第2099回 ラグビー、南半球勢と3連戦(2) ビリミ・バカタワの3トライでサモアに大勝

 平成28年熊本地震で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。お亡くなりになった方々に、謹んで哀悼の意を表します。 この地震が1日でも早く収まることと、被災地の皆様の安全とご健康をお祈り申し上げます。

■ギ・ノベス監督の出身であるトゥールーズ

 秋のテストマッチの初戦はサモアとトゥールーズで対戦するが、現在の監督のギ・ノベスはトゥールーズの選手、監督として活躍してきた。まさに故郷に錦を飾る機会となった。前回の本連載でサモアは初めてのトゥールーズの試合であると紹介したが、フランスも2009年11月の南アフリカ戦以来のトゥールーズでの試合である。

■国内首位のクレルモンから3人、2位のラロシェルから2人が先発入り

 さて、フランスの先発フィフティーンであるがFWの第一列はジェファーソン・ポワロ、主将のギエーム・ギラド、ウイニ・アトニオ、第二列はジュリアン・ルドゥベデックとヨアン・マエストリ、フランカー陣はロアン・グージョンとケビン・グルドン、ナンバー8はルイ・ピカモールである。ハーフ団はスクラムハーフはマキシム・マシュノー、スタンドオフはフランソワ・トラン・デュック、スリークォーターバックは左からビリミ・バカタワ、ウェスレイ・フォファナ、レミ・ラメラ、ヨアン・ウジェ、そしてフルバックはスコット・スぺディングである。
 今季のフランスリーグは首位がクレルモン、2位がラロシェルということで、今回の15人のうちクレルモン勢はフォファナ、ラメラ、スぺディングの3人、ラロシェルからはアトニオ、グルドンの2人が入っている。ノベス監督の出身であり、ご当地であるトゥールーズからはマエストリ、ウジェの2人だけとなった。またフィジーを出自とし7人制を兼ねるバカタワはクラブには所属せず、フランス協会の所属となる。そして唯一の国外のクラブに所属しているのがピカモールであり、イングランドのノーサンプトンの選手である。

■サモアを出自とする巨漢プロップのウイニ・アトニオ

 そして注目は右プロップのアトニオ、身長1メートル96という第二列並みの身長に加え、体重は実に140キロである。昨年のワールドカップにも出場し、参加選手の中で最重量であった。アトニオはニュージーランド生まれでニュージーランド育ちであるが両親はサモア出身である。2009年に日本で行われた20歳以下のジュニア世界選手権にはサモア代表として出場している。当時は体重168キロであったことから注目を集め、記憶に残っている読者の方も多いであろう。2011年に当時2部であったラロシェルに移籍する。大西洋岸の港町、決してラグビーが盛んではない土地の黒と黄色のジャージーをまとう。ラロシェルで3年経験した段階で、フランス代表の資格を得て、2014年秋にフランス代表入りする。代表デビューはラロシェルと同じ港町のマルセイユでのフィジー戦であった。
 一方のサモアは全員が海外のクラブに所属している。ニュージーランドのクラブに1人が所属している以外の14人は欧州のクラブの選手である。その中で最も多いのはフランスであり、6人がフランスのクラブの選手であり、トゥールーズ所属の選手もいる。

■フランスのトライラッシュ、7年ぶりの50得点

 さて、昨年11月13日の同時多発テロからほぼ1年、試合前には黙祷がささげられた。試合はサモアが7分にペナルティゴールで先制したが、10分にフランスがペナルティゴールで追いついた後にはトライラッシュが始まった。
 12分にはバカタワが隅にトライをあげる。29分にはサモアのカウンターアタックに対し、フォファナがボールを奪取し、最後はウジェがトライをあげる。さらに33分にも途中出場したシャルル・オリボンがラメラからパスを受けてトライ。フランスはペナルティゴールも重ね、前半を26-3と大差で折り返す。
 後半も最初の得点はサモアのトライであったが、56分には相手ボールのラインアウトからフランスのガエル・フィクーがトライをあげて突き放す。ここからはフランスのトライラッシュ、そしてバカタワのショーが始まった。65分にバカタウがトライ、76分にはフランスが相手ゴール前のスクラムを押し込んでペナルティトライが認定される。そして78分にバカタワがこの日3本目のトライをあげる。1試合3トライはフランス代表の歴史では22人目である。バカタワの活躍でフランスは52-8と大勝する。
 フランスが50点以上の得点をあげたのは2009年3月21日のイタリア戦以来のことであり、豪州、ニュージーランドとの対戦が楽しみである。(続く)

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