第1347回 室内球技の華、ハンドボール(1) ベルシー総合体育館を満員にするフランス代表
昨年3月11日の東日本大震災で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。
■室内競技で人気のあるハンドボール
ピッチの上では熱い戦いが続くが、厳しい寒さが続き、寒風吹きすさぶスタジアムへの足が遠のくもの仕方ない。テレビでサッカー観戦をすることも可能であるが、やはりライブで試合を見たいものである。このような季節は室内で行われる球技の試合に足を運びたくなるものである。室内球技というとバスケットボール、バレーボール、ハンドボールがあるが、本連載でたびたび紹介している通り、フランスではハンドボールが圧倒的な人気がある。ハンドボール人気はその安定した実力に起因しているといえるであろう。
■主要国際タイトルで4連覇中のフランス男子代表
ハンドボールの主要タイトルは3つ、オリンピック、世界選手権、欧州選手権である。世界選手権は2年ごとに奇数年に行われ、欧州選手権は2年ごとに偶数年に行われる。すなわち、毎年世界選手権もしくは欧州選手権が行われ、4年に1回、オリンピックイヤーには年初に欧州選手権、夏にオリンピックが行われる。
2000年代に入ってからのこの3大大会でのフランスの戦績であるが、2000年欧州選手権4位、2000年オリンピック6位、2001年世界選手権優勝、2002年欧州選手権6位、2003年世界選手権3位、2004年欧州選手権6位、2004年オリンピック4位、2005年世界選手権3位、2006年欧州選手権優勝、2007年世界選手権4位、2008年欧州選手権3位、2008年オリンピック優勝、2009年世界選手権優勝、2010年欧州選手権優勝、2011年世界選手権優勝と15大会中6大会で優勝、しかも直近の4大会で3連覇と素晴らしい成績を残している。これほどフランスが国際的にいい成績を残している団体球技はないであろう。
■ベルシーの主、ハンドボールの代表チーム
その結果としてフランス国内においてフランス代表の試合には数多くの観衆が集まる。今年はオリンピックイヤーということもあり、年初に欧州選手権がセルビアで行われ、夏にはオリンピックが英国のロンドンで開催される。欧州選手権はオリンピックを占う位置づけとなる。欧州選手権は1月15日からセルビアの4都市5会場で行われるが、欧州選手権に向けてフランス代表はベルシー総合体育館で1月10日と12日にノルウェーを招いて親善試合を行った。この連戦でフランスは35-29、28-24と連勝し、いずれの試合も満員の観衆の中で行われ、大声援を送るファンを満足させた。
今世紀に入ってからフランス代表はベルシー総合体育館で30試合行っているが、そのうち20試合でフランス代表は1万人以上の観客を動員している。これは他の競技と比較すると明らかな違いがあり、バスケットボールは2004年を最後にこのフランス最大の室内競技場で試合を行っていない。ロンドンオリンピック直前の壮行試合でスペイン代表を迎えるのが、実に8年ぶりのベルシー登場となる。
バレーボールもワールドリーグで毎年のようにベルシー総合体育館を使用しているが観客動員はハンドボールの半分程度である。唯一健闘しているのがアイスホッケーである。アイスホッケーでこのベルシー総合体育館を利用することは珍しかったが、昨年4月にカナダ代表を招いて行った親善試合では1万2000人の観客を集めている。そして球技以外ではフィギュアスケート、テニスのベルシートーナメントで多くの観衆を集めることがあるが、球技ではハンドボールの独壇場である。
■改装計画のあるベルシー総合体育館
1984年にセーヌ右岸に鳴り物入りで建設されたベルシー総合体育館であるが、すでに建築後30年近くなり、当時1万5000人収容という数字は欧州で3番目の収容力であったが、現在は欧州でようやく20傑に入るのが精いっぱいである。またベルシー以外にフランスでは目立った体育館がなく、大きなイベントを開催することができない。ベルシー総合体育館は2015年には収容人員を1万7500人収容とする改装計画がある。この改装計画もハンドボールのフランス代表の好成績によるところが大きい。
次回からは1月15日に開幕した欧州選手権の模様を紹介しよう。(この項、続く)