第980回 ラグビー、初夏のオセアニア遠征(2) 15年ぶりにニュージーランドでフランスが勝利

■北半球勢を撃破、南半球勢も敵なしのニュージーランド

 2011年のラグビーワールドカップを開催するラグビー王国ニュージーランド、フランスとの対戦成績については前回の本連載で紹介したとおりであるが、昨年11月には北半球遠征を敢行、イングランド、スコットランド、ウェールズ、アイルランドと対戦し4タテを食らわせている。また、南半球勢に対しても圧倒的な成績を残している。ニュージーランド以外の南半球の強豪国は豪州と南アフリカであるが、通算成績は豪州戦は85勝5分39敗、南アフリカ戦は42勝3分30敗と勝ち越している。昨年の7月26日にシドニーで豪州に19-34と敗れた後は豪州戦3勝、南アフリカ戦1勝を含む9連勝でこのフランス戦を迎えた。
 ニュージーランドは、ここでフランスに勝てば、昨年の秋以降で北半球の伝統国5か国をすべて破ることになる。ニュージーランドにとって不安なのはこのフランス戦が昨年11月以来の試合となることくらいであろう。

■序盤からフランスがリード

 試合は序盤からフランスがリードする。4分にはこの日が代表デビューとなるSHのジュリアン・デュプイがPGを決めて3-0と先制する。13分には追いつかれたが、19分にはフランソワ・トラン・デュックがトライを上げ、トライ後のゴールもデュプイが成功させる。29分にはフッカーのウィリアム・セルバがトライ、ゴールも成功してフランスは17-3と大差をつける。ニュージーランドも前半終了間際にPGとトライ(ゴール失敗)で追い上げ、17-11とフランスがリードしてハーフタイムを迎える。

■同点に追いつかれても冷静なフランス、勝ち越す

 後半に入るとニュージーランドは51分にPGを成功させて3点差に迫り、58分にはほぼ50メートルという長い距離のPGを成功させてついに同点に追いつく。61分にフランスは45メートルのPGのチャンスを得て、デュプイがゴールを狙うが失敗し、勝ち越しに失敗する。世界ランキング1位のニュージーランドの真価発揮かと思われたが、フランスは攻撃を続け、PGのチャンスを得る。67分にデュプイがPGを成功させ、フランスは20-17と3点のリードを奪う。
 ここで攻勢に出たニュージーランドに対してもフランスは冷静であった。71分には相手CTBのルーク・マカリスターのパスをマキシム・メダールがインターセプトし、そのまま50メートル走ってトライを決める。そしてデュプイは難なくゴール成功、フランスは残り10分となったところでニュージーランドに10点の差をつける。この日が代表デビューとなったデュプイは拍手の中、この日5つ目のゴールを決めた後、ベンチに戻り、SHのポストをディミトリ・ヤシビリに譲る。
 ニュージーランドも75分にはマー・ノヌーがコーナーフラッグ近くに突進する。ビデオ判定の末、トライと判定され、5点差に迫る。しかし、ここまで4PGを決めてきたステファン・ドナルドがゴールに失敗し、フランスが5点リードのまま、試合はラストシーンを迎える。フランスはオールブラックスに渡来を許さず、この5点のリードを守りきって27-22で勝利したのである。

■ニュージーランドで記録的な勝利を挙げる

 フランスがニュージーランドの地で勝利したのは1994年7月3日以来、実に15年ぶりのことである。フランスのニュージーランドでの勝利の歴史をさかのぼると、1979年7月14日と言う革命記念日にオークランドで29-14と競り勝ったのが初勝利であり、その15年後の1994年6月26日にはクライストチャーチで22-8と勝利し、その同じツアーの第2戦はオークランドで行われ、23-20と連勝している。
 今回の27点はフランスのニュージーランドにおける最多得点である。また、1994年にニュージーランドで連勝した際のSHのギ・アクセロベリーもクライストチャーチでの試合が代表デビューであった。今回の試合でSHを務めたデュプイも代表デビュー戦であった。ニュージーランドとの第2テストは6月20日、舞台をウェリントンに移して行われるのである。(続く)

このページのTOPへ