第1993回 試練の続くラグビーフランス代表 (5) 若さが露呈、ウェールズに敗れ、連勝ストップ

 5年前の3月11日の東日本大震災で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、東北地方だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■4連敗中のウェールズ戦

 新体制になり、イタリア戦、アイルランド戦と接戦をものにしたフランス、この時点で連勝したチームはフランスとイングランドだけである。イングランドとは最終戦にスタッド・ド・フランスで対戦するが、その前にフランスはウェールズ、スコットランドとアウエーで対戦する。
 ウェールズとは2月26日、カーディフのミレニアム競技場で対戦する。ウェールズに対してもフランスは近年は分が悪く、2011年10月に行われたワールドカップの準決勝で勝利したのが最後で、それ以降は6か国対抗で4回対戦しているがいずれも敗れている。

■若手中心の2011年ワールドカップメンバーが健在のウェールズ

 ウェールズは昨年のワールドカップでは予選プールではイングランドに勝利したが、豪州に敗れてプール2位、準々決勝では南アフリカに惜敗し、ベスト8どまりであった。2011年大会は若手中心で準決勝まで進出し、4年後の優勝チームとまで言われたが、前回を下回る結果となってしまった。2007年から指揮を執るニュージーランド人のウォーレン・ガットランド監督は留任し、昨年のワールドカップに出場したメンバーが引き続き主力として残る。今季は開幕戦でアイルランドと引き分け、第2節ではスコットランドに27-23と勝利している。

■新人を起用し続けるギ・ノベ監督

 一方のフランスは第2節から2週間空いたこともあり、メンバーを入れ替え、プロップのバンサン・ペロ、ウイングのジブリル・カマラが新人として加わった。  フランスの先発メンバー15人のうち、今回初めて代表入りした選手が5人となり、ジブリル・カマラは代表デビューとなった。両チームの先発メンバーの平均年齢はほとんど変わらない。しかし、代表歴を比較するとウェールズの平均キャップ数は44とフランスの16のほぼ3倍である。フランスの先発メンバーの中で最多キャップ数はフルバックのマキシム・メダールの43であり、ウェールズの平均以下である。これはウェールズが数年前に若い選手を抜擢し、継続して起用してきたことの現れである。フランスに関しても今年の6か国対抗では多数の新人を選出したが、ジェファーソン・ポワロ、ポール・ジェドラジアック、ビルミ・バカタワ、ジョナタン・ダンティの4人は3試合連続の出場となり、年齢はいずれも23歳、継続して試合に起用することが将来のフランスの黄金時代の柱の育成、そして黄金時代を築き上げる原動力となるだろう。
 一方、最初の2試合で先発しながら、ウェールズ戦で先発から外れたのがスクラムハーフのセバスチャン・ベジである。ベジはプレースキッカーをイタリア戦で任されたが、不調であり、ジュール・プリソンにキッカーの座を譲り、プリソンのキックのおかげでイタリアに対して薄氷の勝利を得ることができた。ベジに代わるスクラムハーフはマキシム・マシュノーが務める。2008年にフランス学生選抜の一員として訪日していることから日本のラグビーファンの方ならばよくご存じであろう。

■若さが露呈、攻め続けるが得点をあげることのできなかったフランス

 現地時間で20時5分と6か国対抗としては最も遅い時間のキックオフ、ミレニアム競技場の開閉式の屋根を開いた状態で試合はキックオフされた。
 ウェールズ、フランスとも先制点を狙ったペナルティゴールを外し、均衡を破ったのは22分のことであり、ウェールズのダン・ビガーがペナルティゴールを決める。30分にもウェールズはペナルティで追加点をあげる。フランスは33分にようやくプリソンがペナルティゴールを決めて3-6で前半を終える。
 後半になってもウェールズはペナルティゴールで追加点、さらに46分にはジョージ・ノースがトライ、ゴールも成功して16-3と大きくリードを奪う。ここからフランスの反撃が始まり、10分間以上ウェールズを22メートルラインの中にくぎ付けにするが、ペナルティゴールも上げることができず、フランスの若さが露呈した展開となった。
 結局、フランスは終了間際に主将のギレム・ギラドがトライを挙げ、途中出場のスタンドオフのフランソワ・トラン・デュックがゴールを決めたが、10-19でウェールズに敗れ、新体制での初黒星となったのである。(続く)

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