第538回 ラグビー・フランス代表100周年(4) 前半リード許すも大量得点差でイタリアに勝利
■2000年から6か国対抗に加わったイタリア
スコットランドにまさかの敗戦、アイルランドには終盤の猛反撃をかわして辛勝というフランス、100周年を迎えてグランドスラムという意気込みとは裏腹の立ち上がりとなった。
第2節が終了した段階で、連勝しているのはイングランド、連敗はイタリア、そして残りのフランス、アイルランド、スコットランド、ウェールズという4チームは1勝1敗である。第2節の2週間後に行われる第3節でフランスはホームでイタリアと対戦する。イタリアは2000年から6か国対抗に加わったが、それ以降フランスは6連勝している。また、過去6年間のフランスとイタリアの平均スコアを見るとフランスの得点は40点、一方のイタリアは17点と大きくリードしている。6か国対抗の大会規則では同勝ち点となった場合は全試合を対象とした総合の得失点差で順位が決定するため、そのときのことも考えるとフランスはイタリア相手に大量の点差をつけて勝利したいところである。ちなみにイタリアは第1戦でアイルランドに16-26、第2節でイングランドに16-31と順当に負けている。
■新旧フランス代表監督のピエール・ベルビジェとベルナール・ラポルト
さてそのイタリアとフランスは縁がある。まず先発メンバーの過半数の8人がフランスのクラブに所属していることである。特に注目すべきは司令塔にあたるSOを務めるペルピニャンのラミロ・ペスである。アルゼンチン出身の司令塔は前週におこなわれたカストル戦でも大活躍、34-3という大勝をおさめ、上機嫌でスタッド・ド・フランスに乗り込む。おりしもフランスの司令塔のフレデリック・ミシャラクがアイルランド戦で大ブレーキとなったために、両チームのSOが試合の明暗を分けるのではないかと予想された。
そしてこのイタリア代表を率いるのがピエール・ベルビジェである。フランス代表の名SHとして活躍したベルビジェは1991年の引退後すぐにフランス代表の監督に就任、1995年のワールドカップまで3年半代表監督を務める。フランス代表在任中最大の貢献は1994年夏のニュージーランドツアーであり、フランス代表が始めてニュージーランドで勝ち越すという快挙を成し遂げた。昨年の6か国対抗終了後、イタリア代表監督に就任している。一方、フランス代表監督はベルナール・ラポルト、現役時代はこれといった実績がなかったが、現役引退後スタッド・フランセの監督に就任し、長らく低迷していた古豪を復活させた。この手腕が認められ、1999年秋にフランス代表の監督に就任した。つまり、新旧のフランス代表監督が初めて6か国対抗で対戦することになったのである。
■ペルピニャンのペスが大活躍、前半はイタリアがリード
立ち上がりの3分にフランスはジャン・バプティスト・エリサルドがPGを成功させて先制、これを皮切りに大量点を獲得したいフランスであったが、その思惑が外れる展開となった。注目のイタリアのSOペスが9分に同点の40メートルのPG、17分にはほとんどハーフウェイライン上からPGを決めて逆転、さらに23分にも40メートルのPGを決め、差を広げる。フランスはようやく26分にトマ・リエーブルモンが右隅にトライ、5点を返すがエリサルドのゴールは失敗し、逆転にはいたらない。逆にペスは40メートルのDGを決めて、12-8とイタリアがリードして前半を終える。フランスがもしもイタリアに負けるとなれば1997年以来のこととなる。
■後半に4トライで逆転勝利、2勝1敗で4チームが並ぶ混戦
後半に入ってフランスは巻き返す。57分にヤニック・ニヤンガが逆転トライを決め、その後も65分、76分、79分とトライを重ねる。この後半の逆転劇の立役者はFBに起用したトマ・カステニエードと前半終了間際にエリサルドに代わって出場したディミトリ・ヤシビリである。フランスの至宝と言われるカステニエードは今季の6か国対抗では初登場となる。本来のWTBを務めるクリストフ・ドミニシとのコンビプレーが秀逸であった。またヤシビリはキッカーを務め、3ゴールを決める。彼らの活躍もあり、最終的には37-12というスコアでフランスはイタリアに勝利する。
25点差の勝利により、フランスは得失点差を+33まで伸ばした。連勝スタートのイングランドがスコットランドに敗れ、第3節を終了した時点でイングランド(得失点差+43)、フランス(+33)、アイルランド(+24)、スコットランド(0)の4チームが2勝1敗で並ぶ混戦となった。フランスは首位イングランドに第4節で挑戦することになったのである。(続く)