第667回 2007年ハンドボール世界選手権(2) 近年、好成績を残すフランス代表

■昨年の本大会で好成績を残した他競技のフランス代表

 前回の本連載で、昨年から今年にかけて行われる6つの男子の団体球技の世界選手権・ワールドカップの全てに出場する国はフランスだけであると紹介した。その成績を振り返ってみよう。まず、6月から7月にかけて行われたサッカーのワールドカップでは本連載の第567回から第585回にかけて紹介したとおり、準優勝を果たし、1998年の地元開催の優勝に次ぐ成績を残している。8月に開催されたバスケットボールの世界選手権は第600回から第606回にかけて取り上げ、5位入賞、これは1961年大会の4位に次ぐ成績である。そして11月に開催されたバレーボールの世界選手権は本連載では紹介できなかったが、2002年大会の3位に次ぐ、6位になっている。すなわちいずれの競技も過去2番目によい成績を残している。

■フランスの団体球技で初めて世界の頂点に立ったハンドボール

 このように昨年から今年にかけて好成績の続くフランスの男子団体球技であるが、過去、近年の成績を考えると最も期待できるのがこのハンドボールである。
 フランスの男子ハンドボールが世界の注目を集めたのは1992年のバルセロナオリンピックのことである。この大会でフランスは銅メダルを獲得する。翌年の世界選手権では準優勝となる。そして1995年の世界選手権では優勝する。これはフランスの男子の団体球技で初めて世界の頂点に立ったことになる。その後1998年にサッカーがワールドカップで優勝するが、2001年の世界選手権では優勝し、ハンドボールはフランスの団体球技で唯一2回、世界選手権・ワールドカップで優勝したことがある競技なのである。

■欧州勢が主役の男子ハンドボール

 さて、フランスが世界の注目を集めた1992年以降の世界の勢力地図はどうなっているだろうか。この間、最も多くのタイトルを獲得しているのはロシアである。世界選手権に関しては1993年大会と1997年大会で優勝、オリンピックでは1992年大会と2000年大会で優勝し、4度世界の頂点に立っている。そして続くのはクロアチアであり、2003年の世界選手権と1996年、2004年のオリンピックで優勝している。このロシア、クロアチアに次ぐのがフランスであり、世界選手権で2回の優勝を果たしている。それ以外にはスウェーデンが1999年、スペインが2005年の世界選手権で優勝しているだけであり、この15年間に11回の世界王者が生まれたが、ロシア(4回)、クロアチア(3回)、フランス(2回)、スウェーデン(1回)、スペイン(1回)と欧州勢のみで占められているのである。

■安定した成績で3度目の優勝を目指すフランス

 このようにフランスが2度の世界王者についている球技は他にはなく、さらに欧州勢だけが近年の世界王者を占めている競技もないのである。そして欧州勢だけで争われる欧州選手権については昨年行われた2006年大会でフランスは優勝を遂げており、フランスでも今回の世界選手権に対する期待は高いのである。
 そのフランスを率いるのはクロード・オネスタ監督、2度目の優勝を果たした2001年の世界選手権の後に就任し、安定した成績を残している。2002年の欧州選手権は6位、2003年の世界選手権は3位、2004年は欧州選手権6位、オリンピック5位、2005年の世界選手権は3位、そして2006年の欧州選手権ではついに優勝を果たしている。同期間のサッカーの成績を振り返ってみれば、2002年ワールドカップはグループリーグ敗退(ベスト32)、2004年欧州選手権ベスト8、2006年ワールドカップ準優勝と右肩上がりではあるが、ハンドボールには及ばない成績である。
 オネスタ監督就任以降2回の世界選手権ではいずれも3位であり、今度こそ優勝を果たしたいところである。フランスの現在の世界ランキングはスペイン、クロアチアに続いて3位であり、優勝候補の一角である。しかも過去の世界選手権の優勝歴をひもとけば、1995年、2001年と栄光を射止めており、6年周期ならば今年が優勝のチャンスである。オネスタ監督率いるフランス男子ハンドボールチームは年明けから親善試合を重ね、1月20日のグループリーグ初戦のウクライナ戦に臨むのである。(続く)

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