第672回 2007年ハンドボール世界選手権(7) 優勝候補クロアチアを破り準決勝進出
■クロアチア、スペインとの対戦を避けたいグループ1の各国
フランスはドイツに敗れたが、スロベニア、チュニジアの敗戦により、2次リーグ最終日を前に決勝トーナメント進出を決めた。またグループ1からはフランス以外にドイツ、アイスランド、ポーランドが決勝トーナメント進出を決め、4つの椅子は決まってしまった。しかし、最終日も気は抜けない。なぜならば、2次リーグの成績によって決勝トーナメントの組み合わせが決まることから、より座り心地のよい椅子をどのチームも狙っているからである。決勝トーナメントの初戦である準々決勝はグループ1のチームとグループ2のチームが対戦する。グループ2は最終日を迎える段階で首位はオリンピックのチャンピオンで4勝のクロアチア、2位は前回の世界選手権の王者で3勝1敗のスペイン、この2チームとの戦いは避けたいところで、グループ1の各国は2位以内に入りたいところである。
■フランスが2位に入り込む可能性
前回のフランスの最終戦の相手はチュニジアである。欧州以外から唯一1次リーグを突破したチュニジアであるが、2次リーグでは4戦全敗と言う成績である。グループ1は最終戦を迎える段階でドイツ、アイスランド、ポーランドが3勝1敗でリード、2勝2敗のフランスは上位3チームのうち2チームが最終戦で負けなければ2位以内に入ることはできない。また、フランスより上位の3チームも何とか2位以内に滑り込みたいと考えているであろう。
グループ1の最終日の試合は15時半からドイツ-アイスランドと3勝1敗同士の戦いで始まり、17時半からポーランド(3勝1敗)-スロベニア(1勝3敗)、19時半からフランス(2勝2敗)-チュニジア(4敗)となっている。フランスが2位以内に入るケースはフランス自身がチュニジアに勝つだけではなく、アイスランドがドイツに勝ち、スロベニアがポーランドに勝つ場合だけである。この場合、フランスはドイツ、ポーランドとともに3勝2敗となり、当該国同士の得失点差で最上位となり、2位になるのである。
■最悪の内容のチュニジア戦、4位に終わった2次リーグ
しかし、このフランスの希望は地元ドイツの試合で崩れた。ドイツがアイスランドに33-28と勝利し、フランスの3位以下が決定した。精神的に落ち込んだフランスはチュニジアに前半は大きくリードしたものの、後半猛追を受け、結局は28-26と僅差での勝利となった。ポーランドもスロベニアに勝利し、4勝1敗でポーランドとドイツ、3勝2敗でアイスランドとフランスが並んだが直接対決の結果で1位ポーランド、2位ドイツ、3位アイスランド、4位フランスとなった。フランスは30日の準々決勝でグループ2で首位のクロアチアと対戦することになったのである。
■最高のゲーム内容でクロアチアに勝利、ドイツと再戦に
クロアチアは先述の通り2004年オリンピックで優勝し、2005年の世界選手権でも準優勝している。そして本大会では1次リーグ、2次リーグとも全勝と言う唯一のチームである。フランスは2次リーグ最終戦のチュニジア戦では元気のない試合展開であり、クロアチア戦での苦戦が予想された。決勝トーナメントは舞台をケルンに移して行われる。2万人近い大観衆の中で試合は始まった。試合は両チームのGKが好守を見せ、ロースコアの展開となる。フランスにとっては今大会に入って最高の試合内容であった。前半を終了した時点で10-9とリードを奪う。後半に入って立ち上がりに得点を連取され10-11と逆転されるが、再び逆転、最終スコアは21-18であり、フランスは準決勝に進出したのである。ロースコアとなった試合の勝利の立役者はなんと言ってもGKのティエリー・オメイエであり、クロアチアの誇る攻撃陣のシュートを次々にとめたのである。クロアチアは今大会で初めての敗戦となったが、順位決定戦に回ることになった。
一方、フランスは、スペインとドイツの勝者と準決勝で戦う。前回大会の覇者であるスペインは2次リーグでデンマークに敗れ、3位となったため、グループ1で2位となったドイツと対戦したが、開催国ドイツが勝利している。フランスは決勝進出をかけてドイツと戦うことになったのである。(続く)