第1900回 ワールドカップに向けイングランドと連戦(3) フレデリック・ミシャラクの活躍で快勝
おかげさまで第1900回の連載を迎えることができました。2001年9月の連載開始以来、ここまで来ることができたのも読者の皆様のおかげです。今後ともご愛読のほどよろしくお願いいたします。
■メンバー発表を翌日に控え、イングランドと対戦
前回の本連載はワールドカップに向けたイングランドとの連戦、ロンドンのトゥイッケナムでフランスが敗れたことを紹介したが、このテストマッチは勝敗だけが問題ではない。試合内容もさることながら、ワールドカップに向けた選手のセレクションという意味合いが強い。フランスは8月22日に行われるスタッド・ド・フランスでのイングランド戦の翌日に31人のワールドカップ出場メンバーを発表する。
イングランドはトゥイッケナムでの試合で13人制ラグビーのスターであるサム・バージェスを代表にデビューさせ、まずまずの手ごたえをつかんだ。フランスは懸案のハーフ団はモルガン・パラとフランソワ・トラン・デュックを先発させ、後半の60分からロリー・ココットとレミ・タレスに入れ替えた。伝統的に人材の宝庫とされながら、近年はメンバーが固定しないハーフ団にフィリップ・サンタンドレ監督も頭が痛いところであろう。
■スタッド・ド・フランスでの試合の先発メンバー
そして、メンバー発表前最後の試合の先発フィフティーンは次のとおりである。第1列は左からエディ・ベン・アルー、ギレム・ギラド、ラバ・スリマニ、第2列はパスカル・パペとヨアン・マエストリ、第3列はフランカーにダミアン・シューリーとベルナール・ルルー、ナンバー8はルイ・ピカモールという陣容。そしてハーフ団はスクラムハーフにセバスチャン・ティルボルド、スタンドオフにフレデリック・ミシャラク、バックスはセンターにウェスレー・フォファナとマチュー・バスタロー、ウィングは左にノア・ナカイタシ、右にヨアン・ユジェ、フルバックはスコット・スペディングとなる。
■フレデリック・ミシャラク、1年2か月ぶりの出場
第1戦に続いて2試合連続の先発となるのはマエストリ、ピカモール、スぺディングの3人だけであり、大幅にメンバーを入れ替えた。また、第1戦で主将を務めたフッカーのディミトリ・サルゼウスキー、ハーフ団として先発したモルガン・パラとフランソワ・トラン・デュックなどはベンチ入りメンバーからも外れている。
注目のハーフ団にサンタンドレ監督はティルボルドとミシャラクを起用したが、驚きはミシャラクである。2001年11月の南アフリカ戦で代表にデビューして15年目となる。これだけの長い期間フランス代表に選ばれているのは歴代ナンバーワンである。これまでに71試合出場し、377得点をマークしている。通算得点は380点のクリストフ・ラメゾンに次いで歴代2位となる。しかし、ミシャラクが最後に代表の試合に出場したのは2014年6月の豪州戦であり、1年以上フランス代表の試合から遠ざかっている。また2003年と2007年のワールドカップには出場しているが2011年のワールドカップではメンバーから外れている。サンタンドレ監督は第1戦に比べて代表出場経験の多い選手を先発として選んでいるが、ミシャラク以外にバスタローやパぺなどベテラン選手も31人に入ることができるかどうかのテストであると考えられる。
■ミシャラクが次々とキックを成功、フランスが勝利
地元での試合とあって、青いユニフォームのフランスはイングランドを圧倒する。3分にスぺディングがペナルティゴールを決めて先制し、11分、17分にはミシャラクがぺなるでぃゴールを決めて代表通算得点記録を塗り替える。前半はその後両チームとも2つずつペナルティゴールを決めて15-6とフランスリードで折り返す。
後半に入り、この試合最初のトライが生まれる。ユジェがイングランド守備陣のタックルをかわしトライを決める。ユジェはコンスタントに試合に出場していたが、トライは昨年3月のスコットランド戦以来、実に13試合ぶりのトライとなった。ミシャラクは5ペナルティゴール、1ゴールという活躍をする。フランスは終盤にイングランドにトライを2つ許したが、25-20と勝利したのである。(続く)