第1918回 カナダに大勝、アイルランドとの決戦へ(1) 7人制の経験が豊富なカナダ
4年前の3月11日の東日本大震災で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。
■グループDの首位争いはフランスとアイルランド
初戦のイタリア、第2戦のルーマニアと連勝したフランス、9月23日のルーマニア戦ではメンバーを落としながらも5トライを奪い、ボーナスポイントをあげた。フランスがアイルランドをかわして首位に立ったが、アイルランドも9月27日にルーマニアに44-10とボーナスポイント付きで勝利し、勝ち点1の差をつけて首位の座を奪い返した。
グループDで決勝トーナメント進出が有力視されるフランスとアイルランドは10月11日の最終戦で対戦するが、両チームの第3戦はフランスが10月1日にカナダと対戦し、アイルランドは10月4日にイタリアと対戦する。
■予選プールでの敗退が続くカナダ
フランスとしてはルーマニア戦と同じようにカナダに大勝し、アイルランドとの決戦に臨みたいところである。カナダはこれまでのワールドカップ全てに出場している。しかし予選プールを勝ち上がったのは1991年大会だけである。この時はまだ南アフリカが出場しておらず、カナダの入ったグループDはフランス、ルーマニア、フィジーであった。フランスには敗れたが、グループ2位で決勝トーナメントに進出する。決勝トーナメント1回戦はビルヌーブダスクでニュージーランドと対戦、13-29というスコアで敗れたが、これがワールドカップでのカナダのベストパフォーマンスである。それ以降は予選プールで敗退している。今大会も第1戦でアイルランドに7-50と大敗、第2戦もイタリアに18-23と競り負けており、予選プールでの敗退が濃厚である。
■親子二代のカナダ代表、ネイサン・ヒラヤマ
カナダは初めての国際試合の相手が日本であり、またワールドカップや太平洋地域の大会でしばしば日本と対戦していることから日本の皆様はよくご存じのチームであろう。チームの中心はネイサン・ヒラヤマである。名前からわかるとおり、日系人である。ネイサン・ヒラヤマの父ガリー・ヒラヤマもカナダ代表選手であり、1982年にはカナダ代表の一員として訪日していることから日本の皆様はよくご存じであろう。そしてネイサン・ヒラヤマもカナダ代表として2009年11月に訪日して日本代表と対戦している。そしてネイサン・ヒラヤマが日本のファンに強い印象を与えたのは昨年3月の東京セブンズでのことであろう。
カナダにおいて、ラグビーを生業とするためには国外のクラブに移籍するか、オリンピック種目となった7人制に専念するしかない。今回のカナダ代表31人のうち12人は昨年は年間を通じて7人制ラグビーのワールドツアーに出場していた。東京でも昨年3月にトーナメントが行われカナダもコアチームとして出場している。情熱的なチームリエゾンに支えられたカナダチームは秩父宮ラグビー場に集まったファンを味方につけて、プレートトーナメントで準決勝に進出し、全体では7位に相当する成績を残した。このチームの中心選手がネイサン・ヒラヤマであり、大会期間中に誕生日を迎えファンに祝福されている。
■7人制と15人制のハイブリッドラグビー
このようにメンバーの多くが7人制の経験があるカナダは攻撃中心の試合を組み立てる。速攻と早く広い展開、これが7人制の魅力である。そして欧州のクラブに所属する数人の選手はオーソドックスな15人制のラグビーを展開、15人制と7人制のハイブリッドが現在のカナダである。
フランスとカナダの過去の対戦は8回、フランスの7勝、カナダの1勝という戦績である。カナダの唯一の勝利は1994年6月にカナダのオタワで行われた試合であり、18-16という僅差であった。そして最新の対戦は前回のワールドカップの予選プールである。ニュージーランドのネーピアで行われた試合、フランスは46-19と勝利している。この試合に出場した選手が、今回の試合にも多数出場しているのである。(続く)