第1989回 試練の続くラグビーフランス代表 (1) 新監督にギ・ノベが就任

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■ワールドカップで歴史的大敗、過去最低に並ぶ準々決勝敗退

 年明け以来、国内外のサッカーシーンを紹介してきたが、1月から3月にかけてフランスのスポーツファンの関心を集めるイベントとしてラグビーの6か国対抗がある。
 本連載では昨年秋のワールドカップについて紹介したが、予選プールDではイタリア、ルーマニア、カナダに対して3連勝したものの、最終戦でアイルランドに敗れ、予選プール2位にとどまる。決勝トーナメントではプールCを首位で通過したニュージーランドと対戦、これまでのワールドカップではしばしば名勝負を繰り返してきたカードであるが、9トライを奪われたフランスは13-62と歴史的な大敗を喫し、過去最低に並ぶ準々決勝敗退となった。

■6か国対抗で4年連続のBクラス

 ワールドカップでは不本意な成績に終わったフランスであるが、近年の成績を振り返れば、妥当という評価もある。6か国対抗については、2010年にグランドスラム(全勝優勝)を果たしてからは低迷が続き、前回のワールドカップ直前の2011年大会は2位だったものの、2012年以降は4位3回、最下位1回とBクラスが4年間続いた。4年連続してフランスが4位以下というのは1920年代以来のことである。また、夏と秋のウインドウマンスに行われる主として南半球勢との対戦も不振を極めている。2012年に就任したフィリップ・サンタンドレ監督はワールドカップ前にワールドカップ後の退任が決定したというありさまである。

■トゥールーズ出身のギ・ノベが新監督に就任

 そして昨年のワールドカップ終了後にギ・ノベが新監督に就任した。ノベ新監督はラグビーの都トゥールーズの出身、トゥールーズのウィングとして長年にわたって活躍し、フランス代表としてもテストマッチ7試合に出場している。選手としても実績を残したが、指導者としてもトゥールーズ一筋で1988年から途中ブランクはあったもののコーチ、監督として昨年まで務めてきた。また、この20年以上の間、常にクラブはフランス国内では上位を保ち、国内での優勝は実に10回、そして欧州でも欧州カップで4階の優勝を飾っている。サッカーの世界ではクラブチームの監督としてこれだけのタイトルを獲得した監督は少ないであろう。しばしば、代表監督の話が持ち上がったが常にノベは拒否し、トゥールーズにラグビー人生を捧げてきた。特に2011年のワールドカップ後はマルク・リエーブルモンの後任として有力視されたが、フランス代表の名物となっているお家騒動に巻き込まれたくないと固辞した。
 ところが、2015年春、6か国対抗で4年連続のBクラスとなったフランス代表はワールドカップ後の新監督を検討し、ついにノベが監督に就任する運びとなる。ワールドカップの半年前の5月にノベの監督就任が発表されたのである。

■31人中20人を入れ替え、7人になったトゥールーズ勢

 このような状態でワールドカップで成果を残すことは無理な話であるが、11月に新監督となったノベはトゥールーズ人脈でコーチ陣を組閣し、選手を若手に切り替える。1月末に今季の6か国対抗に臨むメンバー31人を発表した。昨年のワールドカップにも31人が選出されたが、プロップのウイニ・アトニオ、エディ・ベン・アルー、ラバ・スリマニ、フッカーのギレム・ギラド、ロックはアレクサンドル・フランカール、ヨアン・マエストリ、ナンバー8のダミアン・シューリー、ルイ・ピカモールとFWは8人が継続して選出された。
 昨年のワールドカップで悩みの種であったハーフ団は5人全員がメンバーから外れた。それ以外のBK陣はセンターのガエル・フィクー、ウィングのウェスレー・フォファナ、フルバックのスコット・スペディングの3人だけである。
 31人中11人だけが昨年のワールドカップに続いて代表入りしたが、31人の選手全員が国内のクラブに所属し、7人がトゥールーズの選手となった。昨年のワールドカップにはトゥールーズからは5人がメンバーに入っており、トゥールーズ勢が増えたわけであるが、トゥールーズ所属の選手でフランス代表から去った選手がいるのである。(続く)

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