第766回 グループ2位で決勝トーナメント進出(2) アイルランドに勝利、ボーナスポイント奪えず
■不本意な連勝スタートの北半球ナンバーツー
アフリカ代表のナミビアに87-10と大差で勝利したフランス、続く第3戦は「死のグループ」と言われるグループDの3強の一角のアイルランドと9月21日にスタッド・ド・フランスで対戦した。アイルランドは今年の6か国対抗ではフランスに17-20と惜敗した以外は勝利し、フランスに次ぐ2位に入り、北半球ナンバーツーの地位にある。しかしながら、今回のワールドカップを控え、5月末から6月初めにかけてアルゼンチンに遠征し、2試合テストマッチを行ったが、連敗する。さらに8月には欧州勢と2試合行ったが、スコットランドに敗れ、イタリアに辛勝という状態で本大会を迎えた。
チーム状態は決してよくはなく、ランキングが24位と出場国のうち最も低いナミビア相手に追い上げられて、32-17とようやく勝ち、第2戦でもグルジアにリードを奪われる展開でようやく14-10と逆転勝利を上げている。相手に恵まれた最初の2戦でボーナスポイントを含め勝ち点9(勝ちは勝ち点4、4トライ以上の場合ボーナスポイント1)は不本意であろう。
■4トライ以上上げてボーナスポイントの欲しいフランス
また、フランスにとってアイルランドとの対戦は2003年の6か国対抗のダブリンでの敗戦以来、5連勝中である。したがって、フランスにとっては勝利だけではなく、4トライ以上を上げてボーナスポイントを獲得したいところである。事実、フランスはアイルランドに対し、過去20試合中9試合で4トライ以上を記録している。一方のアイルランドとしては序盤の2戦は不本意な内容であっても、残るフランス戦、アルゼンチン戦をものにして決勝トーナメント進出を狙いたいところである。気になるのはアイルランドとの対戦は僅差が多く、7点差以内の惜敗の場合に付与されるボーナスポイントをアイルランドに与えないことも重要である。
■ナミビア戦メンバー中心で臨んだフランスが大勝
ナミビア戦から5日しか経っていないが、ベルナール・ラポルト監督はナミビア戦で先発した選手を連続して起用し、先発15人中のうち、4人のFWを除く11人がナミビア戦と同じメンバーであった。
試合がキックオフされまず攻撃を先に仕掛けたのはアイルランド、そしてフランスは6分にペナルティを得る。ここでジャン・バプティスト・エリサルドが素早くしかけ、ノット10メートルバックの反則を誘引し、10メートル前進し、ゴールを狙う。エリサルド自身がPGを成功させ、フランスは3-0と先制する。その後も18分、22分にPGをエリサルドが成功させ、9-0とリードを広げる。勝ち点4の欲しいアイルランドは37分にSOのロナン・オガラがDGを決めて6点差に迫るが、前半終了間際にエリサルドがPGを決めて再び9点差となって前半を折り返す。
後半に入って55分にエリサルドがこの日4本目のPGを成功させ、安全圏での戦いが続くフランスであるが、トライが奪えず、アイルランドにトライを許せば、ボーナスポイントを与えることになる。そのファンの不安を解消したのがナミビア戦でも活躍した左WTBのバンサン・クレルクであった。60分にはSOのフレデリック・ミシャラクが右隅にキックパス、このボールにインゴールで追いついたクレルクがトライを上げ、スタッド・ド・フランスは歓喜する。そして69分にもまたミシャラクのキックパスをクレルクがトライに結びつける。これで試合は25-3と大差となり、アイルランドのボーナスポイントの可能性は消えた。
■ボーナスポイント逃すも暫定首位に立ったフランス
ファンの注目はようやくエンジンがかかったフランスが残り10分あまりで2トライをあげるかどうかであったが、試合終盤にダミアン・トレイユが相手の攻撃を遅らせたと言うことで、シンビンの10分間の退場処分を受け、フランスは数的に不利になり、追加のトライをあげることはできなかった。
結果的には2トライの25-3の勝利で、フランスは勝利の勝ち点4を加え、3戦終了した段階で2勝1敗、さらにアルゼンチン戦の惜敗、ナミビア戦の4トライ以上のボーナスポイントを加え、勝ち点10となって、暫定的ではあるがグループトップに立ったのである。(続く)