦はグルノーブルでリトアニアとの試合。フランスにとってはガラにも等しい試合だが、リトアニアは延長戦でエストニアに負けており、フランスに負けると3位転落の可能性もある。この試合はドゥエでの試合を上回る7000人の観衆が集まった。また、ベテランのムース・ソンコ、218センチの長身フレデリック・ベイスをメンバーに加え、有終の美を飾ろうとする。試合はシドニーオリンピック決勝で最多得点を記録したローラン・シアラが大活躍し、フランスが96-78と快勝する。ハンガリーも敗れたため、リトアニアが2位になり本大会出場となった。

■スウェーデンで実現するか「ドリームチーム」

 本大会は9月5日から14日までスウェーデンの5都市で行われるが、ベイス監督はNBAで活躍するトニー・パーカー(サンアントニオ・スパーズ)、タリク・アブドル・ワハッド(ダラス・マーベリックス)、アントワン・リゴードー(ダラス・マーベリックス)、ジェローム・モイゾ(ニューオーリンズ・ホーネッツ)の4人を欧州に戻し、「ドリームチーム」を結成したいと希望している。
 サッカーのフランスカップのパリサンジェルマン-マルセイユ戦は消化試合であるフランス-リトアニア戦と同じ夜に行われたが、この人気カードが3万人台しか観客動員できなかったことを考えるならば、サッカーの人気低下は深刻である。さらに、これに追い討ちをかけるスポーツイベントがもう1つあったのである。(続く)

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