第433回 ラグビーワールドカップの日程が発表

■ワールドカップと言えばサッカーではなくラグビー

 ワールドカップ予選でのスイス、イスラエルとの連戦を間近に控えているが、今日のフランスでワールドカップと言えば、来年ドイツで開催されるサッカーのワールドカップではなく、その翌年に自国で開催されるラグビーのワールドカップである。今世紀になってからのワールドカップは、サッカーは日本および韓国、ラグビーは豪州と、フランスとは時差のある地域で開催されてきたが、フランスではテレビ視聴率はラグビーが上回った。フランス代表の成績が視聴率に影響していることは事実であるが、ラグビー界のマーケティングの努力と言うものは評価しなくてはならない。この場合のマーケティングと言うのは必ずしもビジネスと言う意味だけではなく、競技人口の増加、競技の普及、そして競技に対する関心を高めることまで意味しており、その努力がワールドカップと言えばラグビー、という今日のフランスの空気を形成したと言えるであろう。

■大会2年半前に日程が発表、大会3年半前に予選プールが発表

 そして、今季の六か国対抗もたけなわの3月7日、ちょうど2年半後に開幕するワールドカップの日程が発表された。出場国は20か国であるが、現段階で出場が決まっているのは前回大会で準々決勝に進出した8か国だけであり、過半数の12か国はこれから予選を経て決定していくことになる。前回のベスト8はイングランド、豪州、ニュージーランド、フランス、南アフリカ、ウェールズ、スコットランド、アイルランドと言うかつ
てのインターナショナルボード8か国であり、優勝国がこの8か国から出ることは確実であり、それ以外の上位進出チームもこれらの国で占められるであろう。
 大会形式は前回大会と同様であり、5か国ずつ4つの予選プールに分かれ、各プールの上位2チームが決勝トーナメントに進出する。予選プール分けは大会3年半前にあたる昨年の5月に決定している。プールAは前回優勝のイングランドの他に、南アフリカ、オセアニア地区1位、アメリカ地区3位、オセアニア地区3位とアジア地区2位のプレーオフ、プールBは前回準優勝の豪州の他に、ウェールズ、オセアニア地区2位、アメリカ地区2位、アジア地区1位、プールCは前回3位のニュージーランドの他にスコットランド、欧州地区1位、欧州地区2位、アフリカ地区2位と欧州地区4位とアメリカ地区4位のプレーオフ、プールDは前回4位のフランスの他にアイルランド、アメリカ地区1位、欧州地区3位、アフリカ地区1位となっている。

■同時刻にキックオフする試合がない理由

 今回の日程発表は試合日と試合会場である。まず、大会期間は9月7日から10月20日までという長丁場であり、サッカーのワールドカップが1月であるのに比べればはるかにゆとりのある日程である。これは競技の性格だけではなく、十分なインターバルを設けてベストコンディションの試合を見てもらうと言うラグビー界のメッセージである。
 そして注目すべきは予選プールの最終戦である。サッカーのワールドカップや各種大会で、グループリーグの最終戦は意図的な敗戦や引き分けという駆け引きを避けるために同時刻にキックオフされるのが通例である。ところがラグビーのワールドカップでは予選プールが奇数チームで形成されていることもあるが、あえて別時刻にキックオフするようにしている。この理由は明確である。確かに駆け引きを行う可能性はあるが、同時刻に試合を行うことにより、別の試合をライブで見ることができなくなる。より多くの人により多くの試合を見てもらうために、キックオフの時間をずらしている、と主催者は説明している。実は予選プールと決勝トーナメントで合計48試合が予定されているが、同時刻にキックオフされる試合はないのである。

■恵まれた組み合わせとなった開催国フランス

 そして肝心のフランス代表の試合日程であるが、9月7日のスタッド・ド・フランスでの開幕戦ではアメリカ地区1位と、16日にラグビーの都トゥールーズでアフリカ地区1位と対戦し、21日に最大の強敵アイルランドとスタッド・ド・フランスで激突、30日にはサッカーの都マルセイユで欧州地区3位と対戦する。そして決勝トーナメントの初戦の準々決勝ではプールCのチームと対戦する。すなわち、今季の六か国対抗で全勝優勝したウェールズ、前回のファイナリストのイングランド、豪州とは準決勝まで顔を合わせないのである。(この項、終わり)

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