第1316回 輝くシルバーメダルコレクター(2) ワールドカップ期間中も開催される国内リーグ
3月11日に起こった東北地方太平洋沖地震で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、救援活動、復旧活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。
■フランスの激変を見ているエデンパークの観衆
9月24日の予選プールでの戦い方ほぼ1月、フランスは10月23日に決勝で再びニュージーランドと戦う。これまでの本連載で紹介してきたとおり、予選プールの時のフランスと決勝トーナメントに入ってからのフランスは全く別のチームになった。日本戦、カナダ戦でのもたつき、ニュージーランド戦での惨敗、さらにはトンガ戦でのまさかの敗戦と言う予選プールから、イングランド戦での快勝、圧倒的に攻められたウェールズ戦での勝利とフランスは変身した。劇的な試合となった舞台はいずれもオークランドのエデンパークである。本体気アのメイン会場であるエデンパークで初めてフランスが試合をしたのは予選プールのニュージーランド戦、そして第2戦は決勝トーナメントの準々決勝のイングランド戦、3番目の試合は準決勝のウェールズ戦であり、この決勝は4回目の登場となる。決勝トーナメントはエデンパークとウェリントンのウェストパック競技場で行われるが開催国ニュージーランドの所属しているプールAからの勝ち上がりチームは準々決勝から決勝までエデンパークで試合を行うことになる。
■フランスから駆け付けた多数の熱心なファン
したがって、地元ニュージーランドのファンはエデンパークでフランスの変貌ぶりをしっかりと認識しているのである。さらに地元ファンにとっての脅威は変身したフィフティーンだけではない。フランスの熱狂的なファンも大きな敵である。ニュージーランドの試合はスタジアムは黒衣で黒一色になる。しかし、例外はフランス戦であった。フランスからの熱心なファンが大枚をはたき、身は見半球の島国までフランス代表の試合を観戦するために移動してきたのである。さすがに開催国ニュージーランド戦は競技場のあちらこちらで三色旗が打ち振られていたが、決勝トーナメントになると三色旗の数は劇的に増えた。特筆すべきは準々決勝のイングランド戦である。この試合、6万観衆のうちの1万7000人はフランスのファンであると推定される。試合中は「アレー・レ・ブルー」の大合唱、エデンパークはスタッド・ド・フランスと化したのである。
■ワールドカップ中にも行われるTOP14
フランスにおいてはワールドカップ期間中も国内最高峰のリーグであるTOP14が行われている。春先に行われる6か国対抗の場合も同時期にフランスリーグの終盤戦が行われている。さすがに、6か国対抗のある日は試合の開催が重ならないようにしているが、今回のワールドカップのメンバーにあと一歩で入ることができなかったメンバーはこのニュージーランド戦の前日の土曜日あるいは金曜日に国内で試合を行っている。例えば、本連載第1288回で代表メンバーから最後に外れた2人の選手を紹介したが、トマ・ドミンゴは首位クレルモンの一員として21日のペルピニャン戦に出場し、シルバン・マルコネはビアリッツの一員として22日のリヨンとの試合に出場している。
■ニュージーランドでの敗退の翌週にTOP14の試合に出場したジョニー・ウィルキンソン
フランスのTOP14の試合に出場しているのはフランス代表に入れなかった、あるいはフランス代表から外れた選手だけではない。今回のワールドカップで敗退した他国の選手でフランスのクラブに所属する選手も出場している。その代表がイングランドのジョニー・ウィルキンソンである。イングランドのラグビー界を代表するスター選手も準々決勝のフランス戦では精彩を欠き、おそらく最後となるであろうワールドカップで有終の美を飾ることができなかった。ニュージーランドから傷心の帰国をしたウィルキンソンが戻ったのはイングランドではなくフランスのトゥーロン、フランスが準決勝をウェールズと戦った週末、すなわちワールドカップ敗退の1週間後にはウィルキンソンはペルピニャン戦に出場している。
代表選手は1月以上フランスを離れているが、ニュージーランドでワールドカップが開かれていても、毎週末には国内外のトップレベルの選手が競い合う環境があり、フランスの国だけではなくリーグを代表してフィフティーンはニュージーランドとの決勝に向かうのである。(続く)