第1897回 欧州選手権に備えるバスケットボール (3) 12人のメンバー決定、強化試合4連勝

 4年前の3月11日の東日本大震災で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■欧州選手権のメンバー12人を決定

 ウクライナ戦で勝利した8月16日、バンサン・コレ監督は欧州選手権に出場する選手12人を発表した。
 ポイントガードはトニー・パーカーとアントワン・ディオ、シューティングガード・スモールフォワードにはニコラ・バタム、ナンド・デコロ、エバン・フルニエ、ミカエル・ジェラバル、シャルル・カウディ、パワーフォワード・センターにはアレクシス・アジャンカ、ボリス・ディアウ、ルディ・ゴベール、ジョフレイ・ローベルニュ、フローラン・ピートラスというメンバーである。
 7月の合宿時から代表チームのメンバーとして活動していたトマ・ウーテル、ムハマド・ジェテの2人がこの段階でメンバーから外れた。ポイントガードのウーテルは同じポジションのパーカーがいることから選に漏れたといえるであろう。

■ベテランから若手までバランスの取れたチーム編成、豊富な国外経験

 最年長は34歳のピートラス、最年少は22歳のフルニエである。この時点で代表戦の出場数が一番多いのが199試合出場のピートラスである。ピートラス以外に100試合以上出場しているのはディアウ(196試合)、パーカー(154試合)、ジェラバル(128試合)、デコロ(115試合)、バタム(100試合)がおり、半数の6人が100試合以上に出場している。一方、フランス代表として一番出場試合数が少ないのは25試合出場のゴベールであるが、すでにスターターの地位を確保している。
 12人の所属クラブであるが、NBAに所属するのはパーカー、ディアウ(以上サンアントニオ)、バタム(シャルロット)、フルニエ(オーランド)、アジャンカ(ニューオーリンズ)、ゴベール(ユタ)、ローベルニュ(デンバー)の7人、米国以外の外国はデコロ(ロシア:CSKAモスクワ)の1人、国内リーグがディオ(ストラスブール)、ジェラバル(リモージュ)、カウディ(ルマン)、ピートラス(ナンシー)の4人である。
 国内のクラブに所属している4人であるが、ジェラバルはNBAのシアトルやミネソタで活躍し、ピートラスもスペインのマラガやバレンシアでタイトル獲得の経験を持つ。国外のクラブに所属した経験のないのはカウディと新シーズンからスペインのバレンシアでプレーするディオの2人だけである。
 昨年の同時期に行われたワールドカップに出場した12人と比べると、9人はワールドカップにも出場している。パーカー、デコロ、アジャンカはワールドカップの際には負傷し、NBAの新シーズンに備えるために大事を取って出場していなかった。逆に昨年のワールドカップに出場しながら今回出場しないのは、キム・ティリーとウーテルという最終メンバーから外れた2人とシューティングガードのエドウィン・ジャクソンという3人である。
 年齢的にはベテランから若手までを配しているが、若手もある程度の国際経験を積んでおり、まさに機は熟し、欧州選手権の連覇、リオデジャネイロオリンピックへの出場、そして来年のオリンピックでの上位進出という青写真をコレ監督以下首脳陣は描いていると言えるであろう。

■ジョージアに大勝、控えメンバーにも出場機会を多く与える

 12人のメンバーとなり、8月21日にはルーアンでジョージアと対戦する。3ポイントシュートが得意なジョージアであるが、フランスは終始主導権を握った試合運びで95-53と大勝する。またこの試合は得点差だけではなく、ベンチ入りメンバー12人の出場時間に偏りが出ないように配慮され、多くの選手がある程度の時間コートの中でプレーした。

■トニー・パーカーの活躍でベルギーを逆転

 そして、その翌日はサンカンタンに移動してベルギーを迎え撃つ。ベルギーは強化試合でギリシャに勝利、スペインに3点差の惜敗と、好成績を残しており、フランスは思わぬ苦戦を強いられる。第1クォーターは16-21、第2クォーターは16-20と前半を終えた時点で9点のビハインド。しかし、フランスを救ったのはパーカーであった。1人で24点の大活躍で、後半の32分に逆転する。フランスはそれ以降はベルギーの逆転を許すことなく、74-72と勝利し、強化試合で4連勝。
 残るはドイツとの2戦、9月5日の開幕を迎えるのである。(この項、終わり)

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