第1188回 2010年デビスカップ決勝 (7) ガエル・モンフィスに次ぐもう1人のシングルスの人選に悩む

■アジアとフランスのインドアのハードコートで行われるツアー

 今年のデビスカップの4戦目にして初めて敵地で戦うフランス、会場は欧州を代表する室内競技場であるベオグラードアリーナ、そしてコートサーフェースはフランスの選手が得意とするハードコートとなった。
 準決勝のアルゼンチン戦からこの決勝に至るまで、グランドスラムと言われる四大大会はないが、選手たちは毎週のツアーで世界中を転戦する。しかし実際にこの間にあるツアーはアジアとフランス国内が主である。まず9月最終週にはメッスでのモゼールオープン、そして10月に入り、東京でのジャパンオープンに続き、中国での上海マスターズ、10月最終週には国内のリヨンのリヨングランプリかモンペリエで開催される南仏オープン、そして11月の第1週はスイスのバーゼルで開催されるスイス室内あるいはスペインのバレンシアオープンを経て、11月7日からは実質的なツアーの最終戦であるBNPパリバマスターズがベルシーで開催される。
 これらのジャパンオープン以外のこれらのツアーはインドアのハードコートで行われる。ジャパンツアーも開閉式の会場であるため、インドアに近い環境ともいえるであろう。したがってデビスカップの決勝はきわめて似た環境で行われることになるこれらのツアーの動向には注目しなくてはならない。

■ジャパンオープン、BNPパリバマスターズで準優勝したガエル・モンフィス

 フランス勢の中でこの間一番活躍したのが、ガエル・モンフィスである。ジャパンオープンでは、日本の添田豪との1回戦で第1セットをタイブレークの末先取して調子の波に乗り、準々決勝では第2シードのアンディ・ロディクを下し決勝に進む。決勝ではスペインのラファエル・ナダルに敗れるものの、堂々の準優勝である。
 またモンペリエの南仏オープンでは準決勝でフランスのナンバー1であるジョー・ウィルフリード・ツォンガを下し、優勝している。そして最も重要なトーナメントであるBNPパリバマスターズにおいても快進撃、スペインのフェルナンド・ベルダスコ、英国のアンディ・マーレイ、第1シードのスイスのロジャー・フェデラーを下して決勝に進出する。決勝の相手は前週のバレンシアオープンの準々決勝で敗れたスウェーデンのロビン・ソデルリング、前週に続き敗れてしまったが、優勝1回、準優勝2回というツアーの成績は堂々たるものである。

■膝の故障でBNPパリバマスターズを欠場したジョー・ウィルフリード・ツォンガ

 一方、精彩を欠いたのがツォンガである。ウィンブルドン以来の参戦となったジャパンオープンでは1回戦で敗れてしまう。上海では準々決勝に進んだものの、モスクワのクレムリンカップでは初戦でセルビアのビクトル・トロイキと対戦し、敗れてしまう。そしてモンペリエでは準々決勝でフランスのジル・シモンに勝利したものの、準決勝でリシャール・ガスケに敗れてしまい、元々のひざの負傷の状態もよくないことから地元で行われるBNPパリバマスターズを欠場してしまう。
 さらに、リシャール・ガスケはメッスでベスト4、東京、上海はベスト16どまり、バーゼルではベスト8に入ったが、ベルシーではドローにも恵まれず、2回戦で第1シードのスイスのフェデラーに敗れてしまい、ツォンガの穴を埋めるに足る成績を残すことができなかった。

■BNPパリバマスターズで準決勝に進出したミカエル・ロドラ

 もともとダブルスの選手として期待されていたミカエル・ロドラは準々決勝のスペイン戦以降、シングルス2試合に出場し、いずれも勝利しており、シングルスでも株を上げた。ところが、準決勝以降のツアーでは東京、上海、バーゼルと初戦で敗退、モンペリエの1回戦で勝利しただけである。しかし、ベルシーでは人が変わったように快進撃をする。3回戦では第2シードでセルビアのノバック・ジョコビッチを下す。そして準々決勝も勝利し、準決勝でこのトーナメントを制すことになるソデルリングに敗れる。
 モンフィスに続くシングルスに出場するナンバー2の人選にギ・フォルジュ監督は頭を悩ませ、デビスカップチームはベオグラード入りしたのである。(続く)

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