第1896回 欧州選手権に備えるバスケットボール(2) ベオグラードでのセルビア戦に敗れる

 4年前の3月11日の東日本大震災で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■ベストメンバーのスターターが活躍したナンシーでのセルビア戦

 優勝国に来年のリオデジャネイロオリンピックの出場権が与えられるバスケットボール欧州選手権、9月に4か国で開催される。前回の覇者フランスも連覇、そしてオリンピック出場のために準備に余念はなく、7月に合宿、そして8月には10試合を行い、本番に臨む。前回の本連載で紹介した通り、10連戦の初戦はフィンランドとタンペレで対戦したが、NBAのオールスターチームに所属する有力選手を欠いたこともあり、まさかの黒星でスタートした。しかし、NBAのアフリカ遠征を終えたニコラ・バタム、ボリス・ディアウ、体調不十分でフィンランド戦に出場していなかったナンド・デコロが合流したナンシーでのセルビア戦では快勝する。
 このセルビア戦ではスターターの5人が出色のパフォーマンスを見せた。トニー・パーカーが16点、バタムが15点、デコロが11点、ルディ・ゴベールが10点、ディアウが9点と、78点のうちほぼ8割の61点をあげている。彼ら5人の出場時間はほぼ6割であるから、彼ら5人の力の大きさを改めて認識する次第である。

■出場停止処分を受けたロシアに快勝

 そして第3戦はセルビア戦の翌々日の9日に行われたロシア戦である。ロシアとは欧州選手権の1次リーグでも対戦する。しかし、ロシアではバスケットボール協会の会長を巡り内紛が続いており、国際バスケットボール連盟は来年のオリンピックへの出場停止処分を7月末に下した。
 この決定がロシアの選手の士気に影響し、フランス代表はロシアを圧倒、7分には17-2と大きくリードし、最終スコアは93-55と38点の大差をつけて勝利する。
 8月の強化試合の序盤の3試合が終わったところでフランスは地力のあるところを見せたが、この一連の強化試合は選手のセレクションも兼ねている。前回の本連載で紹介したようにメンバーを12人に絞ることになる。当落線上にある選手はこの強化試合でよいパフォーマンスを見せて生き残りたいところである。
 最初の犠牲者はキム・ティリーであり、このロシア戦後にメンバーから離脱した。

■強化試合の山場とも言えるベオグラードでのセルビア戦

 強化試合は週末を中心に行われるが、唯一の例外が12日の水曜日にベオグラードに遠征して行われたセルビア戦である。このアウエーでのセルビア戦は今回の強化試合の中で最も重要であるとバンサン・コレ監督はみなしている。なぜならば、8月に対戦する相手の中で最も強い相手がセルビアである。セルビア戦の後はウクライナ、ジョージア、ベルギー、ドイツと対戦するが、セルビアよりも力の上の国はない。また、会場のコムバンク・アリーナは2万2000人収容、これほど大きな体育館はフランス国内には存在せず、しかも、非常にファンは熱狂的であり、完全なアウエーの条件下で試合を行うことになる。フランスのジョフレイ・ローベルニュは2シーズン、このベオグラードを本拠地とするパルチザンに所属しており、このベオグラードでの戦いがいかに厳しいものかを認識している。

■セルビアに敗れるが、ウクライナには連勝

 当初19時試合開始予定であったが、セルビアのテレビ局からのリクエストを受けて20時30分に試合開始時間が変更された。セルビアにとってもフランス戦は重要である。満員の2万2000人が集まり、NBAの試合のような雰囲気の中で始まる。フランスはナンシーでの戦いと同じスターターで臨む。しかし、セルビアは序盤こそフランスにリードを許すこともあったが、7分に逆転してからは終始試合を優勢に進め、73-63と雪辱を果たす。両チームの対戦はホームチームが勝利、本大会でも決勝トーナメントでの顔合わせが予想されるが、どうなるだろうか。
 強化試合の峠を越えたフランス、8月14日と16日にはフランス国内の大西洋岸でウクライナと連戦を行った。14日のナントでの試合は90-57、16日のラロッシュ・シュール・ヨン近郊のムリヨン・キャプティフでの試合も95-63と大差をつけて連勝したのである。(続く)

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