第1210回 2010年男子ハンドボール世界選手権 (3) 第2ラウンド初戦で首位を奪ったフランス
■第1ラウンドの成績が第2ラウンドに持ち越される大会方式
チュニジア、エジプト、バーレーンというアフリカ、アジア勢に楽勝し、ハンドボールの母国ドイツにも競り勝ち、第1ラウンドのグループAで4連勝し、第2ラウンド進出をフランスは決定した。第1ラウンドの最終戦の相手はフランスと並び4連勝しているスペインである。
ここで第2ラウンド以降の大会形式を紹介すると、グループAの1位から3位とグループBの1位から3位までの6チームがグループ1、グループCの1位から3位とグループDの1位から3位までの6チームがグループ2となる。そして6チームが総当たりになるわけではなく、別の第1ラウンドのグループから勝ち抜いてきた3チームと対戦する。つまり、スペインとの最終戦で勝っても負けてもフランスはグループ1で第2ラウンドを戦うことになる。そしてこれは相手のスペインも同様である。首位突破すれば第2ラウンドで最強と目されるグループBの首位突破チームと最終戦まで対戦を回避することができるということ、そして第2ラウンドの成績には第2ラウンドで対戦する3試合だけではなく、第2ラウンドに進出したチームとの第1ラウンドでの2試合分の対戦成績も持ちこされて準決勝進出をきめることから、両チームとも首位で突破しておきたいところである。
■終始リードをキープしたフランス、最後の5分間で痛恨の4失点
スペインは前回大会は13位と不振であり、昨年の欧州選手権も6位にとどまっているが、フランスの対抗馬としてクロアチアとともに有力視されているチームである。すでに両チームとも第2ラウンド進出を決めているが4000人のファンが集まる中で試合は行われ、予想通りの熱戦となった。フランスがリードし、スペインが追いすがるという展開であり、前半は18-13でフランスがリードして折り返す。スペインは前半途中で失点の目立つ主将のGKを交代させ、必勝の構えである。後半に入ってもフランスがリードをキープし、残り5分の段階で28-24とリード。しかし、最後の5分間にスペインは猛攻をかけ、4点差を追いつき、28-28の引き分けとなった。得失点差でフランスが首位で第2ラウンドに進出したのである。
■グループBからアイスランド、ハンガリー、ノルウェーが第2ラウンドへ進出
グループBの勝ち上がりチームと第2ラウンドで対戦するが、グループBには日本が所属していたので、グループBの模様はよくご存じであろう。アイスランド、ノルウェー、ハンガリー、オーストリアという欧州勢4チームとアジア3位の日本と米大陸2位のブラジルである。これがサッカーであるならばブラジルと日本が第2ラウンドに進出すると思われるが、手と足では力関係は逆転し、欧州勢が圧倒的に優位である。グループBの首位は5戦全勝のアイスランド、2位は4勝1敗のハンガリー、そして3位は3勝2敗のノルウェーであった。日本はオーストリアとブラジルに勝利したが、欧州の上位3チームに敗れ4位にとどまり第2ラウンド進出はならなかった。
第2ラウンドでフランスはハンガリー、ノルウェー、アイスランドの順に対戦する。第2ラウンド開始時点の成績は1位アイスランド(2勝、勝ち点4)、2位にフランスとスペイン(1勝1分、3)、4位ハンガリー(1勝1敗、2)、5位にドイツとノルウェー(2敗、0)となっており、スペイン戦のドローが悔やまれる。
■グループA勢がグループB勢に3連勝、フランスが首位を奪う
舞台をベッテルン湖畔の都市ヨンショーピングに移して行われた第2ラウンドはグループAからの勝ち上がりチームとグループBの勝ち上がりチームの対戦となったが、1月22日の初日の試合では驚くべき結果になった。第1試合でスペインがノルウェーに32-27と勝利し、第2試合でグループAで3位のドイツがグループB首位のアイスランドに27-24と競り勝つ。そしてフランスも過去の対戦成績では不利なものの、直近の15試合で1回しか負けていないハンガリー相手を37-24という大差で下したのである。アイスランドがドイツに敗れたことでフランスは首位を奪い、準決勝進出に前進したのである。(続く)