第1376回 凱旋試合となるか6か国対抗(6) 宿敵イングランドに惜敗、優勝を逃す
昨年3月11日の東日本大震災で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。
■優勝のために負けられないイングランド戦
アイルランドと引き分けて第4戦は宿敵イングランドと対戦するフランス、この時点での成績は首位は3戦全勝のウェールズ、2位が2勝1分のフランス、3位に2勝1敗のイングランド、4位は1勝1分1敗のアイルランド、そして3戦全敗はスコットランドとイタリアであり、得失点差でスコットランドが5位、イタリアが6位となっている。
フランスはイングランド戦に勝利すれば最終戦のウェールズ戦で勝利すれば優勝することができる。グランドスラムの夢こそなくなったが、優勝のためにイングランド戦は勝利したいところである。
■ハーフ団の2人を入れ替えたフランス、世代交代途上のイングランド
ただ、フランスにとって気がかりなのはアイルランド戦が3月4日に延期となったために、フランスは終盤戦は3週連続して戦わなくてはならなくなったことである。選手の回復度合いなども考慮したメンバー起用も必要な状況であるが、アイルランド戦と比較するとメンバー変更は2人だけ、しかしその2人はスキッパーというべきハーフ団であった。スクラムハーフのモルガン・パラに代えてジュリアン・デュプイ、フランソワ・トラン・デュックに代えてリオネル・ボークシスを起用する。
一方のイングランドであるが、昨年のワールドカップでのフランス戦の敗退のショックが続くのか、今季の6か国対抗では元気がない。昨年10月8日に対戦した際の先発メンバーと比較するとフランスは15人中8人がこの試合も先発している。特にFWの第3列は同じ顔ぶれである。しかし、イングランドは、先発メンバーでワールドカップ準々決勝で先発したのは5人だけであり、大きなメンバーの変更が行われ、新しいメンバーがまだ十分に機能していないことを物語っている。
■先制のチャンスを逃したフランス、トライを重ねるイングランド
ハーフ団を変更したフランスにとって気がかりはプレースキッカーである。アイルランド戦でも4本のペナルティゴールを決めたパラがピッチの外でキックオフを迎える。またワールドカップの準々決勝では前半16-0と大きくリードしてからイングランドに追い上げられ、19-12と言うスコアで逃げ切ったフランスであるが、後半唯一の得点はトラン・デュックのドロップゴールであった。
フランスのキックオフで試合は始まり、最初の得点のチャンスは9分にフランスに訪れる。この試合最初のキッカーとなったデュプイは1月初めにフィリップ・サンタンドレ監督が選出したメンバーには入っていなかったが、ディミトリ・ヤシビリの負傷によって急きょメンバーに追加招集された。そのデュプイはペナルティゴールを外す。
イングランドは13分にトライをあげ、ゴールも成功させて7点を先制する。フランスは2度目のペナルティキックを今度はボークシスが蹴って成功、3-7と追い上げる。しかしイングランドはその直後のキックオフのフランスのミスに付け込み、2本目のトライ、ゴールも決まって14-3とする。フランスは32分に近距離のペナルティゴールをデュプイ、40分に距離のあるペナルティゴールをボークシスが決めて9-14と5点差でハーフタイムを迎える。
■遅すぎた初トライ、2点及ばず優勝を逃す
49分にイングランドはペナルディゴールで3点を追加し、それに対し51分にフランスはペナルティゴールのチャンスを得る。パラがデュプイに代わって出場していたが、ボークシスがショットを失敗する。しかし、フランスは65分、69分と連続してペナルティを決めて2点差に追い上げ、残り10分となる。
ところがこの日のフランスは得点をあげた直後にトライを奪われ、71分には3本目のトライを許し、ゴールも成功、15-24と9点差となる。フランスの初トライは75分のことであった。イングランドのゴールまでのスクラムからサインプレーを決めて最後はウェスレイ・フォフォナがスタッド・ド・フランスのインゴールに入る。パラがゴールを決め、残り時間もフランスが連続攻撃を続けたが、ペナルティゴールのチャンスもなく、フランスは22-24と宿敵イングランドに敗れ、優勝を逃したのである。(続く)