第2098回 ラグビー、南半球勢と3連戦 (1) トゥールーズでサモアと対戦
平成28年熊本地震で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。お亡くなりになった方々に、謹んで哀悼の意を表します。 この地震が1日でも早く収まることと、被災地の皆様の安全とご健康をお祈り申し上げます。
■ワールドカップ以降立て直せないフランス代表
前回までの本連載はサッカーのフランス代表のスウェーデンとのワールドカップ予選、コートジボワールとの親善試合について紹介し、これで代表の試合は本年最後となる。
この11月はラグビーのフランス代表にとってもウインドウマンスということで、ホームで試合を行う。フランスは昨年のワールドカップでは予選プールではアイルランドに敗れ2位通過、そして決勝トーナメント初戦ではニュージーランドに大敗を喫している。1月にギ・ノベス新監督が就任し、6か国対抗では再起を期したが、イタリアに辛勝、アイルランドに5年ぶりの勝利というところまでは良かったが、ウェールズ、スコットランド、イングランドの3連敗、2勝3敗で5位という成績に終わり、5年連続のBクラスとなった。
もう1つのウインドウマンスである6月にはアルゼンチンに遠征し、アルゼンチンと2戦した。6月19日の第1テストは19-30と敗れてしまい、6か国対抗から通算して4連敗となってしまうが、27日の第2テストでは27-0と完封勝利を収める。
フランスのクラブが欧州チャンピオンズカップで活躍していることは本連載でもしばしば紹介しているが、代表チームとはそれとは反対に長期にわたって低迷している。7月10日にノベス監督は32人のメンバーを選出し、秋以降の代表の試合に備えた。
■これまで3戦3勝のサモアとトゥールーズで初対決
11月には3試合が予定されている。まず12日にトゥールーズでサモア戦、続いて19日にスタッド・ド・フランスで豪州戦、そして本年最終戦は26日にスタッド・ド・フランスでニュージーランドと戦う。南半球の二強という豪州、ニュージーランドに金星をあげたいところである。
南半球の両雄との連戦を前に、まずはサモアとの対戦である。フランスはサモアとこれまでに3回対戦しているが、3回とも勝利している。最初の対戦は1999年6月のニュージーランド遠征の際に対戦し、その後は今回同様11月に2009年、2012年とスタッド・ド・フランスで対戦している。フランス国内でスタッド・ド・フランス以外での対戦はこれが初めてとなる。ラグビーの都、トゥールーズはしばしばフランス代表の試合が行われ、これが15試合目となる。フランスが2勝を挙げたニュージーランドのほか、豪州、南アフリカ、さらには太平洋のトンガ、フィジーもこのトゥールーズでの試合経験があるが、サモアは初めてのラグビーの都での試合となる。
■ワールドカップに予選からチャレンジするサモア
太平洋の強豪国であるサモアも2013年にはスコットランド、イタリアを連破し、世界ランキングを自己最高の7位まで上昇させたが、その後は有力国相手に勝利することはなく、世界ランキングを徐々に降下させてしまった。昨年のワールドカップでも精彩を欠き、予選プールでは4位にとどまり、2019年のワールドカップには予選からのチャレンジとなる。
サモアは今回のウインドウマンスは11月12日にフランス、19日にジョージア、25日にカナダと対戦する。欧州遠征で唯一の有力国との対戦が初戦のフランス戦である。
■7月10日に選出したメンバーから一部変更のあったフランス
お互いに調子を落としている同士の対戦となるが、フランスで気がかりなのはメンバー構成である。フランスは10月30日から合宿入りしたが、この合宿に32人のメンバーを招集した。この段階では7月10日に選出したメンバーと2人しか入れ換わっていなかったが次々に負傷者が出てメンバーが大きく入れ替わったのである。また欧州の場合、代表戦が毎週末に行われる11月や6か国対抗が行われる1月から3月にかけても国内リーグの試合は平常通りの週末に行われる。したがって、代表戦でベンチ入りできない選手は見切りをつけて所属クラブに戻すことになる。サモア戦の直前にはスタンドオフのジュール・プリソンをスタッド・フランセ、スクラムハーフのセバスチャン・ベジをトゥールーズに戻している。このノベス監督のこの判断はどのように影響するであろうか。(続く)