第159回 1月のフランス熱狂、3つのスポーツイベント (5) 強豪スウェーデンを倒し、準決勝進出

■スロベニア、スウェーデンと対戦する2次リーグ

 前回紹介したように1次リーグ2位で2次リーグに進出したフランスはハンガリー戦の勝ち点2というアドバンテージをもらってスロベニア、スウェーデンと対戦する。全出場24チームのうち2次リーグに16チームが進出できるため、大会形式への疑問も呈されたが、1次リーグでは2次リーグで同じグループに背理かもしれないチームに勝っておきたいというモチベーションを各チームに持たせる工夫がなされていた。一方、2次リーグは2つの厳しさがある。まず、準決勝に進出できるのは上位1チームであるということ、そして2位には言ったチームも5位から8位までの順位決定戦に進出し、7位までが来年のアテネ・オリンピックへの出場権が与えられるということである。前回王者のフランスにとってもちろん目的は優勝であるが、優勝はできなくともオリンピックの出場権は、と虎視眈々とジャイアントキリングを仕掛けてくるチームもある。

■スロベニアに完勝、首位に立つ

 その2次リーグは1月29日のスロベニア戦で始まった。スロベニアは1次リーグ3位ながら首位のスウェーデンに29-25と勝っており、フランス同様勝ち点2のアドバンテージがあり、いきなり天王山となった。過去のフランスとスロベニアの対戦成績はフランスの9勝2分2敗。スロベニアの過去の成績はシドニー・オリンピックでの8位、2000年の欧州選手権の5位が最高である。
 ちょうどこのスロベニア戦の日にサッカーの世界ではフランスリーグの第24節が行われたが、フランス国民はフランス優勢の前評判というリスボンでの戦いに注視した。エスピーニョに舞台を移して行われたグループ4の初戦のスロベニア戦はフランスが地力の違いを見せる。フランスは得点を重ね、一度もリードを許すことなくスロベニアを31-22と一蹴する。またこの試合に先立って行われたスウェーデンとハンガリーの試合はスウェーデンが33-32と接戦を制する。この段階で、グループ4の順位は1位フランス(勝ち点4、得失点差+14)、2位スロベニア(勝ち点2、得失点差-5)、3位スウェーデン(勝ち点2、得失点差-3)、4位ハンガリー(勝ち点0、得失点差-6)である。得失点差で下回るスロベニアが2位になっているのは当該チームの直接対決の戦績が得失点差よりも優先するという大会規定によるものである。

■強豪スウェーデンと準決勝進出をかけて対戦

 すなわち、フランスは最終戦をスウェーデンと争うことになるが、フランスが勝つか引き分ければ、勝ち点で上回るフランスが準決勝に進出する。ところがフランスがスウェーデンに敗れた場合、両チームは勝ち点で並び、得失点差に関係なく、直接対決を制したスウェーデンが準決勝に進出し、フランスの連覇の道は途絶えるのである。さて、スウェーデンは強敵である。奇数年に開催される世界選手権の成績を見ても1997年大会準優勝、1999年大会優勝、2001年大会準優勝、オリンピックに関しては1992年のバルセロナ以来3大会連続して準優勝である。1996年以来開催された世界選手権、オリンピックで5大会連続して決勝に進出するという驚異的な成績を残している。当然フランスとの対戦成績も42回対戦して、スウェーデン29勝、フランス10勝、3引き分けとスウェーデンが圧倒している。

■守備陣が健闘し、スウェーデンを倒す

 しかし、フランスとしてはこの強敵を倒さない限り、準決勝、そして連覇への道は開かれないのである。前回の世界選手権決勝の再現となったフランス-スウェーデン戦は注目の一戦となった。この試合、フランスの守備陣が大活躍する。その中でも光ったのがGKのブルーノ・マルティニ、かつてのサッカーの代表GKであり、現在代表チームのGKコーチであるブルーノ・マルティニと同姓同名である。スロベニア戦はもう1人のGKのティエリー・オメイエとハーフタイムに交代したが、このスウェーデン戦では60分のうち59分に出場、スウェーデンのシュートを連続してストップした。また、攻撃陣もベルトラン・ジルが6得点の大活躍。日替わりでヒーローが出現するチームは強い。立ち上がりこそスウェーデンにリードを許したものの、すかさず逆転し、30-24と勝利をおさめる。この結果、フランスは準決勝進出を決め、あわせて来年のアテネ・オリンピックの出場権も獲得したのである。(続く)

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