第1681回 フランス、逆転優勝ならず(3) アイルランド、イングランド、フランスの優勝争い
3年前の3月11日の東日本大震災で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。
■フィリップ・サンタンドレ更迭論の巻き起こったフランス
イングランド、イタリア相手に連勝スタートしたが、ウェールズに大敗、さらに格下とみられるスコットランドにも辛勝というフランス、早速国内ではフィリップ・サンタンドレ監督の更迭を望む声が起こった。サンタンドレ監督は2年前の6か国対抗からフランス代表の指揮を執っているが、これまでの戦績は25戦して11勝2分12敗と負け越している。現役時代は代表として69試合に出場、そのうち34試合で主将を務めており、サッカーの代表監督であるディディエ・デシャンとよく似た経歴である。デシャン監督もサンタンドレ監督同様に苦戦してきたが、ようやく昨秋以降持ち直し、ワールドカップ予選を突破、今夏のワールドカップで成果を残したいところである。一方のサンタンドレ監督の場合は、来年秋に行われるワールドカップまで待てない、というのがファンの声である。
■最終節の最終のキックオフはフランス-アイルランド戦
しかし、サンタンドレ監督もかつてのデシャン監督がそうであったように、反転攻勢をかける意欲がないはずはない。それが最終戦のアイルランド戦である。第4節の結果であるが、2勝1敗のアイルランドはイタリアに46-7と大勝、2勝1敗同士のイングランドとウェールズの対戦はイングランドが29-18と勝利した。すなわり、3勝1敗で最終戦を迎えたのはアイルランド、イングランド、フランスの3チーム。最終節は3月15日に行われ、13時30分にイタリア-イングランド、15時45分にウェールズ-スコットランド、18時にフランス-アイルランド戦がそれぞれキックオフされる。
■フランス優勝の条件
3勝1敗のチームの得失点差はアイルランドが+81、イングランドが+32に対しフランスはわずか+3、しかし、フランスにも優勝の可能性が残っており、次の2つのケースが考えられる。最初のケースは、イングランドがイタリアに引き分け以下で、フランスがアイルランドに勝利すると、4勝1敗となるのはフランスだけとなり、優勝が決まる。ただ、イングランドがイタリアに引き分け以下ということは考えにくい。
イングランドがイタリアに勝利して全日程を4勝1敗で終え、フランスはアイルランドと対戦して勝利すれば、フランスも4勝1敗で並ぶ。この場合、フランスはアイルランドに勝利し、4勝1敗でイングランドと並ぶことになり、得失点差の争いとなり、この得失点差でフランスがイングランドを上回った場合が第2のケースである。
■イタリア戦で大量得点を狙うイングランド
以上2つのケースがフランス優勝の条件であるが、イングランドはイタリアに勝利し、フランスがアイルランドに勝利した場合は得失点差でかなり優位であるが、逆にアイルランドがフランスに勝利した場合、4勝1敗で並ぶのはイングランドとアイルランド、先述の通り、アイルランドは得失点差でイングランドを49点もリードしている。イングランドは最終戦のイタリア戦で大量得点差をつけた勝利をすることが、優勝への条件となる。イングランドは第1節のフランス戦で敗れたが、その後はスコットランド、アイルランド、ウェールズに3連勝、ホームユニオンのチームに全勝し、トリプルクラウンを達成した。イングランドのトリプルクラウン達成は2003年以来実に11年ぶりのことである。また、ウェールズ戦はウェールズのお株を奪う創造性あふれる「フレンチフレア」を見せ、決して優勝が夢ではない試合内容である。
最終節の第1試合となるイタリア-イングランド戦、ローマのオリンピックスタジアムには超満員の7万3000人のファンが集まった。今年、イタリアはホームゲームを2試合行っているが、もう1つのスコットランド戦(第3節、2月22日)も5万8000人の観衆を集めており、20-21と惜敗している。6か国の中でファンの関心が低かったイタリアも、オリンピックスタジアムでの6か国対抗にはたくさんの観客が集まるようになったのである。(続く)