第1884回 リオデジャネイロへの道 (1) 団体球技で女子の一番乗りは7人制ラグビー
4年前の3月11日の東日本大震災で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。
■男女の団体球技7種目が行われるリオデジャネイロオリンピック
今年は奇数年ということで、サッカーをはじめとする多くの球技のシーズンオフとなる6月から7月にかけては例年以上にツール・ド・フランスへの注目度が高い。前々回までの本連載で紹介した通り、ラグビーもワールドカップを秋に控えているとあってこの時期の南米遠征がない。
しかし、来年のリオデジャネイロオリンピックの予選が進んでいる。予選が行われるのは主に球技である。リオデジャネイロオリンピックで行われる球技は、7人制ラグビー、サッカー、バレーボール、バスケットボール、ハンドボール、ホッケー、水球の7競技である。いずれの競技も男女とも開催される。
■男女ともオリンピック出場権を勝ち取った7人制ラグビー
6月から7月にかけてうれしいニュースが飛び込んできた。それは7人制ラグビーが男女そろってリオデジャネイロオリンピックの出場権を獲得したことである。ラグビーはオリンピックの創生期に15人制が行われたことがあるが、7人制はリオデジャネイロ大会からの採用となる。15人制ラグビーが40分ハーフで行われ、選手のリカバリーを考えると2週間という短期間では少数のチームしか参加することができない。他方、7人制ラグビーは7分ハーフで試合が行われ、1日に複数試合を行う大会形式になっている。2日間あるいは3日間で多数のチームが出場する大会の実施が可能であり、オリンピック向きの競技と言える。
■欧州予選を兼ねたセブンズグランプリシリーズ
男女とも本大会出場は12チームであり、昨年度の7人制ラグビーのワールドシリーズの上位4チームはリオデジャネイロ行きが決まる。男子はフィジー、南アフリカ、ニュージーランド、英国がこれに相当し、それ以外は開催国のブラジルに加え、北米、南米、アジア、アフリカ、オセアニア、欧州の各地域の予選の勝者、これらに漏れたチームによるプレーオフの勝者である。女子も同様であり、昨年度のワールドシリーズの上位4チームは豪州、カナダ、英国、ニュージーランドである。フランスは男女ともワールドシリーズでは上位4か国に入らなかったため欧州予選へのチャレンジとなる。
欧州予選は男女ともセブンズグランプリシリーズと呼ばれる欧州セブンズ選手権が兼ねることになる。男子は6月から7月にかけての3大会、女子は6月に行われる2大会からなる。
女子は6月13日と14日にロシアのカザンで第1戦、20日と21日にフランスのブリーブで第2戦が行われ、この2戦のポイントを通算して順位が決められる。12チームが出場し、初日は4チームずつ3つのプールに分かれ、予選プールが行われる。各プール上位2チームと予選プール3位のうち上位2チームの合計8チームがカップトーナメントに進出する。
■第1戦カザン大会決勝で敗れたロシアに第2戦ブリーブ大会で快勝
カザン大会でフランスは予選プールはウクライナ、アイルランド、スペインとすべて完勝、決勝トーナメントでも1回戦のイタリア、準決勝のイングランドを寄せ付けず、決勝に進出する。決勝の相手は地元ロシアである。ロシアとの試合は接戦となり、フランスは結局15-19で敗れてしまう。
準優勝に終わったカザン大会の翌週末、ブリーブに舞台を移して行われた第2戦、意外な展開となる。フランスは予選プールでポルトガル、ウェールズに大勝したが、最終戦のオランダ戦で10-20とまさかの敗戦で予選プール2位となる。カザン大会で優勝したロシアは予選プールを3連勝で通過し、決勝トーナメントで順調にいくと両チームは準決勝で対戦することになった。
決勝トーナメント1回戦でフランスはアイルランドに勝利、ウクライナに勝利したロシアと準決勝で対戦する。この試合でフランスは19-10とロシアに雪辱を果たす。3位決定戦に回ったロシアはイングランドに勝利、残すはフランスとスペインの決勝だけである。フランスは敗れて準優勝になった場合、カザン大会で優勝経験のあるロシアが上位となり、オリンピック行きのチケットを逃すことになる。
しかし、フランスはスペインを20-0と完封勝利、ポイント数で上回り、女子の団体球技としてリオデジャネイロ一番乗りを決めたのである。(本連載第1879回で紹介した女子サッカーの決定は6月22日)(続く)