第1304回 宿敵ニュージーランドと対戦(3) フランス戦に臨むオールブラックスの15人

 3月11日に起こった東北地方太平洋沖地震で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、救援活動、復旧活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■ニュージーランドの15人

 前回の本連載ではニュージーランド戦に臨むフランス代表のメンバーを紹介したので、今回はニュージーランド代表のメンバーを紹介しよう。
 FW第1列はトニー・ウッドコク、ケビン・メアラム、オーウェン・フランクス、第2列のロックはブラッド・ソーンとサムエル・ホワイトロック、第3列はフランカーがジェローム・カイノとリッチー・マコウ、ナンバー8がアダム・トムソン、ハーフ団はスクラムハーフがピリ・ウィップー、スタンドオフがダニエル・カーター、センターはコンラッド・スミスとマア・ノヌー、ウイングはリチャード・カフイとコリー・ジェーン、フルバックはイズラエル・ダグという布陣である。ニュージーランドもフランス同様、第1戦はトンガ、第2戦は日本と世界ランキングで二桁のチームと連戦している。ニュージーランドにとっても、前回を含む過去のワールドカップで痛い目に遭っているフランス戦は特別な試合であろう。このフランス戦の先発メンバーをトンガ戦、日本戦と比較してみよう。

■3戦連続先発出場は5人

 まず、3戦連続して先発出場しているのは両プロップのウッドコク、フランクス、ロックのソーン、フランカーのカイノ、ウイングのカフイの5人、トンガ戦に先発出場して日本戦に先発出場せず、このニュージーランド戦にカムバックしてきたのはフランカーで主将のマコウ、スタンドオフのカーター、センターのノヌー、フルバックのダグの4人、トンガ戦には先発出場せず、日本戦と連続して先発出場してきたのはフッカーのメアラム、ロックのホワイトロック、ナンバー8のトムソン(日本戦はフランカーとして出場)、センターのスミス、ウイングのジェーンの5人、そして初めて先発出場するのがスクラムハーフのウィップー1人である。

■ビッグネーム抜きで日本と対戦したニュージーランド

 この分布をフランスと比較すると、3戦連続出場は、フランスはわずか2人であり、ニュージーランドのほうがメンバーを固定している。第1300回の本連載で紹介したとおり、フランスもニュージーランドもラグビーの世界では主流派であり、ワールドカップでの試合間隔は十分に確保されている。3戦連続出場する選手の数の違いはチーム首脳のポリシーによるものである。そして第1戦に先発せず、第2戦と第3戦に連続先発している選手はフランスは8人、ニュージーランドは5人であり、第1戦と第3戦に先発した選手の数(フランスは4人、ニュージーランドは4人)よりも両チームとも多い。これは予選プールの山場である第3戦に向けて、第2戦を重要なステップとしたといえるであろう。ニュージーランドは第2戦の日本戦に続いて出場する選手が10人であるが、日本戦に出場しなかった選手はマコウ、カーター、ノヌーとビッグネームが並んでいる。すなわちニュージーランドのヘンリー・グラハム監督は日本戦はビッグネームを除いたベストメンバーで戦ったといえよう。日本のファンの皆様にとってはフランス戦、ニュージーランド戦とも相手がベストメンバーでなかったにもかかわらず勝利をあげることができなかったのは予想だにしなかったことであろう。

■予選プール首位で通過した場合、準決勝で対戦する豪州

 さて、両チームの先発メンバーを比較してみたが、負けられない一戦とはいえ、予選プールで首位をとると決勝トーナメント1回戦は予選プールBの2位チーム、逆に2位にとどまると予選プールBの首位チーム、予選プールBは、イングランド、スコットランド、アルゼンチンの三つ巴である。フランスにとってはワールドカップで相性の悪いイングランドやアルゼンチンは避けたいところであるが、この3チームの力の差はそう大きくはない。問題はその次の準決勝である。予選プールAで首位通過し、準々決勝を勝ち上がると、準決勝の相手はプールCの2位かプールDの首位である。一方予選プールAを2位通過し、準々決勝で勝利すると準決勝の相手はプールCの首位かプールDの2位である。プールDは死のグループと言われ、南アフリカ、サモア、フィジーの争い、一方、プールCは豪州が一歩リードし、アイルランドが追うと思われていた。しかし、豪州はアイルランドにまさかの敗戦、つまり、グループAで首位通過すると準決勝で豪州と対戦する可能性が強くなる。そのような思惑もある中で試合はキックオフされた。(続く)

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