第1377回 凱旋試合となるか6か国対抗(7) ウェールズ相手にノートライ、グランドスラム達成を許す

 昨年3月11日の東日本大震災で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■最終戦はグランドスラム達成のかかったウェールズ戦

 宿敵イングランドに22-24と2点及ばず敗れてしまったフランス、2勝1分1敗となり、第5節終了時点の成績は首位ウェールズ4勝、2位イングランド3勝1敗、2勝1分1敗のチームが2つあり、得失点差で3位フランス、4位アイルランド、4戦全敗のチームも2つあり、得失点差で5位スコットランド、6位イタリアとなっている。優勝の可能性はウェールズとイングランドだけに残されることになった。
 そして最終節、フランスはウェールズのカーディフで戦う。すなわち、フランスは地元でのグランドスラム(5戦全勝)達成がかかっているウェールズと対戦するわけである。近年の6か国対抗の戦績を見るとグランドスラムが圧倒的に多く、過去10年間のうち7回は優勝国が5戦全勝を達成している。フランス自身も2002年、2004年と2010年にグランドスラムを達成している。一方、フランスがグランドスラム達成の引き立て役となってしまったこともある。それが2008年の6か国対抗であり、今回と同じく相手はウェールズ、そして舞台はカーディフである。2008年の時は4連勝(得失点差+65)のウェールズが3勝1敗(得失点差+42)で追うフランスを迎え、フランスは12点差で勝利すれば逆転優勝も可能であったが、ウェールズが29-12でフランスを下し、グランドスラムを達成している。

■昨年のワールドカップ準決勝の再現

 フランスにとってはその時の再現を阻止するということもあるが、何よりも昨年のワールドカップ準決勝の再決着を図りたいところである。昨年のワールドカップ準決勝の模様については本連載第1315回で紹介したとおりであるが、ウェールズの主将のサム・ウォーバートンが序盤で退場を命じられ、人数的有利になったフランスであるが攻めきることができず、防戦一方、そしてノートライで9-8と勝利し、「試合に負けて勝負に勝って」決勝に進出した。小柄な若手選手中心に構成されたウェールズに対する評価は高く、ニュージーランドでの評価が間違いでなかったことはここまでの4連勝で証明されている。
 一方のフランスはワールドカップの決勝進出がフロックではなかったことは決勝のニュージーランド戦で証明したが、年が改まって2012年3月17日、カーディフのミレニアム競技場で再度証明したいところである。

■試合を支配したがリードされたフランス

 フランスはスクラムハーフに復帰してきたディミトリ・ヤシビリを起用、リオネル・ボークシスとハーフ団を形成する。フランスは先発15人中9人が昨年の準決勝に出場している。一方のウェールズであるが、15人中11人が出場している。もちろんこの中には主将のウォーバートンも含まれているが、快速ウイングとして活躍したシェーン・ウィリアムズは代表から退いている。
 試合はフランスが主に支配する。フランスは12分にヤシビリのペナルティゴールで先制する。しかしながらウェールズはシェーン・ウィリアムズの後継者と目される21歳のアレックス・クスバートが21分に逆転のトライをあげ、ゴールも成功させて7-3とする。フルバックのリー・ハーフペニーは33分にもペナルティゴール成功、10-3というスコアでハーフタームを迎えるが、昨年の準決勝とは逆の展開、逆のスコアとなる。

■フランスの総力戦も実らず、ノートライで4位に終わる

 後半に入って44分にボークシスがペナルティゴールを決めてフランスは6-10と4点差に詰め寄るが、53分にウェールズはハーフペニーがペナルティを決めて再び7点差となる。この試合、対照的だったのは選手の入れ替えである。昨年の準決勝は両チームともFWを中心にそれぞれ4人しか選手を入れ替えなかった。この試合、ウェールズは2人だけしか入れ替えなかったのに対し、フランスは6人を入れ替えた。そのフランスの総力戦もかなわず、フランスは73分にヤシビリがペナルティゴールをあげて4点差としたが、76分にウェールズのハーフペニーのペナルティゴールが決まり万事休す。フランスはこの日も赤い悪魔相手にノートライ、9-16で敗れ、ウェールズでの地元でのグランドスラムを達成させてしまい、最終成績も4位に沈んだのである。(この項、終わり)

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