第1437回 ロンドンオリンピックでのフランスの活躍(2) 銀メダルを獲得した女子バスケットボール
昨年3月11日の東日本大震災で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。
■世界予選を勝ち抜いた女子ハンドボール
前回の本連載では男子ハンドボールが金メダルを獲得したことを紹介したが、今回は他の競技について紹介しよう。
まず女子ハンドボールはグループリーグで好調であった。フランスの女子ハンドボールチームも男子ほどではないが好成績を残してきた。2000年前後の最初の黄金期を迎える。1999年の世界選手権で準優勝し、2002年の欧州選手権では3位、2003年の世界選手権では優勝している。2000年代の半ばは低迷したが、最近復調し、世界選手権では2009年と2011年に連続して準優勝している。
女子ハンドボールは1976年のモントリオールオリンピックから採用されているがフランスが本大会に参加したのは2000年のシドニーオリンピックが最初のことである。オリンピックではデンマーク、ノルウェーという北欧勢が強く、フランスは世界選手権や欧州選手権のようにメダルを獲得することができず、シドニーで6位、アテネで4位、北京で5位とメダルまであと一歩という状況が続いてきた。
そして欧州選手権で好成績を残す中で迎えた今回のロンドンオリンピック、2010年の欧州選手権が予選を兼ねた。優勝国だけに与えられるロンドン行きのチケットはノルウェーの手に渡り、また、2011年の世界選手権も優勝国にオリンピックの出場権が与えられるが、フランスは決勝でブラジルに敗れ、惜しいところで出場権を獲得できなかった。そして最後のチャンスが今年5月に行われた世界予選である。世界選手権準優勝のフランス、同10位のモンテネグロ、2010年の欧州選手権3位のルーマニア、2011年のアジア予選2位の日本の4チームが総当たりのリーグ戦で戦い、上位2チームがロンドン行きとなる。この中でフランスは2勝1敗でモンテネグロとともに4大会連続のオリンピック出場を果たす。
■グループリーグを首位突破するもモンテネグロに敗れる
グループリーグでは初戦で欧州チャンピオンのノルウェーを23－22で下して調子に乗り、スペインと引き分けるが、スウェーデン、韓国、デンマークという実績のある国を次々と倒し、決勝トーナメントに進出する。
決勝トーナメントの準々決勝でグループリーグ4位でようやく勝ち上がってきたモンテネグロと対戦、5月の世界予選で敗れている相手に22－23と僅差で敗れてしまい、前回の北京オリンピック同様5位にとどまる。（団体球技では5位以下は順位決定戦は行われず、グループリーグの成績で決定する）
■米国との再戦ならなかった男子バスケットボール
バスケットボールは男女ともに米国がドリームチームを編成してきたが、フランスは果敢に立ち向かった。
男子は2011年にリトアニアで開催された欧州選手権で準優勝し、優勝したスペインとともにロンドン行きを決める。いきなりドリームチームの米国との対戦となった。トニー・パーカー率いるフランスがどこまで戦うかが注目されたが、米国は序盤からフランスを寄せ付けず、98－71と一蹴する。しかし米国に100点ゲームを許さなかったフランスはその後の試合で力を見せ、南米の雄アルゼンチンを71－64、リトアニアに82－74、チュニジアを73－69、ナイジェリアを79－73と下し、米国に次ぐグループ2位で決勝トーナメントに進出する。準々決勝でグループBで3位にとどまったスペインと対戦、欧州選手権決勝の再現となったが、惜しくも59－66で敗れ、6位にとどまった。
■2回目の出場で銀メダルを獲得した女子バスケットボール
そして驚きは女子であった。ハンドボール同様、モントリオールから採用になったが、これまでにオリンピック出場はシドニーの1回だけ、しかし欧州選手権は2009年に優勝、2011年に3位となり、今回も世界予選をくぐりぬけて2度目のオリンピックとなった。グループリーグでは豪州、英国との延長戦を制し、5戦全勝で決勝トーナメントに進む。準々決勝でチェコを破り、準決勝ではグループリーグに続いてロシアを下す。そして決勝の相手は米国である。
1992年のバルセロナオリンピックの準決勝でソ連に負けた以外は全勝、過去7大会で54勝1敗、6個の金メダルで現在4連覇中の米国。男子の借りを返そうと挑んだフランスであったが、実力の差は明白で、50－86と大敗した。
しかし、女子バスケットボールの銀メダルはフランスの女子にとって初の団体球技のメダル。
フランスは出場した5つの団体球技で2つのメダルだけではなく、すべてのチームが決勝トーナメント進出という健闘を見せたのである。（この項、終わり）
