第1887回 リオデジャネイロへの道 (4) オリンピックを目指す女子バスケットボール

 4年前の3月11日の東日本大震災で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■欧州から1枚しかチケットがないバスケットボール

 前々回と前回は7人制ラグビー、ハンドボール、サッカーと男子のオリンピック出場権について紹介してきたが、今回は女子で7人制ラグビー、サッカーに続いて出場権を目指した女子バスケットボールについて紹介しよう。
 オリンピックのバスケットボールには男女とも12か国が出場できるが、欧州からは欧州選手権で優勝すれば出場権を得ることができる。男子は今年の9月に4か国で開催される。予選リーグはモンペリエ、ドイツのベルリン、クロアチアのザグレブ、リトアニアのリガの5都市で行わる。決勝トーナメントはフランスでの開催となる。昨年秋にテニスのデビスカップ決勝も行われ、来年のサッカーの欧州選手権でも使用されるリールのピエール・モーロワ競技場で行われる。女子は6月にハンガリーとルーマニアで行われた。

■ロンドンで驚きの銀メダルを獲得した女子バスケットボール

 フランスの女子バスケットボールチームは長らく低迷していたが、1990年代の後半から力をあげてきた。奇数年に行われる欧州選手権では1993年に23年ぶりに準優勝したのを皮切りに1999年大会も準優勝し、2001年大会で優勝を果たし、その後2009年大会でも優勝している。また、世界選手権では1953年に銅メダルを獲得したのが唯一のメダルであるが、2002年大会以降毎回本大会に出場している。そして記憶に新しいのが2012年のロンドンオリンピックである。世界予選を勝ち上がり、2000年大会に次ぐ2回目の出場にして決勝に進出し、惜しくも米国に敗れたことを本連載第1437回で紹介したが、オリンピックにおいてフランスの女子団体球技で初めてのメダルをもたらしたのである。

■長丁場の戦いとなる女子欧州選手権

 前回大会で準優勝し、予選免除で本戦に出場したフランス、目指すはもちろん優勝、そしてリオデジャネイロである。フランスは前回大会優勝のスペイン、トルコ、セルビアとともに第1シードになる。
 欧州各地から20チームが集まり、1枚だけのチケットを争う大会は、2週間を超える長丁場である。一次リーグは5チームずつ4つのグループに分かれ、上位3チームが二次リーグに進出する。二次リーグは一次リーグのグループAとグループBから勝ち上がった6チームがグループE、グループCとグループDから勝ち上がった6チームがグループFとなる。二次リーグでは一次リーグで対戦したチームとは対戦せず、一次リーグを別のグループで戦い勝ち上がってきた3チームと対戦し、一次リーグで対戦した2チームとの戦績を加えて、上位4チームが決勝トーナメントに進出する。

■一次リーグは全勝、二次リーグでトルコに敗れ2位で決勝トーナメント進出

 フランスは6月11日からルーマニアのティミショアラで始まった一次リーグで相手を寄せ付けず、グループAでウクライナに79-55、チェコに85-75、ルーマニアに76-67、モンテネグロに79-67と東欧勢を寄せ付けずに4連勝で首位で通過する。 二次リーグはグループBから勝ち上がったギリシャ、トルコ、ベラルーシと対戦し、一次リーグでフランスと同じグループAから勝ち上がったチェコ、モンテネグロ戦の戦績を加えることになる。
 一次リーグでの2勝というアドバンテージのあるフランス、舞台をハンガリーのデブレツェンに移し、まずギリシャ相手に51-42と勝利するが、続くトルコ戦で思わぬ不覚を取る。第1クォーター、第2クォーターとリードを保ち、第3クォーターに追いつかれる。そして第4クォーターで大きく崩れ、最終スコアは55-66と10点差で敗れてしまったのである。
 しかし、チームは立ち直り、二次リーグ最終戦はグループBを4戦全勝で勝ち上がってきたベラルーシ相手に序盤から差をつけて、68-58と逃げ切る。
 この結果、二次リーグの戦績はフランスとトルコが4勝1敗で並んだが、直接対決で勝利したトルコが1位となり、フランスは二次リーグ2位で決勝トーナメントに進出したのである。(続く)

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