第2083回 欧州の頂点を目指すラグビーの戦い(1) 欧州チャンピオンズカップ、欧州チャレンジカップ開幕
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■1995年に始まった欧州クラブナンバーワンを決める大会
サッカーの世界では9月中旬からチャンピオンズリーグとヨーロッパリーグのグループリーグが始まり、本連載第2071回から第2076回でその模様を紹介した。
さて、このようにクラブで欧州一を決めるのはサッカーだけではなく、他の競技も同様である。サッカーに続いて注目を集めるのがラグビーであろう。ラグビーの世界でも1995-96から欧州ナンバーワンを決める欧州カップが行われ、第1回の優勝はフランスのトゥールーズが優勝した。第1回大会には12チームが参加したが、参加チームの内訳はフランス3チーム、アイルランド3チーム、ウェールズ3チーム、イタリア2チーム、ルーマニア1チームであり、母国イングランド、そして2番目の歴史を誇るスコットランドからは出場しなかった。
■2014年から欧州ラグビーチャンピオンズカップと名称変更、20チームが出場
第2回大会となる1996-97シーズンにはイングランド、スコットランドからも出場し、それとともにサッカーのUEFAカップ(現在のヨーロッパリーグ)に相当する第2のタイトルである欧州チャレンジカップも始まった。サッカーのチャンピオンズリーグ同様に大会形式、出場国などの変更があり、1999-2000シーズンからは24チームで争われるようになった。しかし、この時期の最大の変更は2002年にスポンサーにビール会社のハイネケンが付いたことであろう。ハイネケンカップという名称になり、ハイネケンの頭文字のHがラグビーのポールに似ていることもあり、HCupと称されるようにもなった。
そして2014年からは欧州ラグビーチャンピオンズカップという名称となり、20チームが出場する大会となった。
■フランスから7チームが出場する欧州チャンピオンズカップ
今大会にはフランスからは7チームが出場する。昨季のTOP14の上位6チーム(ラシン92、トゥーロン、クレルモン、トゥールーズ、カストル、ボルドー・ベグレ)と昨季の欧州チャレンジカップで優勝したモンペリエの7チームが出場している。これ以外にイングランドから5チーム、アイルランドから4チーム、スコットランド、ウェールズ、イタリアからそれぞれ1チームが出場している。
本連載でもしばしば紹介している通り、フランス勢はクラブレベルでのラグビーでは非常に強く、これまで21回行われてきた欧州チャンピオンズカップでは優勝8回を誇り、準優勝も12回を数える。これまでの好成績がフランスからの出場チーム数を反映している。
■欧州チャレンジカップにもフランスから7チームが出場
フランスのラグビーの1部リーグに相当するTOP14はその名の通り14チームから構成される。このTOP14の半数の7チームが欧州チャンピオンズカップに出場する。そして下位タイトルである欧州チャレンジカップも20チームで争われるタイトルであるが、フランスから7チーム(ブリーブ、ラロッシェル、グルノーブル、ポー、スタッド・フランセ、リヨン、バイヨンヌ)が出場している。すなわち、フランスの1部リーグであるTOP14のすべてのチームは国内外のタイトルを争っていることになる。これがフランスのクラブが欧州の舞台で好成績を残してきた原動力である。
ラグビーをサッカーと比較すると競技の性格上、週に2回試合することが困難なことであることに加え、代表チーム同士の試合がウインドウマンスという6月と11月に行われ、さらに欧州の6か国対抗は2月から3月にかけて行われる。このような状況から1995年に欧州カップが始まってからはフランスでは国内タイトルは14チームでリーグ戦を行い、上位チームでトーナメント方式のプレーオフで優勝を決めるTOP14と言われるだけとなった。
ラグビーの欧州カップ(欧州チャンピオンズカップ、欧州チャレンジカップ)はそれぞれ20チームで争われるがグループリーグは4チームずつ5つのグループに分かれ、ホームアンドアウエー方式で行われ各チーム6試合を行う。ラグビー特有の日程を勘案し、グループリーグは10月、12月、1月の週末にそれぞれ2試合ずつ行われる。10月15日から欧州の戦いが始まったのである。(続く)