第1574回 ラグビーも王国相手に3連敗(3) 第1テストマッチは逆転負け
一昨年3月11日の東日本大震災で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。
■類似点の多いサッカーとラグビーの代表チーム
昨年11月の3連勝から一転して今春の6か国対抗では3連敗し、結局1勝1分3敗でイタリアが加わってから初めて最下位になった。
奇しくもラグビーとサッカーの代表チームは昨秋から今年にかけて似たような戦績となったのである。そして、6月にはそろって南半球遠征、おまけにラグビーはニュージーランド、サッカーはブラジルとそれぞれの種目での王国を訪問することになった。
■2年前の対戦とはメンバーが大幅に代わった両チーム
サッカーの代表が先にフランスを旅立ったが、先に王国入りしたのはラグビーの代表チームである。2011年秋のワールドカップ以来の対戦となる両国であるが、メンバーが大幅に代わり、特にフランスはほとんどのメンバーが入れ替わった。
6月8日の第1テストマッチの舞台はオークランドのエデンパーク、2年前のワールドカップの決勝の舞台である。このエデンパークでオールブラックスは1994年7月3日にフランスに20-23と敗れて以来、30試合負けなし(29勝1分)という記録を更新中である。まさに王国における聖地での第1テストマッチとなった。このオークランドでの第1テストの先発フィフティーン、2年前の決勝でも出場した選手はニュージーランドは6人いるが、フランスは2人だけ、主将でフランカーを務めるティエリー・デュソトワールと2年前はウィングだったフルバックのマキシム・メダールだけである。これだけ多くの選手が入れ替わった理由は世代交代もあるが、このところの低迷で選手が固定しないからである。
このニュージーランドとの第1戦で初キャップとなったのはスタンドオフのカミーユ・ロペスとウィングのアドリアン・プランテの2人である。プランテは28歳、ウィングとしては異例の高齢での代表デビューとなった。
■試合を支配するが、逆転負けを喫したフランス
フランスはウェスレイ・フォファナが先制トライをあげるなど順調な滑り出しであったが、前半の33分にニュージーランドはアーロン・スミスがトライ(ゴール成功)して逆転する。フランスはその直後にマキシム・マシュノーのペナルティゴールで10-10と追いついたが、ニュージーランドは38分に20歳のサム・ケインがトライし、アーロン・クルーデンがゴールを成功させて17-10とリードして前半を折り返す。後半は両チームともトライはなく、ペナルティゴールをニュージーランドは2本、フランスは1本決め、最終的にはニュージーランドが23-13というスコアで、フランスを下す。フランスは、ボール保持率でニュージーランドを上回り、終始優勢に試合を優勢に進めたが、エデンパークでの19年ぶりの勝利はならず、第1戦を落としてしまったのである。
■オークランド・ブルース相手に快勝、第2テストマッチに期待
第2テストマッチは次の土曜日の6月15日にクライストチャーチで行われるが、火曜日の11日にはノースハーバー競技場でのオークランド・ブルースとの試合が待っている。今回のニュージーランド遠征で唯一のクラブチームとの対戦である。
ニュージーランドとの第1テストマッチでフランカーのフルジャンス・ウエドラオゴが負傷し、フィリップ・サンタンドレ監督は急きょフランスからメンバーを追加する。試合終了後の土曜の深夜にダミアン・シュリーに連絡し、結婚式に出席していたシュリーは夜のあけた日曜日の朝、自宅を出発し、長旅を経てオークランドの空港に着いたのはキックオフの6時間前、チームメイトの待つホテルで合流し、競技場入りする。
オークランド・ブルースを率いるのは日本代表の監督としてワールドカップに2回出場したジョン・カーワンである。日本の皆様であればよくご存じのチームであろう。
フランスは先発15人のうち、第1テストマッチでも先発したのは本来のポジションのフルバックに入ったメダールだけである。前半はペナルティゴール合戦となり、フランスが12-3とリード。後半に入り、54分にはシュリーが交代出場する。フランスは4トライをあげ38-12と快勝し、4日後にクライストチャーチで行われる第2テストマッチに弾みをつけたのである。(続く)