第603回 2006年バスケットボール世界選手権(4) グループA2位で決勝トーナメント進出

■油断ならない後半3試合

 第1戦でアルゼンチンに敗れたものの第2戦でセルビア・モンテネグロに競り勝ったフランス、残る3試合の相手はナイジェリア、レバノン、ベネズエラである。過去の実績、世界ランキングなどではフランスが圧倒しているが、実はこの3チームすべては最初の2試合で1勝をあげている。
 まずナイジェリアは前回優勝チームのセルビア・モンテネグロを第1戦で82-75と下しており、ベネズエラはそのナイジェリアを第2戦で84-77と一蹴している。ところがそのベネズエラも第1戦ではレバノンに72-82と敗れており、この3チームはすべて1勝1敗である。つまりグループA には絶対的に弱いチームがないことを示しており、フランスにとっては油断ならない相手との後半戦となる。

■ナイジェリアの猛追を振り切ったマムトゥ・ディアラの活躍

 休養日前の8月21日は第1試合はアルゼンチン-ベネズエラ、第2試合はセルビア・モンテネグロ-レバノン、第3試合はフランス-ナイジェリアと前評判の高かった3チームと低かった3チームが対戦することになった。第1試合はアルゼンチン、第2試合はセルビア・モンテネグロと順当勝ちし、ようやく大会3日めにして上位陣が落ち着いてきた。フランスも第1クォーターから順調に得点を重ね17-7と大差をつけて最初のクォーターを終える。第2クォーターも16-8とダブルスコアでフランスがリードを広げ、第3クォーター途中で20点差がついたときは誰しもがフランスの大勝を予想したであろう。
 しかし、ナイジェリアはここから怒涛の得点ラッシュとなり、フランスを追い上げる。第3クォーターは結局ナイジェリアが21-14とリードして11点差、試合の行方はわからなくなった。この第4クォーターで救世主となったのがトニー・パーカーの負傷を受けて急遽招集したマムトゥ・ディアラである。3ポイントシュートを連発し、ナイジェリアの逆転劇を阻止する。4年前のサッカーのワールドカップでは大黒柱の負傷に対して何の策も打たずに敗退している。今回は大黒柱の戦線離脱を受けて代役を呼び寄せ、見事に期待に応えたのである。

■試合終了直前に悪夢の逆転を喫したレバノン戦

 そして運動量で勝負するフランスにとって22日の休養は23日のレバノン戦に向けた絶好の休養となるはずであったが、レバノン戦は厳しい戦いとなった。グループAはアルゼンチンが4連勝、セルビア・モンテネグロも立ち直って2勝2敗、フランスも1勝2敗のレバノンに勝って3勝目をあげたいところである。アジア2位のレバノンはこの日はファディ・エルハティブが1人で29点という大活躍を演じる。レバノンが前半は圧倒的に攻め、第1クォーターは21-14、第2クォーターは22-16と前半終了時点でフランスは13点のリードを奪われる。第3クォーターにフランスの反撃が始まった。第3クォーターはフランスが19-10と4点差に迫る。そしてこの勢いは止まらず、第4クォーターの終盤にフランスはついに逆転、残り23秒で74-72と逆転する。最悪でも同点というこの状況でフランスは絵に描いたような逆転劇を喫し、74-75と敗れ、2勝2敗となって最終戦のベネズエラ戦を迎えることになった。

■ベネズエラ戦で大勝、アルゼンチンに次ぐ2位に

 24日のグループリーグ最終戦を迎える段階でアルゼンチンが独走し4勝、フランス、レバノン、セルビア・モンテネグロが2勝2敗、ナイジェリアとベネズエラが1勝3敗という成績である。この日もフランスは最終試合である。第1試合はアルゼンチンとセルビア・モンテネグロという前回大会決勝戦の再戦となったが、アルゼンチンは手を抜くことなく勝利して5勝、セルビア・モンテネグロは2勝3敗で日程を終え、残りの試合結果に希望をつなぐ。第2試合は勝てば決勝トーナメントというレバノンがナイジェリアに大敗し、両チームとも2勝3敗となり、3チームが同勝ち点で並んだが、大会規定によりナイジェリア、セルビア・モンテネグロ、レバノンの順になる。
 さて、フランスがベネズエラに負ければ、5チームが2勝3敗で並ぶという大混戦になり、ゴールアベレージで不利なフランスが決勝トーナメント進出を逃す可能性も強い。フランスはこの最終戦で地力を見せ、守備陣がよく頑張り、ベネズエラに付け入る隙を見せなかった。攻撃陣は思うような成績を残すことができなかったが、81-61という大差で3勝目をあげる。フランスは単独2位となり決勝トーナメント進出を決めたのである。(続く)

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