第477回 フェドカップで活躍する女子テニス(1) これまでに2度の優勝を誇るフランス

■男子に負けていないフランス女子テニス

 フランス代表も10月のスイス戦、戦を残すばかりとなったが、この戦いはあくまでも予選であり、この予選を勝ち抜いても、来年6月に開幕する本大会が待っており、世界一への道のりは険しい。
  サッカーが1998年のワールドカップ、2000年の欧州選手権を連覇した後低迷期に入っている中で、他の球技におけるフランスの成績は逆に輝かしいものがある。
  今回から紹介する女子テニスもその1つである。男子テニスについてはローラン・ギャロス、デビスカップについて本連載で何度か紹介している一方、女子テニスについては今回が初登場となるが、その実力は男子に遜色のないものである。女子の国別対抗戦ハフェドカップである。1963年に始まったこの大会、米国やチェコスロバキアがその王座を締めることが多かったが、フランスは1997年に初優勝を遂げ、男子のデビスカップとのアベック優勝を飾っている。

■かつての王者・米国を下して2度目の優勝

 2003年はモスクワで4か国を集めて準決勝と決勝が行われ、フランスは準決勝で地元ロシアに競り勝ち、ベルギーを下した米国と決勝で対戦する。準決勝2日間の後、1日の休息日を置いて決勝を2日間行うという過密スケジュールでの戦いとなったが、フランスは初日にアメリー・モーレスモとマリー・ピエルスがシングルスで連勝する。そして2日目はシングルスの試合でモーレスモが米国のナンバーワンのメグハム・ショーネッシを下して2度目の優勝を飾ったのである。

■快進撃で決勝に進出した2004年

 そして昨年もまた、フランス女子テニスは快進撃を続ける。1回戦はアミアンでドイツと対戦。この隣国にモーレスモを軸とするフランスは5-0と完勝して幸先のよいスタートを切る。準々決勝はイタリアとのアウエーでの対戦。初日のシングルスでモーレスモとピエルスが連勝、そして2日目のシングルスの第1試合でモーレスモが勝利して準決勝進出を決めたのである。
  準決勝に残ったのはフランス、ロシア、豪州、スペインの4か国である。前年同様、準決勝と決勝はモスクワでの集中開催となる。水曜日と木曜日に開催された準決勝でフランスはスペインと対戦する。ピエルスもメンバーに入っていたが、起用されず、16歳のタチアナ・ゴロバンと25歳のナタリー・デッシーがシングルス、25歳のエミリー・ロワと20歳のマリオン・バルトリがダブルスを組む。なんとこのインドアのハードコートというサーフェースでのスペインとの対戦、フランスは5試合で1セットも落とすことなく5連勝して決勝に進出したのである。そしてもう1つの準決勝は昨年決勝で敗れた地元ロシアとオーストリアとの対戦となった。ロシアは地元の声援を受け、こちらも5-0という圧勝で決勝に進出し、決勝は連覇を目指すフランスと初優勝を目指すロシアの顔合わせとなったのである。

■最後のダブルスで競り負け、連覇ならず

 金曜日が休息日となり、土曜日の27日に決勝のシングルス2試合が行われた。まず、登場したのはフランスのデッシーとロシアのスベトラナ・クズネツバ。デッシーは第1セットを落とすが、第2セットはタイブレイクを制し、1-1のタイスコアになる。そしてファイナルセットも8-6と競り勝ち、フランスが先勝する。第2試合はゴロバンがアナスタシア・ミスキナと対戦するが0-2で敗れ、初日を終わった段階で1-1のイーブンである。
  一夜明けて2日目の日曜日はシングルス2試合に続いてダブルスが行われる。デッシーがミスキナと対戦し、前日に勝利をあげた2人の戦いはミスキナが2-0で勝利して優勝に王手をかける。シングルス第2試合の出場する若いゴロバンにプレッシャーがかかる。しかし、この修羅場をゴロバンは乗り切る。クズネツバを6-4、6-1と一方的に下し、最後のダブルスが優勝をかけた大一番となった。フランスのペアはシングルスの試合では応援に専念、一方のロシアはシングルスに出場しなかったベラ・ズボネラがシングルスで2試合を戦ったミスキナとペアを組む。第1セットがいきなりタイブレイクとなり、このセットをロシアが先取する。続く第2セットも接戦となるがロシアが7-5で連取し、ついにロシアは初優勝を飾り、フランスの連覇の夢は消えたのである。(続く)

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