第1783回 デビスカップ、またも準優勝(4) シングルスの2枚看板が頼みのスイス

 3年前の3月11日の東日本大震災で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■初昇格から4年連続でワールドグループを戦うカザフスタン

 ロジャー・フェデラーとスタニラス・ワウリンカの2枚看板で1回戦のセルビア戦に勝利したスイスの2回戦の相手はカザフスタンである。ソビエト連邦の崩壊により誕生したカザフスタンがデビスカップのワールドグループに初めて昇格したのは2011年のことである。旧ソ連の各国はロシア、ウクライナの活躍が目立つが、近年、自転車のツール・ド・フランスでもカザフスタン勢が躍進してきた。過去の足取りを見ると、2011年は1回戦でチェコに勝利し、残留を決め、準々決勝でアルゼンチンに敗れている。2012年は1回戦でスペインに0勝5敗で完敗したが、入れ替え戦になるプレーオフでは隣国のウズベキスタンに勝利し残留している。2013年は1回戦でオーストリアに勝利、2回戦では優勝したチェコに敗れたものの残留を決め、今年はワールドグループでの4年目となる。1回戦でベルギーに勝利して2回戦でスイスと対戦する。

■ランキング70位台のアンドレイ・ゴルベウがスタニラス・ワウリンカに勝利

 カザフスタンの主力選手はランキング70位台のミカエル・ククシュキンとアンドレイ・ゴルベウである。順当にいけば、スイスは1回戦のセルビア戦同様、初日のシングルス2試合を連勝し、王手をかけたいところである。ところが第1ラバーのワウリンカはゴルベウ相手に思わぬつまずきを見せる。第1セットをタイブレークの末落とし、第2セットも連取される。結局、セットカウント1-3というスコアで負けてしまう。続く第2ラバーはフェデラーがククシュキンに対してストレートで勝利したが、スイスとしては大誤算の金曜日となった。
 土曜日のダブルス、スイスはフェデラーとワウリンカのペアを送り込む。2人は2008年の北京オリンピックの優勝ペアであるが、近年は実績に乏しい。近年の実績が示す通り、カザフスタンペアはスイスの黄金ペアに対して第1セットを先取、第2セットもタイブレークを制し、第3セットは奪われたものの、第4セットを獲得して勝利する。

■最終日のシングルスで連勝してカザフスタンを下したスイス

 最終日のシングルス2試合でスイスは連勝するしかなくなったのである。その最終日、ジュネーブで1万6000人が集まった中でワウリンカはククシュキン相手に第1セットをタイブレークで落としたものの第2セット以降は堅実に3セット連続で獲得し、2勝2敗としてフェデラーと初日に大金星をあげたゴルベウとの1戦が決戦となったのである。第1セットからタイブレークとなり、波乱を予期させたが、このタイブレークはフェデラーが1ポイントも相手に許さず獲得する。ここからは王者の風格を漂わせるフェデラーの独壇場となり、第2セット、第3セットと難なく奪い、スイスが3勝2敗でカザフスタンを下し、準決勝進出を決めたのである。

■初日のシングルス連勝が貯金となり、イタリアを下し、22年ぶりに決勝進出

 準決勝の相手はイタリアである。しばしば上位に進出するイタリアも世界ランキング2桁のシングルスプレーヤーを集めたチーム編成である。軸となるのはファビオ・フォニーニ、アンドレアス・セッピ、シモーネ・ボレリなどである。2回戦ではフォニーニがシングルスでアンディ・マレーを下し、英国に勝利している。
 準々決勝に続きジュネーブのパルエキスポで行われた試合、金曜日のシングルスは第1ラバーでフェデラーがボレリに、そして第2ラバーでワウリンカがフォニーニに相手に1セットも許さず、ストレート勝ちする。1回戦のセルビア戦と同じ展開となる。イタリアもスイス同様にダブルスのスペシャリストがいるわけではない。後のないイタリアは2日目のダブルスに初日のシングルスを戦ったボレリとフォニーニを起用、マルコ・キュディネリとワウリンカのスイスペアをフルセットの末下し、日曜日に望みをつなぐ。
 第4ラバーはフェデラーがフォニーニをストレートで下し、スイスが決勝進出を決める。勝敗の決まった後の第5ラバーはミカエル・ランマーとセッピの3セットマッチとなり、ランマーは1-2で敗れ、最終的には3勝2敗でスイスが22年ぶりの決勝進出を決めたのである。(続く)

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