第620回 2006年女子バスケットボール世界選手権(3) ロシアに勝利、決勝トーナメントに前進
■チャイニーズ・タイペイ相手に100点ゲーム
前年の欧州選手権の優勝国であるチェコを破り、幸先のよいスタートとなったフランス女子バスケットボール代表チーム、その翌日の9月13日にはチャイニーズ・タイペイとの対戦となった。1次リーグ突破は確実であるが、勝ち星を重ね、決勝トーナメント進出へ有利なポジションを確保したいフランスにとって、初日にキューバに70-75で敗れているチャイニーズ・タイペイ相手に確実に勝利を重ねておきたいところである。
試合は一方的な展開となり、フランスが得点を重ね、100-68という大差で勝利する。フランスにとって世界選手権での100点ゲームは1994年に豪州で行われた第12回大会でケニヤに108-44で勝利して以来のこととなった。ちなみに今大会でも100点ゲームは前日に米国が中国相手に119-72というスコアで記録しているが、この119得点は世界選手権史上最多得点の新記録である。
■キューバに思わぬ敗戦
2連勝で2次リーグ進出を確保したフランスの1次リーグ最終戦は14日のキューバ戦である。ところが、楽勝を予想されたフランスと1勝1敗で最終戦を迎えるキューバとの戦いは意外な展開となった。第1クォーターでフランスは19-22とリードを許す。第2クォーター中盤には10点のリードを許すと言う展開となった。その後フランスも挽回し、前半を34-35と言う1点ビハインドで終了する。
後半に入って、フランスが逆転し、一時は7点リードをしたが、その後は一進一退の動きが続き、第3クォーターを終えて54-55とほぼ互角の展開となり、最後の10分間を迎える。ここでフランスは突き放され、最終スコア73-78と5点差で敗れてしまう。この結果1次リーグのグループDはチェコ、フランス、キューバが2勝1敗で並び、3チームが2次リーグに進むことになったが、このキューバ戦の敗戦がその後大きく影響することになる。
■複雑な2次リーグの方式
2次リーグの方式は少々複雑である。2次リーグはグループEとグループFの2つからなり、グループAとグループBを勝ちあがってきた6チームがグループEを構成し、グループCとグループDの勝ちあがり6チームがグループFとなる。2次リーグでは1次リーグで対戦しなかった3チームと試合を行う。そしてこの3試合の結果と1次グループ3試合の対戦成績を加えて、成績をつけ、上位4チームがトーナメント方式の決勝トーナメントに進出するのである。
フランスの場合に当てはめると、フランスのグループFは、グループCからは米国(3勝)、ロシア(2勝1敗)、中国(1勝2敗)の3チーム、グループDからはチェコ(2勝1敗)、フランス(2勝1敗)、キューバ(2勝1敗)の6チームからなり、フランスはロシア、米国、中国と言う順番で対戦する。
上位4チームが決勝トーナメントに出場することから、通算成績で4勝すれば安全圏、3勝の場合はボーダーラインである。力関係を考えると、米国に勝つ望みは少ないことから、星勘定としてはロシア、中国に勝利しておきたいところである。
■2次リーグ初戦でロシアに勝利
そして1次リーグの最終戦から1日置いて9月16日に行われた2次リーグ初戦はそのロシアが相手である。1次リーグの成績がフランスなどと同じロシアも前年度の欧州女王のチェコの力を考えると、フランス、キューバに勝ちたいところである。フランスにとって1時リーグ同様、初戦から大一番となった。
試合は第1クォーターから熱戦となる。第1クォーターは18-18のイーブンとなる。第2クォーターになってフランスがロシアを圧倒する。一時は41-27と14点差をつけて前半を終了する。
ロシアは後半になって守備を固め、フランスも前半のように得点を重ねることができなかったが、結局フランスが74-64と勝利した。フランスは大きな1勝を挙げ、決勝トーナメント進出に向けて大きく前進したのである。(続く)