第2195回 3連敗を喫したラグビー代表(1) 50年ぶりに南アフリカと3連戦
6年前の東日本大震災、昨年の平成28年熊本地震などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。
■サッカー、テニスのビッグイベントが終了した6月
昨年夏に始まったサッカーシーズンも国内の三大タイトルは5月末までにすべて終了し、最後の試合となったチャンピオンズリーグの決勝も6月3日に終わっている。ちょうど6月上旬にはインターナショナルマッチデーということでワールドカップ予選、親善試合が行われ、フランス代表については前回までの本連載で紹介したとおり6月13日のイングランド戦がバカンス前の最終戦である。ちょうどテニスの全仏オープンも6月11日が最終日である。
■ワールドカップ後に発足したギ・ノベス体制
ちょうどこれらのスポーツイベントが終わるタイミングで始まるのが、ラグビーのフランス代表の南半球遠征である。本連載でもしばしば紹介しているが、ラグビーのフランス代表は2011年のワールドカップで準優勝したものの、このところいい成績を残すことができず、6か国対抗では2010年を最後に優勝から遠ざかっている。2015年ワールドカップでも決勝トーナメント1回戦でニュージーランドに大敗、ギ・ノベス新体制に代わっている。初の戦いとなった昨年の6か国対抗は2勝3敗で4位に終わり、ファンを失望させた。 代表チームは早春の6か国対抗以外に6月と11月にはウインドウマンスで南半球勢と対戦するが、昨年の6月はアルゼンチンに遠征して1勝1敗、11月には南半球勢をフランスに迎え、サモアには52-8と大勝したが、豪州に23-25、ニュージーランドに19-24と惜敗している。
■6か国対抗の最終戦のウェールズ戦は20分のロスタイムの末劇的勝利
そして期待の高まった今年の6か国対抗、初戦は連勝記録を伸ばしているディフェンディングチャンピオンのイングランドである。16-19と惜敗し、前年秋からの善戦が続くが、第2戦ではスコットランドに勝利、アイルランドには敗れ、イタリアに勝利し2勝2敗で最終戦のウェールズ戦を迎えた。この試合に勝利するか否かは単純に6か国対抗の順位が変わるだけではなく、2019年のワールドカップの組み合わせ抽選のベースとなる世界ランキングに左右してくる。フランスとウェールズの意地のぶつかり合いとなったが、20分を越えるロスタイムの戦いの末、フランスがダミアン・シュリーの決勝トライで20-18と逆転勝利し、3勝2敗と勝ち越し、久しぶりのAランクとなる3位に入るとともに、世界ランキングも第2シードとなる6位を確保したのである。
■ブリティッシュアンドアイリッシュライオンズの編成によりフランスは南アフリカ遠征
ワールドカップの組み合わせは第1シードのイングランド、第3シードからは苦手のアルゼンチンと苦しいグループに入ってしまったが、2年間の準備期間で力を蓄えたいところである。
そのワールドカップの組み合わせ決定後、6月は国際試合の季節である。今年は4年に1回のブリティッシュアンドアイリッシュライオンズが編成される年である。この年のフランスは複数国と対戦するのではなく、特定の国に留まって3試合を行うことになる。4年前の2013年はニュージーランドと3試合戦っている。今年はブリティッシュアンドアイリッシュライオンズがニュージーランドに遠征するため、フランスは南アフリカに遠征することになった。
南アフリカは日本の皆様ならばよくご存じの通り、2015年のワールドカップで日本に敗れている。その後、スコットランドに勝利し、決勝トーナメントではウェールズに辛勝し、結局3位に入っている。しかし、その後はイタリアに初黒星を献上するなど、かつての力はなく、世界ランキングも7位まで落ちている。ワールドカップではニュージーランド、イタリアと同じグループに入ったが、楽観視のできない状況である。
フランスは6月10日にプレトリア、17日にダーバン、24日にヨハネスブルクで南アフリカと3回戦うが、フランスと南アフリカが3試合連続して戦うのは4試合を戦った1967年の夏以来50年ぶりのことなのである。(続く)