第1130回 不振に終わった南半球遠征(2) 南アフリカに記録的大敗
■サッカーの初戦ドローを挽回したい両国
サッカーのワールドカップは6月11日に開幕したが、開幕戦で地元南アフリカはメキシコと1-1、前回準優勝国のフランスはウルグアイに0-0といずれも引き分けで初戦を終えた。
両チームとも初戦勝利を期待していただけに、不満の残る結果である。その不満の残る両国のファンは次の第2戦を待つことなく、南アフリカ-フランス戦という格好の試合がその翌日の12日にケープタウンで行われるのである。
南アフリカもフランスもサッカーよりもラグビーの方が競技力があることは間違いない事実である。また人気に関しても、ラグビーとサッカーはファン層が異なるが、フランスでは近年のラグビーブームはとどまるところを知らず、サッカーのフランス代表の試合では空席の目立つスタッド・ド・フランスもラグビーの試合では立錐の余地もない満員の観衆で膨れ上がる。
■先手を取られ20点差をつけられたフランス
そして今年の6か国対抗では全勝優勝を飾ったフランスが、それ以来初めての国際試合でワールドカップ期間中の南アフリカを訪問したのである。フランスのファン注目の試合となったがファンの期待を裏切る結果となってしまった。
まず試合開始早々、フランスの攻撃を南アフリカの左WTBのブライアン・ハバナがインターセプトする。このボールを右WTBのジオ・アプロンがつなぎ、最後はナンバー8のピエール・スピースがトライする。前日、同じケープタウンのグリーンポイント競技場で行われたサッカーのウルグアイ戦では無失点であったフランスであるが、1キロ離れたニューランズ競技場で初失点を献上したのである。
フランソワ・スタインのゴールも決まり、0-7と先行される。フランス代表のメンバーにとっては所属クラブのシーズンが終了してから初めての試合であり、さらにフランス代表チームを結成するのは3か月ぶりのことである。先制点もやむなしと思う向きもあったが、それ以降、フランスは失点を重ねた。8分にはラインアウトをアプロンにつながれ、トライを許し、ゴールも成功し、0-14、11分には南アフリカボールのスクラムからの攻撃でフランスに反則、これをスタインが決めて、0-17と差が開く。そして24分にはラックにフランスのFBのクレマン・ポワトルノが巻き込まれ、ノットリリースザボールの反則を取られてしまう。またもやスタインがPGを成功させて0-20とフランスは決定的なリードを奪われたのである。フランスが20点以上の差をつけられたのは昨年3月のイングランド戦以来のことである。
■孤軍奮闘したナンバー8のジュリアン・ボネール
これに対し、フランスがようやく反撃したのは29分のことであった。孤軍奮闘と言うという表現がぴったりのナンバー8のジュリアン・ボネールが突進し、左WTBのオーレリアン・ルジェリにつないでトライをあげる。パラのゴール成功で7-20と追い上げる。2トライ目のほしいフランスであったが、32分にはディフェンスの乱れから南アフリカのこの日3本目のトライを献上してしまう(ゴール失敗)。7-25というスコアで前半ロスタイム、ここでフランスは意地を見せスクラムで再三南アフリカを圧倒する。南アフリカの反則に対し、フランスの主将ティエリー・デュソートワールはゴールを狙うことを選択、モルガン・パラがPGを決めたところでハーフタイムとなる。
■反撃は2トライどまりで42失点、25点差とワースト記録更新
10-25とリードされて始まった後半、先手を取りたかったフランスであるが、48分にスクラムで反則を取られ、PGで3点を失う。またその直後にフランスのSOフランソワ・トラン・デュックが自陣ゴール前で軽率なプレーをしてアプロンにインターセプトされ、トライを奪われる。75分にも南アフリカはトライを奪いゴール成功、42-10と32点差がついたが、フランスも終了間際に5メータースクラムからの攻撃でダビッド・スクレラ、マルク・アンドルーとつなぎこの日2本目のトライ(ゴール成功)で17-42というスコアでノーサイドとなったのである。
フランスにとって南アフリカでの南アフリカ戦での42失点、25点差はいずれも最悪の数字であり、前日のウルグアイ戦よりも国民は失望したのである。(続く)