第1244回 シーズン終盤のフランス・ラグビー (3) 僅差で首位を堅持するトゥールーズ
3月11日に起こった東北地方太平洋沖地震で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、救援活動、復旧活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。
■フランスのトップリーグ、TOP 14
前回、前々回とサッカーのチャンピオンズリーグ、ヨーロッパリーグに相当するラグビーのハイネケンカップ、欧州チャレンジカップという欧州カップについて紹介してきたが、今回からはフランス国内のリーグの終盤戦の模様について紹介しよう。
フランスのクラブのラグビーの歴史は古く、フランス選手権という名で19世紀から始まっており、100年以上の歴史を有する。1部リーグは2005年からTOP 14となり、その名の通り現在は14チームが所属している。14チームがホームアンドアウエー方式で総当たりのリーグ戦を行う。26試合戦ってリーグ戦は終了するが、レギュラーシーズンの上位6チームがファイナルフェーズを戦い、優勝を決める。一方、下位2チームの13位と14位のチームは2部に降格する。
■レギュラーシーズン後に行われるファイナルフェーズ
サッカーの場合はレギュラーシーズンからなるリーグ戦以外にノックアウト方式で数多くのチームが参加するフランスカップ、1部、2部のプロチームを中心としてノックアウト方式で争われるリーグカップという2つのタイトルがあるが、ラグビーの場合はこのTOP 14 が国内で唯一のタイトルである。
ファイナルフェーズでは3位から6位までのチームでプレーオフが行われ、3位のチームが6位チームと対戦、4位チームが5位チームと対戦し、プレーオフの勝者は準決勝で1位、2位のチームと戦い、準決勝の勝者で決勝が争われる。ファイナルフェーズは1回戦制で行われ、プレーオフはレギュラーシーズン上位チームのホームで行われるが、準決勝以降は収容能力のある会場で行われ、準決勝は2試合ともマルセイユのベロドローム競技場で行われ、決勝戦は大統領も臨席するスタッド・ド・フランスで行われ、今年は6月4日に開催が予定されている。
レギュラーシーズンは8月に始まり、代表の試合のスケジュールを避けて5月初めまで行われるが、上記のファイナルフェーズに進出するだけではなく、前々回の本連載で紹介した通り、ハイネケンカップへの出場権が与えられることから、6位までに入ることは非常に重要である。
■混戦となったファイナルフェーズ進出のかかる6位争い
今季のサッカーのフランスリーグとラグビーのTOP 14は似た展開となった。まず、ラグビーの勝ち点の計算方法であるが、勝ちは4点、引き分けは2点、負けは0点という勝敗にかかわる勝ち点以外に、ボーナスポイントがあり、3トライ以上あげたチーム、7点差以内で負けたチームに1点が与えられる。したがって、レギュラーシーズン26試合が終了した段階で上位チームは勝敗にかかわる勝ち点だけで80点前後、それにボーナスポイントを加えて90点前後となるのが例年の傾向であった。
ところが、今季はサッカー同様、上位チームの勝ち点が伸びず、首位のトゥールーズも最終節を迎える段階で16勝1分8敗、ボーナスポイントがトライ数で7、7点差以下の負けで5、合計78にとどまった。2位ラシン・メトロが勝ち点74、3位クレルモンと4位カストルが勝ち点72、5位トゥーロンが勝ち点70、6位ビアリッツが勝ち点68、7位モンペリエと8位バイヨンヌが勝ち点67、9位ペルピニャンが勝ち点63と上位陣の差が少ないだけではなく、大きな分水嶺となる6位以内をめぐる争いは厳しいものになった。
■前半戦はめまぐるしく変わった首位、後半戦はトゥールーズがキープ
さらに首位チームの推移であるが、これもサッカーのフランスリーグと似ている。サッカーの場合、前半戦は猫の目のように首位が変わり、古豪スタッド・フランセが序盤戦で首位に立ち、トゥールーズ、バイヨンヌ、ラシン・メトロ、モンペリエと首位が変わった。ところが、第11節でトゥルーズが首位に立ってからはトゥールーズは首位の差を奪われることなく、第25節まで首位の座をキープしている。サッカーもリールが後半戦は首位を堅持している。しかしサッカーのリール同様、2位との差は僅差であり、第25節終了時の2位ラシン・メトロとの差は勝ち点差で4しかなく、サッカーに換算すれば勝ち点1か2の差で、レギュラーシーズン最終節を迎えるのである。(続く)