第1185回 2010年デビスカップ決勝 (4) サッカー、ラグビーで苦戦するアルゼンチンを倒し決勝進出

■過去3回の準優勝、第3シードのアルゼンチン

 大会2連覇中のスペインをワールドカップ決勝の直前に5戦全勝で下したフランス、9月17日から準決勝となる。フランスが準決勝に進出したのは2004年以来6年ぶりのことであり、ワールドグループが1981年に創設されてから10回目のことである。つまり、3年に1回はフランスは準決勝に進んでいることになり、6年前は、本連載第376回から第379回にかけて紹介した通り、スペインに敗れている。
 準決勝の相手はアルゼンチンである。アルゼンチンは優勝こそないが、1981年、2006年、2008年とこれまで3回の優勝経験があり、今年は第3シードとして初優勝を狙う。
 準決勝もフランスのホームコートとなった。舞台はリヨンのジェルラン体育館、サッカーのジェルラン競技場に隣接しているが、何と言っても1991年に米国を下し、59年ぶりのデビスカップ優勝を飾ったフランス人にとっては忘れられない体育館である。フランスは1回戦(トゥーロン)、準々決勝(クレルモンフェラン)に続き、準決勝も地元で戦うこととなったが、相手のアルゼンチンは逆で1回戦のスウェーデン戦、準々決勝のロシア戦と敵地での戦いが続き、準決勝も敵地での戦いとなった。
 リヨンのジェルラン体育館は異様な雰囲気に包まれる。デビスカップ史上最高の盛り上がりを見せた19年前を思わせる最高の雰囲気となった。フランスはアルゼンチンにサッカーでもラグビーでも苦汁を飲まされ続けている。そしてスタンド前列にはツォンガなどのチームメイトだけではなく、サッカーのリヨンのクロード・ピュエル監督以下、ウーゴ・ロリス、ヨアン・グルクフ、ジミー・ブリアンなどの選手が陣取る。また体育内には水色と白の縦じまの服を着たアルゼンチンのサポーターが400人ほど集まった。

■ミカエル・ロドラとガエル・モンフィスをシングルスに起用

 この異様な雰囲気の中でシングルスの2試合が行われる。アルゼンチンは1回戦と準々決勝ではシングルスはデビッド・ナルバンディアン、エデュアルド・シュワンク、レオナルド・メイヤーの3人を使ってきた。アルゼンチンはこれ以外にファン・マルタン・デルポトロも控えているが、エースのナルバンディアンをダブルスと兼用して疲労がたまらないような選手起用をしている。そしてこのフランス戦はナルバンディアンとファン・モナコに金曜日のシングルスを託す。
 一方のフランスは、アルゼンチン戦のシングルスはガエル・モンフィスは確定的であるが、ジョー・ウィルフリード・ツォンガがまだ復帰できず、候補となるアルノー・クレマン、ジル・シモン、ガスケもダブルスの起用、アルゼンチンのエースのナルバンディアンとの対戦をかなえるといずれも決め手に欠く。結局ギ・フォルジュ監督がもう1人のシングルスの選手として選んだのは、ダブルスのスペシャリストであり、スペイン戦でシングルス初勝利をあげたミカエル・ロドラであった。

■ロドラ、モンフィスとも3-1で勝利

 第1試合に登場するのはロドラとモナコである。モナコはアルゼンチンの若手のエースでATPランキングは33位であるがデビスカップでの成績は1勝2敗とロドラ同様経験が少ない。ランキングだけ見るとほぼ互角の両者の戦いであるが、スペインのフェルナンド・ベルダスコに勝利したロドラの精神力が勝った。ロドラが第1セットを先取、第2セットを落として追いつかれたが、第3セット、第4セットを連取して貴重な勝利をあげたのである。
 第2試合はATPランキング15位のモンフィスと同33位のナルバンディアンとの顔合わせである。ナルバンディアンはランキングこそ低いが、デビスカップのシングルスで20勝4敗と8割以上の勝率を残しており、アルゼンチンのエースである。しかし、モンフィスもまたロドラと同じ展開で第2セットを落としただけで3-1で勝利、シングルスで連勝した。

■ダブルスはベテランペアのフランスがアルゼンチンを一蹴、決勝進出

 そして土曜日のダブルスはフランスは30歳のロドラと32歳のベテランのクレマンを起用する。アルゼンチンはシュワンクとオラシオ・ゼバロスというダブルスのスペシャリスト同士の戦いとなった。シングルスの2試合と異なり、勢いに乗るフランスペアが3-0のストレートでアルゼンチンを下す。
 金曜日のシングルから3連勝したフランスは決勝進出を決め、日曜日のシングルス2試合も連勝したのである。(続く)

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