第1755回 2014年バスケットボールワールドカップ(3) グループAを3位で通過
3年前の3月11日の東日本大震災で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。
■日本開催の2006年の王者スペイン
負傷者続出の中、死のグループAに入ったフランス、第1戦はブラジルに競り負け、第2戦はセルビアを振り切り、そして第3戦はエジプトに大勝した。2勝すれば決勝トーナメント進出にぐっと近づいたが、決勝トーナメントでのドローを考えるならば、少しでもいい順位を確保したい。第1戦から第3戦までは休みなく連日行われたが、第4戦は第3戦の翌々日の9月3日に行われた。第4戦の相手はスペイン、今大会も開催国であり世界ランキング2位のスペインはここまでイランを90-60、エジプトを90-54、ブラジルを82-63と相手を寄せ付けない圧勝を続けている。
■スペインの誇るスター選手
スペインというと日本の皆様にとっては日本で開催された2006年の世界選手権の優勝が印象的であろう。2006年世界選手権の最優秀選手に輝いたパウ・ガソルは健在、現在はシカゴ・ブルズに所属し、弟のマルク・ガソルも代表入りし、このフランス戦では兄弟そろってスターターとなっている。また、スターターから外れているが、セルジュ・イバカはコンゴ共和国人の父とコンゴ民主共和国人の母を持ちコンゴ共和国で生まれ、現在はNBAのオクラホマシティサンダースで活躍している。イバカはフランスで育ち、フランスの2部リーグでプレーしたこともあり、フランス代表入りの可能性もあったが、その後スペインのレアル・マドリッドに移籍、スペイン代表入りし、フランスとしては大きな損失となった。
■王者スペインに対し大敗、最終戦に望み
挑戦者となるフランス、スターターの5人はこれまでと変わらず、ボリス・ディアウ、ニコラ・バタム、ミカエル・ジェラバル、トマ・ウルテル、ジョフレイ・ローベルニュというメンバーである。フランスは昨年の欧州選手権の準決勝でスペインを延長戦で下しているが、この時のスペインにはパウ・ガソルもイバカもいなかった。
フランスはスペインに先制を許すが、すぐにディアウが3ポイントシュートで逆転、そしてこの開始2分の段階がこの試合唯一フランスがリードした瞬間となった。スペインはガソル兄弟の活躍であっという間に逆転し、フランスとの差を広げる。フランスは第1クォーター終了間際にいったんは追いついたが、スペインが22-19とリードして第1クォーターを終える。第2クォーターに入ってからはシュートの精度が上回るスペインが優位に試合を進め、44-34という10点のリードでハーフタイムを迎えた。
後半戦に入って第3クォーターもスペインのリズムである。フランスはなかなかリバウンドを取ることができず、苦戦し、第3クォーターが終了した時点で65-50と15点差がついてしまう。さらに第4クォーターもスペインの優位は変わらず、最終スコアは88-64と24点差。両チームのエースの出来が明暗を分けた。スペインのパウ・ガソルは17点をあげたのに対し、フランスのディアウは開始直後の3ポイントシュートの3点のみであった。
■イランの猛追を振り切り、決勝トーナメント進出
グループリーグ最終戦を前にしてグループAは首位スペインで4勝、2位は3勝1敗のブラジル、2勝2敗で並んでいるのがセルビア(得失点差+25)とフランス(+14)、1勝3敗がイラン、最下位は4敗のエジプトである。
フランスは最終戦で5位のイランと対戦、この結果によっては順位が5位に落ちる可能性もある。アジアチャンピオンということで日本の皆様はよくイランのことをご存知かもしれないが、フランスはイランと実に62年ぶりの対戦となる。大差でフランスを下し、決勝トーナメントへの望みをつなぎたいイランは第1クォーターから積極的に攻め、23-13と10点のリードを奪う。しかし、フランスは第2クォーターに大逆転、37-33と4点をリードして前半を終える。第3クォーターに入ってもフランスの勢いは衰えず、第3クォーターを終えて63-49とフランスは大量にリードする。しかし、過去のスポーツ界でしばしばアジアのチームが魂の大逆転を見せた様に第4クォーターにイランは巻き返すが、最終スコアはフランスが81-76と逃げ切る。
続く最終試合でスペインがセルビアを下したため、フランスはグループを3位で通過したのである。(続く)