第2101回 ラグビー、南半球勢と3連戦 (4) 負傷者続出も豪州に惜敗
平成28年熊本地震で被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。お亡くなりになった方々に、謹んで哀悼の意を表します。 この地震が1日でも早く収まることと、被災地の皆様の安全とご健康をお祈り申し上げます。
■負傷者続出の中で臨む豪州戦のフィフティーン
11月19日、久しぶりとなるスタッド・ド・フランスでのテストマッチ、先発したフランスのメンバーはFWの第一列はシリル・バイユ、主将のギエーム・ギラド、ウイニ・アトニオ、第二列はセバスチャン・バーマイナとヨアン・マエストリ、フランカー陣はシャルル・オリボンとケビン・グルドン、ナンバー8はルイ・ピカモールである。ハーフ団はスクラムハーフはマキシム・マシュノー、スタンドオフはジャン・マルク・ドゥサン、スリークォーターバックは左からビリミ・バカタワ、ウェスレイ・フォファナ、レミ・ラメラ、ノア・ナカイタジ、そしてフルバックはスコット・スぺディングである。
豪州戦で先発したメンバーとは5人が入れ替わっているが、プロップのジェファーソン・ポワロ、フランカーのロアン・グージョン、スタンドオフのフランソワ・トラン・デュックの3人は負傷のためメンバーから外れている。注目のスタンドオフはドゥサンを起用する。トラン・デュックの負傷によりジュール・プリソンを復帰させる選択肢もあったが、結局はカミーユ・ロペスを戻し、プリソンは所属クラブのスタッド・フランセの一員として豪州戦と同じ週末に行われる国内リーグでのモンペリエ戦に出場する。
■トライゲッターの宝庫、フィジー出身の両ウイング
また、注目は両ウイングである。左のバカタワ、右のナカイタジともフィジーがルーツである。フランスにおけるフィジー出身選手の活躍、特にトライゲッターとしての役割は特筆すべきものがある。今季も現時点でナカイタジは7トライを挙げており、アルゼンチン代表のラシン92のホアン・インホフに次いで2位である。フランスリーグのトライ数のトップ10のうち、フランス人選手は1人だけであり、10人中4人はフィジー出身あるいはフィジーにルーツのある選手である。バカタワは7人制も兼ねていることから協会所属となっており、所属チームはないが、いずれかのクラブに所属していれば、トライ王の最有力候補であろう。
■期待に応えてビリニ・バカタワがこの試合初のトライ
試合は6分にラックからの反則で得たペナルティゴールをマシュノーが決めてフランスが先制する。さらに17分にはフランスがボールを支配し、左右に展開しながら前進、最後はゴール前2メートルのところからバカタワが左隅に飛び込んでこの試合初のトライをあげ、8-0とフランスがリードする。しかし、豪州は22分にペナルティゴールで3点を返し、24分には豪州がフランスのゴール前でモールで押し込む。この豪州のモール攻撃に対し、オリボンがペナルティを犯してしまう。主審のニュージーランド協会のジャクソン氏はペナルティトライを認定、オリボンにはイエローカードを提示し、シンビンとなる。豪州はゴールポスト正面のゴールも成功し、10-8と逆転する。豪州は37分にも40メートル以上のペナルティゴールを決めて5点差とするが、フランスも前半のロスタイムに相手陣22メートル付近のスクラムで豪州の反則を誘い、マシュノーがペナルティゴールを決めて11-13と2点差に詰め寄ってハーフタイムを迎える。
■ノア・ナカイタジの突進から2点差に詰め寄るトライ
後半に入り、豪州は立ち上がりの43分にトライを追加し、ゴールも決まって20-11と差を広げるが、53分にフランスはラインアウトからの攻撃でバカタワが突進する。タッチダウンの直前にフォローしてきたドゥサンにパスし、ドゥサンがトライ、マシュノーのゴールも決まって16-20と射程距離に詰め寄る。逃げる豪州は58分に隅にアクロバティックなプレーでトライを決め、ゴールは失敗したが、再び9点差とする。
フランスの反撃は67分、右サイドをナカイタジが突進し、バカタワ、ラメラ、さらにマシュノーとつなぎ、最後はフォファナがゴール真下にトライを決める。マシュノーのゴールが決まって2点差となったが、反撃はここまで、豪州の黄色い壁を破れず、23-25と惜敗した。内容のある試合展開で最後のニュージーランド戦への期待が膨らんだのである。(続く)