第1786回 デビスカップ、またも準優勝(7) ガエル・モンフィス、世界2位のロジャー・フェデラーに完勝

 3年前の3月11日の東日本大震災で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■デビスカップ史上最多観客動員を更新

 2万7000人の収容人員となったピエール・モーロワ競技場の仮設テニスコート、初日は金曜日の平日であったが、収容人員を上回る2万7432人の観衆が集まった。これはデビスカップ史上最多の観客動員である。これまでのデビスカップの観客動員の最多記録は2004年にスペインのセビリアのオリンピックスタジアムで行われた決勝戦のスペイン-米国戦であり、2万7200人という記録が残っている。この記録を更新し、フランスは13年ぶりの世界一を目指す。

■第1ラバー、ジョー・ウィルフリード・ツォンガはスタニラス・ワウリンカに完敗

 第1ラバーはジョー・ウィルフリード・ツォンガとスタニラス・ワウリンカの試合である。前回の本連載で紹介した通り、過去の戦績を考えれば、フランスとしてはこのツォンガの勝利に期待したいところである。
 ところがこれまでワウリンカ相手には2勝3敗、クレーコートでは2勝2敗とシングルスの組み合わせの中では最もいい成績を残しているツォンガ、全く動けず、第1セットを1-6と簡単に落としてしまう。第2セットは6-3と挽回し、期待を持たせたが、第3セットは3-6、第4セットも2-6と連取され、セットカウント1-3で重要な第1ラバーは黒星となってしまった。フランスとしてはシングルスの中で最も勝算のあるツォンガ-ワウリンカ戦を落としてしまったのは痛い。
 ツォンガの過去のデータを見るとデビスカップでは世界のトップレベルに全く歯が立たず、これまで2011年にスペインのラファエル・ナダル(当時2位)に敗れ、2012年位は米国のジョン・イスナー(当時11位)に敗れている。ツォンガがデビスカップのシングルスで勝利した選手の中で最も世界ランキングが高いのは世界ランキング18位の選手で、2009年の1回戦で戦ったチェコのラデック・ステパネックと昨年の準々決勝で対戦したアルゼンチンのホアン・モナコがこれに相当する。

■ガエル・モンフィス、ロジャー・フェデラーにストレート勝ち

 ツォンガの完敗に沈んだピエール・モーロワ競技場であるが、会場の1割ほどの赤い集団のスイスの応援団は盛り上がる。世界ランキング2位のロジャー・フェデラーの登場である。対するフランスは長身のガエル・モンフィスが迎え撃つが、前回の本連載で紹介した通り、モンフィスは2勝10敗とフェデラー戦は苦手としている。ところが、モンフィスはこのフェデラー戦、予想もしない展開で進む。第1セットをモンフィスが6-1と取ると、続く第2セットもモンフィスが6-4と競り勝ち、さらに第3セットもモンフィスが6-3と奪い、ストレート勝ちする。試合時間わずか1時間46分、フェデラーにとっては屈辱的なストレート負けであった。フェデラーはこれまでのデビスカップのシングルスでの戦績は37勝7敗、最後に敗れたのは2012年の米国との対戦でのイスナー戦である。

■歴史的な大金星となったモンフィス

 一方のモンフィスは大金星となった。これまでデビスカップにはシングルスだけに出場、9勝2敗という戦績は華々しく見える。今年も1回戦、準々決勝、準決勝とそれぞれ1試合に出場し、3試合とも勝利している。しかしこの3試合すべてはチームの勝敗が決まった後の第5ラバーの出場、3試合とも3セットマッチでの消化試合という環境での勝利である。モンフィスが勝敗が決する前の5セットマッチの試合で勝利したのは2011年の準々決勝のドイツ戦のフィリップ・コールシュライバー戦までさかのぼることになる。
 そのモンフィスが世界ランキング2位のフェデラーを破った。フランス人でデビスカップでトップ10入りした選手を破ったことがあるのは過去に10人、準決勝で6位のトーマシュ・ベルディハを破ったリシャール・ガスケに続き快挙である。さらに上位2人を破ったことがあるのは1984年に当時チェコスロバキアのイワン・レンドル(1位)を破ったアンリ・ルコント、2001年に豪州のレイトン・ヒューイット(1位)を破ったニコラ・エスクデしかいない。
 モンフィスの勝利は土曜日のピエール・モーロワ競技場に大きな期待を与えることになったのである。(続く)

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